師襄子(しじょうし)が孔子に一曲の演奏を教えた。孔子は毎日その曲の演奏を繰り返し練習し、煩わしさは微塵も感じなかった。
10日が過ぎ、師襄子は孔子に言いました。「よく弾けるようになりましたが、その曲の技法を掴んでいません。新しい曲を教えましょう。」孔子は言いました。「私は曲を弾くことができますが、技法をまだ掴んでいません。」
また数日が過ぎ(孔子はこの曲を練習し続けた)、師襄子は孔子に言いました。「あなたは技法を使いこなしている、新しい曲を学んでもいいですよ。」孔子は言いました。「いいえ、私はこの曲の神韻を理解していません。」
また数日が過ぎました(孔子はこの曲を練習し続けた)。師襄子は孔子に言いました。「新しい曲を学んでもいいでしょうか?」孔子は言いました。「まだまだ作曲者がどんな方なのか、想像できません。」
また何日も過ぎました(孔子はこの曲を練習し続けた)、孔子は言いました。「私はこの作曲者が誰なのか分かりました。この人は背が高く、眼光が明るく先見の明を持ち、王の気質を備える方です。これは周文王が創った曲です。」
師襄子は驚きました。「私の先生が私に伝えたことがあります。この曲の名前は『文王操』です。」絶妙で至高の域に達した孔子の演奏技術に師襄子は感服し、席を外して孔子に礼をしに来た。
孔子が琴を学ぶことに関して私達に3つの啓示がある:
一、何事も学ぶときに集中力が必要であり、心と物(琴)を一体にする、練習し尽くして物事の真髄を掴む。
二、繰り返し絶えず練習すれば物事の深い境地に入る。
三、すべてのことは身を修め心を養うことである。
(翻訳・項 内秀、原 光寛)