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「国家安全法」は「一国二制度」を「一国一制度」に変更しました。トランプ米大統領は米国時間金曜日に制裁措置を発表し、香港の優遇措置を取り消ししました。台湾大学の教授、政治学専門家・明居正(めい きょせい)氏は、習近平が直面している4つの圧力を分析します。
みなさん、こんにちは。看中国の中国時事ウォッチをご覧頂きありがとうございます。今日は5月30日です。私の名前は崔海嵐(さい かいらん)です。
最近、香港の人々は一つの計算問題、2020-1997 = 50について話し合っています。多くの人はそれを変だと感じます。2020-1997 = 23ですが、答えは50です。この数学の問題を正しく理解するためには、まずこれらの数値の特別な意味を理解する必要があります。
まず、2020年はもちろん、今年のことです。1997年は香港が中国共産党政権に復帰した年であり、50は、香港の「一国二制度」が50年間変わらないという中国共産党政権の世界に対する承諾を指します。ではなぜ2020-1997 = 50なのでしょうか?中国の全国人民代表大会が香港の「国家安全法」を早期に可決したことにより、香港を事実上「一国一制度」として正式に宣言したことに相当します。
1997年に香港が中国に引き渡された時、中国共産党は世界に「一国二制度」は50年間変わらないと約束しました。しかし引き渡し後わずか23年で、中国共産党は「一国二制度」という公約を破りました。中国共産党の動きはまた、香港への世界的な注目を引き起こしました。
次に、国家安全法に焦点を当て、中国、香港、世界の最新動向、およびこの事件に対する専門家による分析を見ていきましょう。
1997年の復帰以来、香港の運命は悲劇的なものでした。香港基本法23条の立法以外に、国民教育、内輪での選挙、逃亡犯条例改正案、国歌法およびその他の多くの邪悪な法律が作成されました。そのため、香港では香港基本法23条の立法に反対する50万人のデモから、昨年の逃亡犯条例改正案に反対する100万人、200万人のデモまで、香港市民の平和、理性、粘り強さは世界中から称賛されています。
中国共産党によって施行された悪質な法律に直面して、香港市民は5月24日、抗議デモを行いました。その後、抗議活動は警察の暴力的な弾圧を受け、停止しました。
英国、米国、オーストラリア、カナダは、「国家安全法制」を強制的に採択したとして北京を非難する共同声明を発表しました。声明は、香港の人々に権利と自由を享受させ、香港社会における信頼を再構築することこそ、香港の緊張と混乱を取り除く唯一の方法であると述べました。声明はまた、全世界が感染症の拡大に注目していると強調し、政府と国際協力への信頼を高めることをも要求しました。しかし北京当局の前例のない行動は逆効果をもたらすかもしれません。
5月27日夜、ポンペオ米国務長官は、米国は香港がすでに自治を失ったと判断したとツイートし、米国は香港の人々と共にいると述べた。香港の政党「香港衆志」の黄志峰事務局長は、米国当局は次のような3つの制裁の発動を検討していると述べた。すなわち、①個人に対する制裁、②局地的な経済制裁、③香港の独立関税区域の廃止の三つです。
「個人に対する制裁措置」には、米国への入国禁止と米国内の資産の凍結が含まれます。「局地的な経済制裁」は、主に中国共産党政権のためにマネーローダリングを行う香港企業と、「香港企業になりすました中国企業」を対象としています。米国は以前、香港を自由港と見なしており、輸出入の面で香港に厳しい規制を課していなかったのです。香港衆志の羅冠聡主席によれば、国家安全保障法の採択がなければ、米国はそのような「激しい」対応をすることもないでしょう。香港の窮状の全責任は、特別行政区政府にあるのです。
近日、台湾の蔡英文総統も香港への支持を公式に表明し、行政院は台湾に滞在する香港人の居住や生活を支援する「香港人道支援活動プロジェクト」を立ち上げたと述べました。蔡英文総統はまた、中国が「香港の一国二制度は50年変えない」という約束を自ら破ったことにより香港情勢を悪化させ、地域の平和と安定にも影響を与えたと述べました。台湾は民主主義諸国と連携して香港を支援する責任があり、民主主義、自由、人権が香港で後退するのを傍観することはありません。
明教授は、現在の国際情勢を分析するには、トランプや習近平など権力者の視点から物事を見るべきだと述べています。明教授によると、習近平は四つの問題に直面しています。一つ目は、香港の支配権を失うこと。二つ目は、香港で民主主義運動が発生し、国際社会が関与すれば中国共産党に脅威をもたらすこと。三つ目は、香港問題は習近平の反対勢力によって扇動されているのかということ。反対勢力がないとしても、どのように処理すればよいのかということ。四つ目は、香港の影響によって中国本土で民主化運動が起こりかねないということ。
