中国共産党中央規律検査委員会(略称:中規委)の視察団は9月27日、鄧小平の息子・鄧樸方が設立した中国身体障害者連合会(CDPF)など32の省と市、中央政府機関を視察すると発表した。最近、中国共産党の太子党による反習近平の声が続いていおり、鄧樸方がその背後にいる人物の一人であると疑われている。
中規委第6次査察に向けて動員・配備会議が9月27日に開催され、中国の公式メディアによると、習近平はCDPFなど32の省と市、中央政府機関の業務に関する査察指示を伝達した。
CDPFは鄧樸方によって1988年に創設され、中国障害者福祉基金会や中国パラリンピック委員会などの社会組織を統括している。
鄧樸方(76歳)は文化大革命時に父・鄧小平の関係で迫害を受け、4階建てのビルから転落するに至り下半身麻痺となった。彼が設立したCDPFは国務院と直接連絡を取り、国家計画に別会計を設け、各省、自治区、直轄市との業務関係を構築しており、 外部はこれまで鄧樸方の「独立王国」と呼んできた。
今年は、中共ウイルス(新型コロナウイルス、SARS-CoV-2)の疫病が世界に広がり、中国共産党が香港版国安法を強制的に推進する中、体制内も含めて国内外で反発が起きている。中国国内では更に反習近平の声が高まっており、中国不動産王の任志強や、中国共産党中央党校に退職した蔡霞教授など、いずれも反習の発言で重い懲罰を受けた。
今回の中規委が鄧樸方の縄張りを視察し、その敏感なところは、ここ数年、太子党の反習の波の中で、鄧家の姿が大きな存在となっている。
数年前の習が汚職官僚を取り締まっていた際、太子党に対してはあまり触れていなかったが、鄧家には触れた。鄧小平の元孫娘婿で安邦グループの元会長である呉小暉は、2018年5月に懲役18年の実刑判決を受け、100億ドル以上の資産を没収された。呉小暉が調査された前後に、鄧小平の孫娘・鄧卓芮はすでに彼と離婚したが、この事件は依然として習近平が鄧家に対する挑戦と見做されている。
呉小暉が投獄されたことと、鄧樸方の親友である樊立勤が北京大学で習近平を批判する壁新聞を貼り出したことで、鄧・習両家の対立はすでに公開化されたと指摘されている。
習近平は2018年12月、中国共産党の改革開放40周年を機に広東省を訪問した。鄧樸方は9月16日に行った内部演説の原稿はネット上で話題となった。鄧樸方は改革開放を打ち出した鄧小平理論を称賛したほか、指名せずに、「事実に基づいて真実を求める」「冷静な頭脳を持ち、自分の才能を知れ」など暗に権力者に念押しした。
イギリスのフィナンシャル・タイムズは当時、「改革開放40周年を記念して、中国で最も権威のある2つの家族間のイデオロギーや個人的な違いが浮上している」と報じた。
米ヘッジファンド大手のカイル・バス氏は今年4月、内部情報によると、中国共産党内の鄧小平一族勢力が習近平の 「失脚 」を望んでいるとツイートした。
鄧小平の唯一の孫である鄧卓棣(33歳)は、「鄧家の中で唯一政治に関わっている3代目」と言われている。しかし2016年に新安鎮党委員会書記と平果県委員会副書記を離任、その後の進路は不明なままだ。
広西テレビ局の記者によると、鄧卓棣は意図的にメディアを避け、現地のテレビ報道に自分のアップロードシーンが表に出ることを嫌がっていると指摘した。
鄧小平一族は、意図的に行動を控えめにしているため、習近平に挑む背後の黒幕になれないという見方もある。
(看中国記者・林中宇/翻訳・藍彧)