4月中旬、中国の広範な地域で強風を伴う悪天候が発生し、北京市や天津市を中心に、木の倒壊、建物の損傷、交通機関の混乱など、さまざまな被害が確認されました。今回の強風は風速が非常に高く、影響範囲も広大です。観測史上の記録を更新する地域も多く見られました。さらに、北部から南下した砂塵が広範囲に広がり、広東省や四川省では大気汚染が深刻化しています。

 北京市気象当局によると、11日夕方から13日朝にかけて、市内の573の観測地点のうち509地点で「猛烈な風」が観測され、350以上の地点で非常に強い風が吹き荒れました。特に門頭溝区の高地では、風速が秒速45.8メートルに達し、極めて稀な猛烈な突風となりました。房山区や通州区でも同様に非常に強い風が観測されています。

 この影響により、北京市では多くの街路樹が倒れ、12日夜までに合計1202本の倒木、4336か所で大きな枝が折、処理されました。倒木は歩道や公園、住宅街に広がり、交通の妨げや通行人への危険も生じました。その為、一部の地域では一時的に通行が規制されました。

 建物への影響も見られ、通州区や豊台区では複数のマンションの外壁や断熱材が剥がれ、破片が地面に散乱しました。住民によれば、高層階の窓ガラスが風による衝撃で割れるケースもあったとのことです。また、街中では電気設備や街灯の倒壊も確認され、迅速な補修作業が行われました。什刹海付近では湖面に大きな波が立ち、木々が大きく揺れるなど、強風の影響が広がっています。

 交通面でも大きな混乱が発生しました。北京首都空港と大興空港では、強風のため数百便のフライトが欠航となりました。一部の公園や観光施設は安全確保のため閉鎖されました。また、 市民の外出が制限される場面もありました。強風が予測されたことで、市内のスーパーでは食料や日用品を買い求める人々で混雑し、一部商品が一時的に品薄となりました。

 天津市でも同様に激しい風が吹き荒れました。11日夜から12日にかけて、薊州区の一部では観測史上最も強い風が記録されました。風速は秒速43.2メートルに達しました。市中心部でも猛烈な風が吹き、道路標識や建物の一部が損壊する被害が報告されました。市民の間では「車が風で揺れて怖かった」「こんな風は生まれて初めてだ」といった声がSNSに多数投稿されました。

 この強風により、黄砂が北部から南部に急速に広がり、広東省を含む華南地域にも到達しました。中央気象台の発表によると、13日には広東省の全21都市で空気の質が悪化し、広州市では「深刻な大気汚染」に分類されました。珠海市、仏山市、江門市などの10都市が「重度汚染」、深圳市、汕頭市などの都市も中〜軽度の汚染状態となりました。

 市民の間では「朝起きたら車が砂だらけだった」「空が黄土色に見える」「こんな砂嵐は広東省で見たことがない」といった反応が相次ぎました。省の環境当局は、住民に対し外出を控え、窓を閉めるなどの注意を呼びかけています。

 四川省も砂塵の影響を受けました。成都市、綿陽市、広元市などでは、12日未明から空気中のPM10(大気中の粒子状物質)の濃度が急上昇し、広元市では一時1316マイクログラム/立方メートルを記録しました。これは国家基準を大幅に超える数値で、市民の健康への影響が懸念されています。街では空が灰色に霞み、道端の車両や建物の表面に砂が積もる様子が見られました。

 広元市の住民によると、11日夜から風が強まり始め、翌朝には電動バイクの座席が砂で覆われていたとのことです。広安市の商店主も「夜には激しい風で道路のガードレールが倒れていた」と語っています。

 安徽省では、強風による悲惨な事故も発生しました。六安市では、12日午前11時頃、55歳の女性が電動バイクで通行中に倒れてきた街路樹に直撃しました。女性は病院に搬送されましたが死亡が確認されました。気象当局によると、当日県内の多くの町で非常に強い風が吹き、六安市の一部では秒速35メートルの風が観測されました。地元ネットユーザーの間では「枝の剪定を怠った結果ではないか」「市政が高リスクの木々を事前に処理していれば防げた事故」といった批判の声もあがっており、責任の所在が問われています。

 中国気象局の統計によると、11日午前8時から12日午前6時までの間に、全国1900か所以上の観測点で激しい風が観測されました。また、そのうち5か所では極端な風速が記録されました。専門家は、今回の風は影響範囲が広く、持続時間が長い点で典型的な極端気象であると指摘しています。今後数日間、一部地域では強風や黄砂の影響が続く見込みです。引き続き警戒が必要です。

(翻訳・吉原木子)