(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 1992年、ニューヨークに住んでいた整形外科医トニー・シコリアさん(42)が電話ボックスの中で雷に打たれた。当時、彼は死にかけていたが、幸い電話ボックスの外にいた女性が看護師で、CPR救急を実施して一命を取り戻した。

 かつて高電圧に襲われた人と同様に、シコリアは事故後の1、2週間、感覚が鈍く、記憶力にも支障が出た。しばらくすると症状は治まったが、不思議な事にシコリアは急にピアノの曲が好きになったという。

 彼は今までピアノに全く興味がなく、他の芸術にも一切興味がなかったが、今では随時ピアノの曲を聴いている。以前はラフマニノフよりもロック派だった。

 ピアノの弾き方も、楽譜の読み方もわからなかった彼はピアノを買い、待ちきれずに頭の中に流れていた音楽をすべて弾いた。彼は午前4時に起きて、仕事に行くまでの時間ずっと引いていた。雷に打たれて間もなく、彼は最初の曲を作曲した。曲名はか「かみなりのソナタ」(The Lightning Sonata)である。

 コロンビア大学の著名な脳科学者であるオリバー・サックス氏は、シコリアさんの事故から彼の変化を研究しており、著書と米公共放送局(PBS)のドキュメンタリー映画の中でシコリアさんがどのようにして脳に音楽が構成されたかを紹介している。

 何度も検査をしたにもかかわらず、シコリアさんの症状について適切な医学的解釈を得ることができなかった。 体外衝撃が大脳の異常を引き起こしたのではないかと推測されているが、その現象をまだ解釈できない。

 確固たる答えは出ていないが、シコリアさんの音楽人生が幕を開けた。かつて音痴であった医師は、すでに雑誌やテレビショーの主役となり、数回の独奏会でクラシック曲を演奏し、さらに自分の作品を披露している。

2013年トニー・シコリアさんがウィーンで演奏する「かみなりのソナタ」:
https://youtu.be/tDtYkxSCV18

(翻訳・林華)