イメージ:ひろし / PIXTA(ピクスタ)
このような物語がある。一本の低い木から一枚の葉が枯れ落ちた。あまりにも早く枯れ落ちたので、他の葉っぱや周りの生命はその葉をあざ笑った。しかし、ここを通った一人の賢者は「あなた達はこの散った葉に責任を負うべきです。他の葉っぱが栄養分を吸収し過ぎたので、この葉は栄養不足になりました。土壌が痩せているので、植物がちゃんと育ちませんでした。岩が日光を遮って、この葉はよく日影になっていました。風も強く、雨も少なく、数多くの原因がこの葉を早く散らしたのです。あなた達は、なぜあざ笑うのですか?」と言った。
人生でも同じように、人々は、他人の「誤り」をあざ笑うことには慣れているが、その「誤り」に対する「自分が負うべき責任」を考える事は少ない。
現在、人々の心はますます狭く利己的になり、他人を考慮する善良さはますます薄れてきた。人の「善の心」は、その形は見えないが、比類無き神秘の力を持っており、遠い空間を越え、想像を絶する高さに達することができるのだ。
神様は自然界に魔法の木「レッドウッド」を創造した。最大のレッドウッドの高さは100メートル超え、それは30階建ての高層ビルに相当する。そして、彼らは1億6千万年前から存在していると言われている。現在の北米のレッドウッドには、2000年以上生き続けているのもある。
なぜレッドウッドはこんなに高く成長することができるのだろうか?彼らは森林で群れをなし成長し、地下では、それぞれの木の根が密接に接続されて巨大な根のネットワークを形成しているからだ。大地全体を翻す程の強い嵐でなければ、一本も倒れる恐れがないため、彼らは深く根を張る必要がない。根の成長の為に消耗するエネルギー量が少なく、殆どのエネルギーは地上部分の成長に使われる。だからレッドウッドの幹は太く雄大で、雲にまでそびえ立ち、他の植物が到達できない高さにまで達することができるのだ。
他の植物と異なり、レッドウッドの根は善の要素が反映されている。レッドウッドの根は単に要求するだけでなく、自分を開き、隣接する木々とお互いの根を共有し、共通の根を通じて、お互いが密接に繋がり、支え合っている。このような特殊な根があるからこそ、レッドウッドは高くそびえ立つ木になれるのだろう。
「善」は人類生存の基盤であり、樹木の高さには限界があるが、善の高さは無限だ。高い善の心は、その領域の全てのものと無数の衆生を包容できる。他人の為の思う善の心を持つ事だけが、人が暗闇から抜け出し本当の家へ戻る道なのだ。
(文・紫菂/翻訳・謝 如初)