(写真撮影:看中国/黎宜明)

 人生の歩みにおいて、我々は何度も岐路に直面し、選択を迫られます。その選択は将来の人生をも左右します。

 あるとき、美貌、健康、金銭、幸福と信用という5つの荷物を持って旅に出かけました。道中、ある広い川が立ちはだかり、進むには川を渡らなければなりません。ちょうど船頭さんがいたので、「対岸に行くのにいくらかかりますか」と尋ね、「コイン3枚だけです」と答えてくれました。私は船に乗り込みました。船が川の真ん中まで進んだとき、突然、風が吹き荒れて波が逆巻きし出しました。船頭さんは「重荷を一つでも投げ出さないと船が沈むぞ」と言いました。私はどの荷物も大事だと思いながら、どれを投げればいいかと躊躇していました。すると船頭さんはまた「何を躊躇しているだい?早く捨てろ」と促しました。

 私は他と比べて信用がさほど重要ではないように思えたので、水に投げ捨てました。しかし、風は衰えず、波も弱まりませんでした。しばらくすると、船頭さんは「風も強いし、波も激しいので、コインを10枚くれないと、前へ進まない」と言いました。私は仕方がなくお金を渡しました。すると、船頭さんが「金を全部よこせ」と言い出しました。私は怒り心頭で「信用というものはないのか」と聞いたところ、「信用?そんなもん持ってるのか?」と聞き返されました。思い出しました、信用は先ほど水に投げ捨ててしまいました。信用が何より重要だと気付いたとき、船頭さんは川に飛び込み、しばらくして、信用を取って戻ってきました。そして、「信用を大切にしなさい」と言いました。。

 ことわざにもあるように「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」、船を沈ませないためには荷物をすてなければなりません。筆者は、人生を川にたとえて、最初は小さな流れの中で漂い、いずれ大きな波が押し寄せて来ます。こういうときに「信用」こそが生きていく上の鍵となります。誠実さと信用を常に心に構えていれば、どんな嵐にも揺らぐことはありません。

(翻訳・謝 如初)