MATLABで作成した図(Wikimedia Commons / パブリック・ドメイン)

 最近、中国のハルビン工業大学とハルビン工程大学は、突如として米商務省に「実体リスト」に載せられ、米企業が開発したMATLABソフトウェアを使用できなくなった。

 複数の中国国内メディアによると、2つの大学の教師と学生は米国から購入したMATLABソフトを使えないことを発見し、メーカーに問い合わせたところ、学校側はすでに米国商務部の実体リストに入れられており、ソフトのライセンスが停止されていることが分かった。実体リストは、実際に輸出規制ブラックリストである。情報が流れると 、中国の教育界の強い関心を集めた。

 ハルビン工業大学とハルビン工程大学は中国軍の背景がある。台湾の大手新聞社「聯合ニュース」の分析によると、中国共産党(中共)の7つの国防大学の一つであるハルビン工業大学は、中共の戦闘機と宇宙工学研究の重要基地であり、大学のサークルでさえ中共の国防と関係がある。ハルビン工程大学の前身は中国初の高等軍事技術学校「中国人民解放軍軍事工程学院」で、「ハルビン軍事工程学院」とも言われている。

 この制裁措置は、中国に対する科学技術制裁が高等学校にまで及んだことを意味する。

 MATLAB(Matrix Laboratory)は商業数学ソフトであり、工業製造や理工学研究のなどの分野では極めて重要な役割を果たし、中国の各理工系大学の必須ツールソフトでもある。これはある企業がマイクロソフトのOfficeを使えなくなったかのように、MATLABの使用禁止は、二つの大学の研究活動に深刻な影響を与える。

 外界は、米政府が中国に対し、他の米国のソフトウェアの使用も禁ずるではないかとの憶測があり、中国のハイテク部門が利用できる重要なソフトウェアが少なくなると見られる。

(看中国記者・文可伊/翻訳・藍彧)