コムギ株腐病(ネット写真)

 中国山東省農業庁は8月28日に「コムギ株腐病防除工作強化に関する通知」を発表し、山東省で「コムギ株腐病」が迅速に蔓延していることが明らかになった。現在の被害面積は1200万ムーを超え、15の市・123の県(市、区)に及び、病斑の形成率が30%から50%に達し、食料安全に甚大な影響を及ぼした。

 「コムギ株腐病」とはジベレラ・ゼアエや、フザリウムプソイドグラミネアラムなどの真菌植物病原体によって引き起こされる植物病害である。コムギが感染されると、小麦の穂や粒が大幅に低下し、収量の減少につながる。

 山東省農業庁によると、気候変動のため、栽培、耕作方法や制度が変更され、「コムギ株腐病」の状況が悪化している。

 中国社会科学院が8月17日に発表した報告によると、今後5年中国では1億3千万トンの食糧不足が出るという。中国当局は繰り返し「食料豊作」だと強調している。しかし、中国には30%を超える食料が輸入に頼っており、中国税関局が7月26日に発表したデータでは、6月にブラジルから1051万トンの大豆を輸入し、5月より18.6%増、去年同期より91%増となっている。7月から中国は米国から大豆とトウモロコシの輸入を急遽増加した。米国農業部のデータによると、7月16日まで、中国が米国から大豆とトウモロコシの輸入量が2019年3月以来の最高記録を更新した。

 今年は新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎)に加え、ペスト、蝗害、洪水災害、干ばつなど様々な災難が降りかかり、食料の主な生産地が大きなダメージを受け、中国は深刻な食糧危機に晒されている。今回の「コムギ株腐病」は食料危機をエスカレートさせる可能性がある。

(翻訳・北条)