米中関係が悪化し、戦争勃発の可能性が日々高まっている。しかし人民解放軍の本当の作戦能力を疑わざるを得ない。8年の間に98人の将軍が捜査され、汚職の罪で解任されたのだ。果たして彼らは米軍に対抗できるのだろうか。
中国軍は常に神秘的であり、多くの情報が公開されていないため、一般の人々にはほとんど理解されていない。そこで、中国軍の将校の暗黙のルールや規則を見て、中国軍の戦力を評価したい。
腐敗した組織
中国軍の各階級の官僚は巨大な官僚機構を構成し、その腐敗程度は地方行政当局のレベルをも超えている。
2012年11月から2020年7月までの8年未満の間に、上将(日本の大将と相当する)6人、中将13人、少将79人を含む98人の将軍が汚職で解任された。中国の現役将軍の正確な数と名簿は機密情報として扱われているため、公式データは公開されていない。
注目すべきことは、中国共産党の軍隊は多くの派閥で構成されており、ほとんどすべての将校が腐敗しているということだ。権力を失った将校の多くは、政治闘争に負けたのだ。
将校昇進のルールは、集団全体の基準を決める。将校は軍事文化の形成にも重要であり、軍事文化は軍の風格と戦力にも影響を与える。
暗黙のルール
中国の将校たちにとって、昇進のルートはいくつかある。
一つ目は、お金で階級を買うことだ。
このような方法は、中国の将校制度における昇進の大部分を占めている。役職によって値段も変わる。2000万元(約3億円)から中将、1000万元(約1億5千万円)から少将、500万元(約7千6百万円)から大佐の階級が買えるとされている。さらには一般兵として入隊するにも、最近では少なくとも1万元(約15万円)はかかると言われている。部隊や配属先がよければ、最も高いものは10万元(約150万円)以上もする。
二つ目の方法は、家柄の政治力を使うことだ。
中国には、「紅二代」や「紅三代」と呼ばれる人たちがいる。彼らの父親や祖父らは毛沢東たちと共産革命に参加した長老だ。これらの人々は政治権力を握る家族に生まれ、昇進のための自然な条件を持っている。中国共産党は彼らに権力を握らせ、統治のゆるぎない基盤にしようと考えている。
これらの人々が本当の才能を持っているかどうかにかかわらず、彼らが将校になるのは簡単だ。最年少の少将の一人である毛新宇(もう しんう)は、毛沢東の唯一の孫だ。簡単な漢字を書き間違えたり、人前で不適切な立ち振る舞いをすることもある彼は、中国人民解放軍の軍事科学院戦争理論戦略研究部副部長(副師団長と相当する)を務めている。
三つ目の方法は、共産党指導者と「特別な関係」を持つことだ
元中国共産党の総書記江沢民(こう たくみん)の愛人である宋祖英(そう そえい)は、江沢民との不倫な関係を築いた後、少将に昇進した。
習近平の個人秘書である鐘紹軍(しょう しょうぐん)は軍事経験がないにも関わらず、習近平の秘書を務めているため、2019年12月に中将に昇進した。鐘紹軍と同様の状況で、2011年7月に江沢民の元秘書である賈廷安(か ていあん)も上将(日本の大将と相当する)に昇進した。
中国軍の広範囲にわたる腐敗は、1989年に江沢民が政権を握ったときに始まった。江沢民が1989年に民主化を支持する学生運動(六四天安門事件)の武力弾圧を強く主張し、当時中国共産党中央軍事委員会主席である鄧小平(とう しょうへい)の支持をもらった。その後、江沢民は党総書記・中央政治局委員に抜擢され、鄧小平から党中央軍事委員会主席を引き継いだ。
軍事経験がないため、官僚の間でならず者としての江沢民は軍隊の中でも影響力がなく、多くの将校が彼を軽蔑した。軍隊を支配するために、江沢民はを将軍たちにビジネスを始めさせた。将軍たちが金儲けに専念するようになると、軍隊全体に腐敗がはびこった。
その結果、軍の腐敗は制御不能になった。軍隊での将校の行動は軍隊の戦闘力に大きな影響を与える。腐敗した将校は腐敗した軍隊しか生み出さない。腐敗した軍隊は、最初の一撃で粉砕される腐った木材と同じくらい脆弱だ。
(文・China Observer – Vision Times/翻訳・柳生和樹、玉竹)