4月中旬に入り、中国各地で極端な気象現象が相次ぎ、各地で災害が発生し、広く注目を集めています。華北地域では「観測史上例のない」強風が吹き荒れ、北京市では「10年に一度」の暴風が観測されました。また、約10年ぶりとなる暴風オレンジ警報(日本の「注意報」に該当)が発令されました。4月11日、北京では猛烈な風に加えて雹も降り、河北省、内モンゴル自治区、甘粛省などでは再び砂嵐が発生し、黄砂が空を覆い尽くしました。内モンゴル自治区の烏海市では、強風によって壁が倒壊しました。駐車中の乗用車が下敷きとなり、1名が死亡したとの情報もあります。市民の中には「まるで終末のようだ」と驚きを隠せない人もいました。
猛烈な風は中国の半数以上の省を巻き込みながら広がっています。中国気象局の発表によれば、4月11日午前8時から12日午前6時の間に、全国で1900以上の気象観測所が激しい風を観測し、そのうち一部地域では非常に危険な風速が記録されました。この暴風は13日まで続くと予測されています。また、影響範囲と被害の可能性は非常に高いとされています。
河南省ではさらに深刻な状況が報告されました。4月11日、林州市では非常に激しい風が観測されました。これは観測開始から60年以上の記録を更新するものでした。『大河報』の報道によると、この暴風により市内では複数の街路樹が根こそぎ倒れ、窓ガラスが風で吹き飛ばされ、多くの車両が損傷を受けました。市民はSNSで「バイクに乗っていたら電柱が倒れてきた」「強風で窓が吹き飛んだ」などと当時の様子を投稿しており、「こんな風、生まれて初めて見た」と語る声も見られました。
河南省気象局の発表によると、11日朝から12日朝にかけて省内の広い範囲で激しい突風が吹き、場所によっては猛烈な風に達しました。これにより、鄭州、三門峡、安陽、焦作、周口などの地域では一部道路が通行禁止となりました。観光施設も一時閉鎖。鄭州空港では、12日午前9時30分時点で3便が欠航、5便が遅延しました。
その一方で、中国南西部では別の形の極端気象が市民の生活を直撃しました。4月11日未明、重慶市の複数の地域で激しい雷雨が発生し、わずか6時間で雷の発生回数が6000回を超えました。これにより、いわゆる「雷雨喘息」を発症する患者が急増し、市内の病院救急部門は満員となりました。『上游新聞』によると、重慶市中医医院の南橋寺院区では、午前1時から4時の3時間で120人以上の呼吸器症状の急性発作患者を受け入れました。また、そのうち10名以上が救急治療室に搬送されたとのことです。病院は即座に緊急対応体制を発動し、医療スタッフが迅速に治療にあたりました。
「雷雨喘息」は、雷雨によって空気中の粉塵や花粉などの浮遊物質が急増し、それを吸い込んだ人が気道過敏反応を起こして呼吸困難や咳を引き起こす現象です。重慶市中医医院の劉坤医師は「雷が鳴り始めてからわずか30分ほどで患者が一気に押し寄せた。4時間で120人以上を診察したが、重症者も多く、救命救急が必要なケースもあった」と話しています。江北区に住む何さんは、元々鼻炎持ちで、11日未明に外の風雨が激しくなった時、咳が止まらなくなり、呼吸が苦しくなって眠れなくなったと語っています。医師の診察により、雷雨による急性呼吸器反応と診断されました。
こうした現象は重慶だけではなく、四川省自貢市でも観測されました。「自貢観察」抖音アカウントによると、4月10日夜に自貢市の一部地域で豪雨や雹が降り、多くの病院で「雷雨喘息」の患者が急増したとのことです。SNS上では、「午前3時に呼吸困難になった」「一晩中咳が止まらず、救急に行くかどうか迷った」「窒息しそうだった」といった投稿が多数見られ、多くの市民が同じ症状を体験していたことがわかります。
一部ネットユーザーは「こんな病気、今まで聞いたことがない」「ワクチン接種以降、奇妙な病気が次々と出てきている」と、不安や戸惑いを表す声も寄せています。
こうした北方の暴風災害と南西部の雷雨喘息の流行は、2025年に入って以降、中国本土における極端気象の頻発と、その深刻な影響を物語っています。都市インフラへの影響に加え、人々の健康や日常生活にも大きな打撃を与えています。気象当局は引き続き激しい風、豪雨、落雷などへの警戒を呼びかけています。市民には不要不急の外出を控えるよう促されており、今後の気象動向に高い関心が寄せられています。
(翻訳・吉原木子)