私がイギリスに留学していた頃はホームステイでした。ホームステイ先の隣に住んでいたのは、とても知恵のあるブラウンさんご夫婦でした。ある日、庭で本を読んでいだとき、隣の庭で起こったできごとが印象に残りました。
ブラウンお父さんは、5歳の息子のアンディ君に草刈り機の使い方を教えていました。息子が楽しそうに草を刈っている時に、電話が鳴ってブラウンさんは部屋に入っていきました。
その時事件が起きました。アンディ君は草刈り機を運転しながら、ブラウンさんの大好きなチューリップの花畑に入り込んでしまいました。芽生え始めたばかりのチューリップはことごとく切り取られてしまい、気づけば、2メートル先までの花畑が刈られてしまいました。
電話が終わり、部屋から出てきたお父さんはこの光景を見てとても腹が立って、こぶしを挙げようとしました。1か月間、ブラウンさんは毎日チューリップの世話をし、大切に育ててきたのですから。
その時、ブラウンさんの奥さんが部屋から出てきました。花畑を見た奥さんは、何が起こったのかをすぐにわかりました。すると、奥さんはとても優しく、ブラウンさんに笑いながら囁きました。
「ねぇ、私たち、今一番の幸せは、チューリップじゃなくて、子供を育てることでしょう?」
その後、夫婦はキスを交わし、ブラウンさんの怒りはいとも簡単に鎮まりました。
(翻訳・常夏)