元ホワイトハウス首席戦略官兼上級顧問のスティーブ・バノン氏(Wikimedia Commons/Elekes Andor / CC BY-SA

 8月20日、米ホワイトハウス元顧問のバノン氏がメキシコ国境の壁建設資金をめぐり、詐欺罪で逮捕・起訴された。 報道によると、この事件はニューヨーク南部地区の反トランプ氏の連邦地裁で審理され、バノン氏を逮捕したのは郵便公社(USPS)の捜査官だったという異例の操作で、事件の背後の政治色を疑わせるものとなっている。

 8月20日夜、YouTubeチャンネル「路德社レポート」がバノン氏の逮捕事件を次のように分析した。

  • 背景分析

 1、バノン氏が運営するプロジェクト「メキシコ国境の壁建設」は2年前のことであり、2018年にすでに調査が行われた。2020年の米国大統領選の2ヶ月前に取り上げたのは、明確な政治的意図を持っている。

 2、ニューヨーク南部地区の裁判所が過去に受理した事件は、トランプ大統領のロシアゲート事件、税金問題、ライフル協会の起訴などを含め、全てトランプ大統領に対する左翼の仕業であり、今ではバノン氏を標的としている。

 3、ニューヨーク州南部地区連邦検察官事務所のオードリー・ストラウス検事正代行は、トランプ大統領によって解雇された元司法長官の補佐官を務めており、民主党で、オバマ元米大統領、バイデン元副大統領寄りである。重要な親族は全部ニューヨーク州のクオモ知事の下で働いている。

  • 原因分析

 1、募金資金基金の合理的な運営コストは、資金の割合の10%から30%でなければならない、「メキシコ国境の壁建設」資金は2500万米ドルで、百万ドルのみが支出に用いられ、4%未満の割合。 バノン氏は、お金の使用方法については、ゴールドマンサックスの取締役をされていた経緯もあり、非常に慎重で法律に触れるようなことは考えられない。

 2、「メキシコ国境の壁建設」プロジェクトにおける資金調達の主な責任者はコルフェージ氏で、同氏に対する起訴は具体的かつ詳細である。一方でバノン氏に対する起訴は具体的な内容が公開されていない。バノン氏を引きずり込んだという意味合いが強い。

 3、バノン氏は中国共産党に対する厳しい姿勢で知られている、2019年1月武漢肺炎(新型コロナウイルス感染症)が大流行してからのバノン氏の中国共産党に対する主な言動は以下の通り

 a.中国共産党の軍事研究所が舟山蝙蝠ウイルスをベースに新型コロナウイルス(COVID-19)を合成、あるいは意図的にウイルスを漏らしてパンデミックを引き起こした事実を暴露し、閻麗夢(闫麗夢)博士を香港から脱出させることに協力した。

 b. 現在の中国をナチス・ドイツに例え、中国共産党指導者の習近平と王岐山をニュルンベルク裁判にかけるべきだと主張。

 c. 米国政府に対し、習近平や王岐山をはじめとする中国共産党幹部の米国での財産を申告・没収し、新型コロナウイルス被害者の遺族に寄付するように要請した。

 d.「中国共産党」と「中国」と「中国国民」の区別を主張し、中国共産党による中国国民の意志への脅迫を解消し、中国共産党政権の支配を非合法化すべきだと主張。

 e. 中国共産党が南シナ海の島々に違法に建設した軍事施設を72時間以内に解体するか、あるいは中国の軍事的存在と装備を軍事的に解体することを提唱。

 また、バノン氏は、米国のウォール街のエリートが中国共産党と結託し、その悪行の共犯者になっていると批判した。キッシンジャーは「中国人の血に染まっている」、ビル・ゲイツ氏は「中国共産党に味方している」と批判した。

 バノンは左翼の民主党を猛烈に批判している。民主党は米国国民の敵であり、米国と米国経済を破壊しようとしていると述べた。このため、バノン氏もまた、左翼民主党とそれが支配するニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルなどの米国の主要メディアから不当な非難と攻撃を受けている。

 バノン氏が拘束されてから、左翼メディアが同事件を執筆・編集・発表するのに要した時間はわずか21分だったという。 事前情報を得ていることが疑われる。

 さらに、米国のメディアがバノン氏逮捕のニュースを発表してから、中国共産党メディアは、夜中にたった10分で翻訳と校正を終え、インターネット上に発信した。同ニュースは瞬く間に検索ランク上位になるヒットニュースとなり、米国とリアルタイムにバノン氏逮捕のニュースが話題を呼び、歓迎ムードとなった。

 逮捕を受けて、バノン氏は自身のポッドキャスト「War Room」で、「これは政治的な弾圧であり、私は屈しない。(私のやってることは)政治的にも重要な仕事なので、長くやっていきたいと思っており、戦うためにここにいる。これからも戦い続ける」と述べた。

(翻訳・藍彧)