明教授は、四つ目の問題を除いて、上記の3つの問題が習近平の容認の臨界点をすでに超えたと述べています。そこで、習近平は強力な手段で香港の問題を対処しました。習近平は兵士を派遣し大規模な市民虐殺を行っていないが、大規模な拘束と「市民の殺害」を行い、香港の警察を利用して香港で戒厳をしました。しかし、これらの措置は香港市民の活動を弾圧できていないため、中国共産党にとって「根本的な問題」を解決する必要があります。そこで「香港国家安全法」が発足させました。
明教授は、国家安全法の導入後、最悪の事態がすぐ現れないだろうと分析しました。中国共産党は「一国一制度」に向けて準備を進めているし、「一国一制度」の実施は現時点で未定ですが、「一国二制度」は実際になくなりました。現在、中国共産党によって導入された国家安全法には、いくつかの原則的な条項のみが記載されており、詳細はまだ作成されていません。
中国共産党はこの法律をどのように推進するのでしょうか?明教授は、国際社会と香港の抵抗が激しければ、国家安全法の推進は鈍化すると予測します。逆の場合には、急速に推進するでしょう。
国と国の競争は囲碁と似ています。石を碁盤の上に置く前、すべてのステップで包括的な分析と予測が必要です。明教授は、香港で国家安全法を推進している間、中国共産党は国際的な反発も予測していたと語りました。習近平が本当に気にかけているのは、彼の政治パワーです。外部からの絶え間ない圧力の下、下手をすれば共産党内の敵対的な派閥によって攻撃されるため、習近平は後退することはできません。そこで、習近平は今後も中国共産党と中国政府をコントロールするため、強い姿勢を示します。習近平が香港市民の反発を抑えることに成功した場合、彼は中国共産党の権力闘争で有利になるでしょう。
では、トランプ米大統領は香港の問題をどのように見ているのだろうか?明教授は、5月29日にトランプ米大統領によって導入された措置は米国政府の全体的な計画の最初のステップにすぎないと分析しました。トランプ氏は再選挙の圧力を受けており、「選挙の主軸」は米国の景気回復、低い失業率及び米中貿易協定でした。しかし、武漢肺炎は米国経済の好調を阻みました。
トランプ氏が米中貿易協定を放棄するのは、次の3つの条件がそろったときだと明教授は分析します。一つ目は、第3四半期の米国の景気が改善しないことです。二つ目は、香港問題が悪化し、トランプ氏が香港問題に対し強硬姿勢をとるよう民主党に迫られることです。これにより香港問題をめぐって米国の両党が競って反共するという状況が生まれます。三つ目は、中国共産党が貿易協定を予定どおりに遂行できず、米国の対中貿易赤字が減少しないことです。
そして明教授はこう分析します。トランプ氏が米中貿易協定を放棄した場合、別の「選挙の主軸」が必要となってきます。そうなると、「反中共」が今年の米国の「選挙の主軸」となり、中国共産党は困難な状況を迎えるでしょう。
しかし、中国共産党の考え方からすれば、世界的な包囲が課せられると、中国共産党は香港への圧力を強めます。それに応じて中国共産党に対する国際制裁が高まるでしょう。明教授は、その過程で突発事件が発生した場合に、状況は悪質なスパイラルの形で発展すると語りました。彼は、中国共産党は独自の論理に従って行動し、他の国とはまるで異なる世界に住んでいるかのようだと結論付けました。その世界観は自由主義社会のそれとはまったく異なります。従って、中国共産党は物事について他国と異なる結論を導き、物事に対して他国と異なる準備をします。それは「自己実現預言」を形成します。明教授は、中国共産党は国際社会との戦いを望まないが、準備と対応の過程において、「大きな戦い」に突入するかもしれないと語りました。
また、トランプ米大統領は現地時間の5月29日に記者会見を行い、中国への対応策を発表しました。トランプ氏は、中国共産党がその約束に違反し、「中英連合声明」と「香港基本法」に違反したと語りました。中国は香港の「一国二制度」を「一国一制度」に変更し、香港は自治権を失いました。米国は、米国の利益を害する中国に対して措置を講じるべきです。例えば、香港の優遇措置の廃止や香港の自治を損なう中国共産党当局者の制裁など。
トランプ氏が示している強い姿勢について、これは新たな冷戦の始まりであり、米中関係が悪化し続けるという評論があります。そして米国は同盟国に中国共産党を囲い込むよう働きかけるでしょう。そして中国共産党に対する世界的な非難の波はすぐ現れ、中国共産党はさらに厳しい局面にさらされます。これは、自業自得の結果ではないでしょうか。
本日の時事ウォッチはこれにて失礼いたします。ありがとうございました。