チェコの元上院議長・ヤロスラフ・クベラ(Jaroslav Kubera)氏(イメージ:ODS/Flickr/CC BY 2.0)
ラジオ・フランス・アンテルナショナル(Radio France Internationale、略称RFI)の4月28日の報道によると、ビロード革命※に関わったチェコの元上院議長・ヤロスラフ・クベラ(Jaroslav Kubera)氏は、台湾を訪問する前に突然死した。4月26日、クベラ氏の未亡人と娘は、チェコテレビの取材で、「台湾を訪問するな」というミロシュ・ゼマン大統領と駐チェコ中国大使のクベラ氏からの脅迫がクベラ氏の突然死の主因であると述べた。
チェコテレビの4月26日の報道によると、クベラ氏の娘は取材で、父親が1月14日に大統領府で開催された新年の食事会に参加してから、別人かのようになり無口になったと述べた。クベラ氏の未亡人ヴェラさんも、夫はその夜の帰宅後、今までなかったような動揺ぶりだったと述べた。
1月17日、クベラ氏は中国大使館の旧正月新年の宴会に招待され、駐チェコ中国大使・張健敏(チャン・ジェンミン)との会話で圧力をかけられた。張大使は、もしクベラ氏が台湾への訪問を決行すれば、自分が中国政府より解任されると言った。
未亡人のヴェラさんはチェコのメディアにその面会について説明する際に、クベラ氏は中国代表と「非常に不愉快な対談」を行ったと述べた。その後、クベラ氏の遺品を整理する際に、家族はスーツケースに中国大使館とチェコ大統領府からの2通の手紙が入っているのを見つけた。どちらの手紙も、2月の台湾訪問をキャンセルするようクベラ氏に脅迫した。この2通の手紙がクベラ氏の突然死の原因であるとヴェラは信じている。
報道によると、クベラ氏は親中派のゼマン大統領から中国大使館が書いた手紙を受け取った。中国大使館は、もしクベラ氏は台湾訪問をしたら、自動車メーカーのシュコダ・オート(Škoda Auto)やピアノメーカーのペトロフ(PETROF)、金融会社のホームクレジット(Home Credit B.V.)などの中国市場と利害関係のあるチェコの大企業が代償を払う事になると脅迫した。
4月28日、ヴェラさんはチェコ『iDNES』紙の独占取材に対し、テレビでの告発を再び行った。さらに、「共産党支配の時代でも私は目標を達成したから、民主主義の時代に誰も私を止めることができない」とクベラ氏が言っていたことから、台湾訪問の意向は固まっていたと強調した。クベラ氏の娘は、「私は父を誇りに思っている。父は終始、立場を変えていない」と述べた。
中央通訊社の4月29日の報道によると、中華民国総統蔡英文氏は、同日の新北市の視察で取材を受けた。蔡総統は、今回の疫病で、中国共産党政権が様々なところで、台湾を支持し声を上げる人々に圧力をかけている事を国際社会はますます認識しており、これらの圧力は最終的に成功する事はないと信じていると述べた。
※ビロード革命(ビロードかくめい、チェコ語: Sametová revoluce、英語: Velvet Revolution)は、1989年11月17日にチェコスロバキア社会主義共和国で勃発した、当時の共産党支配を倒した民主化革命である。スロバキアでは静かな革命(スロバキア語: Nežná revolúcia、英語: Gentle Revolution)と呼ぶ。この革命は、1か月後のルーマニア革命のように大きな流血に至る事態は起こらなかったことから、軽く柔らかなビロード(ベルベット)の生地にたとえて名付けられた。(ウィキペディア)
(翻訳・常夏)
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