今月7日に中国の科学研究者がロサンゼルスから出国しようとした際にスパイ容疑で逮捕され、中国解放軍大学の研究室に雇われていることを認めたとサンフランシスコの連邦地検と連邦捜査局(FBI)の事務所が発表した共同声明でわかった。

　声明によると、 シン・ワン（Xin Wang）容疑者は6月7日、ロサンゼルスから中国天津に向かう飛行機に搭乗しようとしたところに身柄を拘束された。同容疑者は2019年3月にカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)で科学研究という名目で渡米した。米税関・国境警備局(CBP)の調査でワン容疑者は中国人民解放軍で医学研究に従事しており、軍の大学研究室に雇われていることが明らかになった。ビザ申請の際に実情を隠したという。

　フランス通信社（AFP）の報道によると、ワン容疑者は裁判所の文書で、UCSFの研究室の重要な資料を電子メールで中国に送り、中国人民解放軍が米国の研究結果を再現するのに協力したと認めているという。さらに、UCSFの指導教授に中国がすでに当教授の研究内容を模倣したと伝えた。UCSFの研究は、米国国立衛生研究所(NIH)と保健福祉省(HHS)の援助によるものである。米国当局はワン容疑者が中国解放軍に従事していることを隠して不正にビザ申請し、医学研究員になりすまして入手したデータを中国に提供するなどで提訴している。有罪判決となれば、最高10年の禁錮刑と25万ドル（約2千7百万円）の罰金が科せられる。

　中米問題の専門家、台湾国家政策研究基金の学者曽志超はインタビューにて、「新しい技術を研究するのは時間と金銭をかけたとしても、必ずしも成果が出るとは限らない。そのため、中国当局は技術の研究に労力を費やしたがらず、手段方法を選ばずに目的を達成しようとしている」と指摘した。　

　米トランプ大統領は、6月1日から中国軍のバックグランドを有する学生と学者に対し、ビザ発給の停止及び米国大学における研究活動も一切禁止すると宣言した。

（翻訳・柳生和樹）