中国南方では大雨が絶えず、6月の梅雨期以来、7月22日までに少なくとも4552万人が被災した。インターネット上では23日、「三峡ダムの決壊予想」の動画が掲載され、人々の関心が高まっている。
動画ではまず、三峡ダム(さんきょうダム)の基礎データについて紹介。そして、ダムが完全に決壊した際の深刻な被害について述べた。三峡ダムは、高さ海抜181メートル、長さが2355メートル、正常貯水の高さが175メートル、総容量は393億立方メートルだ。
動画では、三峽ダムが決壊した後、100メートルに近い高さの洪水が急速に流れ出した。河道両岸は山体があるため洪水は分散せず、その速度は時速100キロメートルを超える。三峡下流の最初の町・宜昌市(ぎしょう-し)までわずか50キロメートルしかなく、ダムが決壊すると30分以内に宜昌市街に到達する。洪水は時速70キロの流速で宜昌市を破壊し、5時間以内に市内の水位は10メートルに達する。
洪水は宜昌市(ぎしょう-し)を過ぎると河道に沿って前進し続け、時速60キロメートル以上の速度で周辺の町を水没させ、洪水の高度は約15メートルから20メートルに達する。宜都市(ぎと-し)を水没させた後、洪水は山地を飛び出し、開けた平原地区に到達する。洪水が分散しているため、高さは8メートル以下になり、時速25キロメートルになる。荊州(けいしゅう)を水没させた後、洪水は武漢市(ぶかんし)に向かう。
動画では、洪水は決壊5時間後に350 km離れた岳陽市(がくよう-し)に達する。岳陽市(がくよう-し)の隣にある洞庭湖(どうていこ)の総容量は220億立方メートル。季節性の雨がなければ、大きな緩衝作用を果たせる。岳陽市(がくよう-し)では浸水の深さが約5メートルで、洞庭湖(どうていこ)の緩衝作用もあり、水没時間は長くない。
大規模な洪水はさらに東へ流れ、洪湖(こうこ)の緩衝作用でさらに勢力が減衰される。洪湖(こうこ)の総容量は約160億立方メートルだ。三峡から武漢市(ぶかんし)までの距離は約700 km、決壊10時間後には洪水が到達する。武漢市の海抜は18~40メートルとやや高く、一部地域は災難を免れるが、武漢を過ぎると水道が狭くなるため、行き場を失った水が溜まり易く、武漢市は比較的長い間洪水に悩まされることとなる。
この動画がインターネットにアップされるとたちまち注目を集めた。安徽省の第一線で洪水対策を行う関係者はラジオ局「希望の声」の取材に対し、この動画は行政機構が作った災害予測ではないかとの見方を示した。一般人はこれほど専門的な推測はできないという。しかし政府がなぜ映画を流出させてネットに載せたのか、理由が分からないと述べた。
この「三峡ダムの決壊予想」動画について、中国政府は一切説明をしていない。現在中国の水害は全国各地に甚大な被害を及ぼしている。もし三峡ダムの上流でさらに超巨大洪水が発生すれば、その影響は計り知れないものとなるだろう。
(翻訳・柳生和樹)