清・赫達資「ムーラン」(パブリック・ドメイン)

 米ディズニーアニメ「ムーラン」の実写版映画が近日上映された。しかし、エンディングに中国共産党新疆ウイグル地方当局などの機関に特別感謝を載せたことをきっかけに、「ディズニーは新疆での人権迫害を無視している」という世論が起こり、親中派だと批判された。

 映画『ムーラン』実写版は9月4日に台湾で上映されたが、一部の映画ファンがエンディングの謝辞欄に「新疆ウイグル自治区党委員会宣伝部・トルファン区党委員会宣伝部・トルファン地区公安局」など新疆で人権侵害の疑いがある機関のリストが挙げられていたことに気づいたという。

 在米ウイグル協会のイリシャティ主席は、宣伝部は嘘つきのプロパガンダ部門であり、中国共産党のために民族絶滅を専門に行っているとツイートした。トルファン地方公安局は強制収容所の建設・監督管理機関であり、大量殺戮執行機関でもある。

 また、世界ウイグル代表大会は「ディズニーが東トルキスタン収容所に関わる機関であるトルファン公安局に感謝の意を表した」とツイートした。

 新疆の「再教育収容所」を研究しているドイツの学者エイドリアン・ゼンツ氏は、ディズニーを「強制収容所の影で儲けている」と非難した。

 香港の黄之鋒氏は「ムーラン」の上映当日に、「この映画は今日公開されたが、ディズニーが北京に屈服し、(メインキャスターの)劉亦菲(リウ・イーフェイ)は香港警察の横暴を公然と誇らしげに支持している。人権を信仰するすべての人にムーランをボイコットするよう呼びかける」とツイートした。

 また、多くのネットユーザーが周庭氏を支持し、 劉亦菲をボイコットするという「ムーランの写真と先日逮捕された香港の民主の女神周庭氏」を並べてツイートした。「本物のムーランが欲しい」というネットユーザーもいた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、ディズニーは中国の要素が豊富な映画に中国人スターをキャスティングすることで、中国の92億ドルの興行市場を狙っているという。しかし、中国本土でも観客の期待値は低い。中国最大の書評・映画レビュー・コミュニティサイト「Douban(豆瓣)」の評価は10ポイント中4.9ポイントで、実写版『ムーラン』が 「駄作」であることを意味している。ちなみに1998年に公開されたアニメ版『ムーラン』は、7.8ポイントだった。

(翻訳・藍彧)