李文亮医師と李医師がサインした「罪」を認め、以後は「違法行為」をしないことを約束する声明文書(イメージ:ウェイボー)

 中国当局は9月8日、新型コロナウイルスの対応に功績があった1500人を「表彰」する「防疫表彰大会」を開催した。しかし、最初にコロナウイルスの感染拡大を警告した李文亮医師は表彰リストに入っていなかった。

 9月8日午前、中国当局は新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎)対策全国表彰会を開催した。総理の李克強が司会を務め、習近平が自ら勲章を受賞者に授与した。当局が表彰の対象としたのは、中国共産党国家衛生委員会高級専門家グループリーダーの鍾南山、天津中医薬大学校長の張伯礼、武漢市金銀潭病院院長の張定宇、軍事科学院生物工学研究所所長の陳薇、さらに中国共産党外交部報道官の華春莹などだ。

 このほか、習近平は1500人の「先進的な個人」、500人の「先進的な集団」、200人の共産党員、150人の党組織の代表者に賞を授与した。しかし、会議では、2019年12月30日に感染拡大の警告を行った李文亮医師については一切触れなかった。

 李文亮は中国共産党に公式に認められなかったが、多くのネットユーザーが李文亮のウェイボーにメッセージを残し、彼の功績をたたえた。「李文亮のウェイボーの評論」が一度ウェイボーの検索上位候補に登り、関連トピックの閲覧数は3億5千万件にも達した。

 この記事の投稿時点までに、李文亮の最後のウェイボーには100万件以上のコメントが寄せられている。ネットユーザーは李文亮に対する中国共産党の意図的な「無視」に対する不満と、李文亮に対する尊敬を投稿という形式で表した。

 フォーチュン誌は4月22日、世界の25人のパンデミックのヒーローを発表し、李文亮が1位になった。

 BBCの分析によると、今回の表彰大会は中国当局のプロパガンダであり、祝賀ムードを作り出して責任の所在を隠す意図があるという。また、世界的に感染症が減退を見せないなか、中国が表彰式を行うことは時期尚早であり不適切だとの声も上がっている。

(看中国記者・端木珊/翻訳・藍彧)