イメージ:imageteam / PIXTA(ピクスタ)

 若くして優秀で広く知られている大工さんがいました。その大工さんは年を取ってから、手仕事を教える事がほとんどなくなりましたが、「いいか、隙間を残せ」とよく言っていました。

 大工の仕事は製品がバラバラにならないように、疎密度を重視します。ぴったりと接着するときもあれば、隙間をわざと作残して組み立てる必要があるときもあります。多くの家の内装工事に、ひび割れたり、またはアーチ現象が起きたりするのはあまりにも「ピッタリ」しすぎたことが原因です。ベテランの大工さんは、ほどよく隙間を作ることによって、変形や破損など、様々なトラブルを避けることができます。それはこのコツを知っているからでしょう。

 実は、大工の仕事と同じように、「隙間を残す」というのは人生においても、人と接する上でも大切なことです。すべてが利益優先で、利害関係に対して一歩も譲らず、「ピッタリ」を求めすぎたら、人間関係にもひびや破損が生じかねません。また、何事も自分を最優先にしたら、自分の心もいつか変形してしまうかもしれません。

 自分のためにも、他人のためにも、隙間を残すようにしましょう。そうすれば、きっと人間関係にも余裕ができるはずです。

(翻訳・常夏)