3、本当に優秀な親は皆このようにやっている

その他に過干渉でなければ、過保護であったりする保護者がいるが、優れた保護者は子供を干渉しないで、自主にまかせて育てている。

梁啓超[2]には九人の子供がいるが、どの子もみな素晴らしい。彼が子供を教育する際の最大の特徴は絶対に目上であるとか権威とかを振りかざすことなく、子供達と友達のような関係で平等に付き合うことだ。自分の力で自主的な精神をもった子供になるように育ててきた。

他の親と同じように、子供が重要な選択に直面した時、いろいろと意見を言ったりはするが、けっして彼の言うとおりにするようにと要求したりしない。例えば娘の梁思庄[3]が専攻学科を選択する際、彼は始め娘に生物を学んでほしいと思ったので、手紙を書いて励ました。その後、彼女が生物に興味がわかなかったとわかれば、時期をみてまた手紙を書いて「およそ学問は自分の性格に合う身近なものを学ぶといい、そうすれば労少なくて倍の成果を出せることもよくあるから…私が勧めた学科は必ずしもお前に向いていたわけではなかったようだ。お父さんの言ったことにこだわる必要はないから、自分でよく見極めて決めればいい」と伝えた。

百年近く経っても、依然として、とても多くの保護者は昔の親と変わっていない。いつも年長者であることや権威をふりかざし、教育上一番大事なのは相手を尊重することだということを忘れてしまっている。

どの子供も皆、唯一無二であり、その子はその子自身にすぎず、親の思いどおりに育つはずがない。親という有利な立場から子離れしてこそ、子供は独立した思考をもって自分に向き合い、自分でいろいろなことを考える事が出来る。広々とした遠く離れた場所に行って見聞を広めたり、さらに高いところに視野を向けたりすることで、一段と大きく成長できるのだ。

(おわり)

注:
[1] 『古今賢文』:明朝の児童向け儒家啓蒙書。
[2] 梁啓超(りょう けいちょう、1873年―1929年)は清末民初の政治家、教育思想家、歴史学者。
[3] 梁思庄(1908年-1986年)は梁啓超の次女、図書館学者。

(翻訳・夜香木)