(イメージ:flickr/Kārlis Dambrāns CC BY 2.0

 米国が中国の通信機器大手メーカーであるファーウェイに対する制裁を強化した後、ファーウェイはスマートフォンの部品供給業者に供給をを停止するよう通知した。これはファーウェイがスマートフォン市場から撤退するサインと見られている。

ファーウェイが出荷停止

 台湾紙「自由時報」は8月23日、ファーウェイに部品を供給している台湾の業者が先週、ファーウェイに出荷停止の通知を受けたと報じた。通知には、「新しいデザイン案はマイクロチップの供給の問題により、開発を中止する」と書かれていたという。

 米政府は今年5月、ファーウェイに対する規制措置を発表。米国の技術を使ったマイクロチップをファーウェイに販売するときは、事前に米国政府の許可を得ることを義務付けた。この措置は9月15日から施行される。 その後、世界有数の半導体ファウンドリーであるTSMC(台湾積体電路製造)は、9月14日以降ファーウェイにマイクロチップを供給しないと発表した。

 8月7日の「中国情報技術2020年サミット」では、ファーウェイ技術の消費者ビジネス最高経営責任者(CEO)余承東氏が発表を行った。余氏は、米国の経済制裁のため、ファーウェイの「キリンハイエンドマイクロチップ」は9月15日以降は製造できなくなり。ファーウェイの「キリン5Gチップ」を搭載したスマートフォン「Mate 40」も「絶版」になると認めた。

 ファーウェイは米国の制裁に対し、5Gデバイスに使用するマイクロチップを購入するために第三者を経由するなどの対抗策を模索してきた。ファーウェイを徹底的に封じ込めるため、米国は8月17日にファーウェイに対する制裁措置を強化、ファーウェイが第三者を通じて米国で開発、製造されたマイクロチップを獲得することを防止した。

 これに対し「自由時報」は、「スマートフォンのマイクロチップの供給問題を解決できなければ、来年ファーウェイは本当にスマートフォン市場から退出する危機に直面するだろう」とコメントした。

米国の制裁措置にファーウェイが大パニック

 実際、米国でのファーウェイ制裁を強化した後、ファーウェイ内部はパニックになった。「フィナンシャルタイムズ」は先週、ファーウェイが「戦時状態」に入ったと従業員が表現していることを明らかにした。米国の新たな制裁により、ファーウェイは5G通信やスマートフォンなどに使われる事業用マイクロチップを入手することが事実上不可能となった。そのため、ファーウェイは「戦時状態」に慣れるよう従業員に求めていた。

 ファーウェイの社員がネット上の掲示板で、「もし8月17日に、性能を問わずすべてのマイクロチップが禁止されたら、私たちは何を生産できるのだろうか」と投稿した。ファーウェイのエンジニアによると、残業はもう必要ないということで、不安を感じているという。

 また、ファーウェイ社員によると、ファーウェイ内部の転勤、離職、人員削減の件数は最近増加傾向にあるという。ファーウェイグローバルマーケティングチームの中にはさらに数名の幹部が離職したこともあった。

 同時に、ファーウェイ傘下の他の企業にも衝撃を受けた。ファーウェイ傘下のマイクロチップ設計会社の「海思(HiSilicon)」の社員は、「多くの人が辞めていった。上層部の幹部ばっかりだ」と語った。

(看中国記者・端木珊/翻訳・藍彧)