昔々、バグダッドの商人が、ある夜、静かでさびれた山道を一人で歩いていると、突然、謎な声が「道端の石をいくつか拾い、それをポケットに入れてください、明日の朝にはそれで喜ぶでしょう。」と彼に言いました。商人は石が喜びをもたらすとは信じませんでしたが、腰をかがめて、道端で石を拾ってポケットに入れて、道を急いでいました。
翌日、商人に太陽が降り注ぐ中、ふとポケットの中に石があることを思い出して取り出してみました。商人が一つ目の石を取り出した時、一瞬唖然としました。それは石ではなく、ダイヤモンドだったのです。商人が2つ目、3つ目、4つ目…を取り出すと、ルビー、エメラルド、サファイア…商人は喜び、こんなにたくさんの宝石をいくらで売れるだろうと思っていました。しかし、よくよく考えてみると、昨夜、もう少し石を拾わなかったことに後悔して悔しさを募らせていました。商人はずっと悔しがっていて、それまでの幸せは消えてしまいました。
満足しやすい人は、より多くの喜びを得ることができます。石が宝石であることを知った商人は喜びを得たが、昨夜、もっと石を拾わなかったことを喜びし始めたとき、その喜びは跡形もなく消えてしまった。幸福は非常に単純なものです。それは永遠に満足する人に属して、貪欲で飽きる人に属しません。
人がなぜ苦しみを感じるのか、原因の一つは永遠に満足しないことであり、決して満たされることがなく、欲しすぎることです。自分自身の内面の不満や手放せないことがあるからこそ、生きていることに疲れてしまうことが多いのです。本当に放下すると、すべての苦しみが放下されたことに気付き、幸せになれます。
(翻訳・藍彧)