近年、中国政府は多くの省で男性の血液サンプルを採集し、中国人男性約7千万人の遺伝子のデータベースを作成している。豪州シンクタンクの学者は、中国政府が国民をより全面的に監視するために血液サンプルを採集していると主張した。
オーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute,ASPI)が6月17日に発表した研究報告によると、中国共産党の公安部は2017年下半期から、幼稚園の男の子を含む男子市民の採血を全国各地で大規模に行っている。中国国民がこの血液採集を拒否できるという情報はまだ確認されていない。
同研究によると、中国共産党公安が採集した血液サンプルは、Y染色体上の「Y-STR」と呼ばれるDNAの断片を測定するために使われている。同じ父系の男性の間では、「Y-STR」断片にほとんど差がない。つまり、「Y-STR」断片の分析を通じて、未知の男性の親戚である「Y-STR」の遺伝子とその家族の適確な系譜を分析すれば、未知の男性のDNAデータを既知の家族の系譜に結びつけることができる。
中国政府は、なぜ男性のDNAを採集しているかについて、国家統計による男性の犯罪率が高いためだと説明した。
自由アジア放送局の報道によると、北京当局は現在7千万人の男性の遺伝子データベースを作成し、既存の監視カメラ、顔認識システム及び人工知能科学技術を組み合わせることを目標としている。そのため、政府が某男性の親族に関する情報を知りたければ、手のひらを返すように簡単に知ることができるようになる。
これに対し、海外の人権団体は「国のDNAデータベース」がプライバシーを侵害するだけでなく、中国政府が反体制派の取り締まりにも悪用しかねないと警告している。国際ヒューマン・ライツ・ウォッチ組織の研究員王松蓮は、遺伝子データベースは北京政府が反体制派の親族を簡単に見つけ出して親族全員に対した報復や、中国社会全体を脅かすことにつながると考えている。
中国共産党が血液採集を実行するにあたって、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scintific)が提供した「Y-STR」の検査キットを使用している。サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック研究員の鐘昌博士は、中国公安部が中国国民の血液サンプルを採集するほか、もう一つの検査キットを使ってウイグル人やチベット人を含む中国少数民族の遺伝子情報をも収集していると披露した。
同研究所は、多国籍企業や政府に対し、中国当局や中国企業に販売するバイオテクノロジー製品が人権侵害に利用されないよう規制を強化するよう呼びかけた。
(翻訳・藍彧)