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 中国当局はこのほど、食糧不足を回避するために、各省に「食糧の生産を減らしてはいけない」と指示した。中南部での深刻な豪雨被害、東北部でのイナゴ発生や干ばつなどが続いているため、当局の方針は食糧危機の発生を意味するとの見方が広がった。

 胡春華・副首相は7月27日、国内の食糧生産に関する会議で、「食糧の播種面積と生産量を増やさなければならない。減らしてはならない。国の食糧安全問題にいかなる手違いも許されない」と厳しい語気で述べた。

 中国の一部のメディアは最近、休耕地を復活させ、各地のコメ生産が増加し、雇用機会を増やしたと宣伝している。

 一方、中国メディア「中国経済網」7月28日付では、中国の鉄道部(省)は食糧を迅速に輸送する「緑色通路(グリーンゲート)」の設置を検討している。報道は、「鉄道部門は、国の『北糧南運(北部の食糧を南部に輸送する)』戦略を実行するために、食糧管理部門、物資備蓄部門と協力している」とした。

 習近平国家主席が22日、食糧の主要生産地である東北部吉林省を視察した。その際、習氏は「吉林省は、食糧安全保障政策を最優先課題にすべきだ」「戦争の際、東北部は非常に重要だ」などと発言した。

 しかし、今年、吉林省は干ばつに見舞われている。官製メディアの「中国新聞網」7月24日付は、6月1日~7月22日までの同省の平均降水量は平年と比べ3割減ったと伝えた。特に7月8~18日まで、同省の「平均降水量はわずか3ミリで、平年と比べて9割も減少した」。

 吉林省水利庁の7月27日のデータによれば、21日以降、省内では有効な降水はなかった。21~26日までの降水量は平年と比べて98.3%減少したという。

 吉林省吉林市は6月、市内でイナゴが発生した。また、7月28日、吉林省西部で農作物の天敵である外来種植物、トマトダマシ(solanum rostratum)が大規模に発生したと報じられた。

 中国ネット上では、中国国内で食糧危機がすでに発生し、当局が食糧の備蓄を急いでいるとの見方をする市民が多い。

 中国当局は最近、大豆やトウモロコシの輸入を増やしている。中国税関当局が26日に公表した統計では、6月にブラジルから大豆1051万トンを輸入した。5月と比べて18.6%増で、前年同月比では91%増となった。

 また、米農務省(USDA)が毎週公開する統計によれば、7月9~16日までの1週間で、中国向けのトウモロコシ輸出量(196.7万トン)は、週間統計として過去最高となった。中国は同週、米国から169.6万トンの大豆を購入した。2019年3月以来の高水準となった。