最近、北京や天津などの複数の地域で、「観測史上まれに見る」とされる継続的な強風が予測されています。強い寒気の影響により、瞬間的な最大風速は12〜13級に達する見込みです。北京市気象台は、過去10年で初めての強風に対する赤色警報(日本表示)を発令し、小中学校の野外活動の中止や市民の不要不急の外出自粛を呼びかけるとともに、複数のスポーツイベントが延期されました。
『紅星新聞』の報道によると、北京市気象台は4月10日午前10時30分に大風の赤色警報を発令しました。これは過去10年で初めて北京市全域に出された警報です。予報によれば、12日夜から13日昼にかけて、北京市内では平均風速4〜5級、一時的的には8〜9級、局地的にはさらに強風が予想されています。また、11日夕方から12日にかけての強風期間中には、黄砂や粉じんを伴う可能性もあります。気象当局は、今回の強風が「持続時間が長く、影響範囲が広く、災害発生のリスクも高い」と警告しています。また、12日の日中が最も風が強まる時間帯と見られています。今回の強風は、モンゴル国で10日の日中に発生した寒冷渦に由来しています。それが11日夜に北京に移動することで強い寒気が南下し、華北地域に直接的な影響を及ぼすと説明されています。
中国の風力階級によれば、8級の風は「大風」と呼ばれ、枝が折れ、人が歩く際に強い抵抗を感じるレベルです。9級は「烈風」とされ、建物に損傷を与える可能性があります。10級は「狂風」で、風速は毎秒24.5メートルから28.4メートルに達し、木を根こそぎ倒したり、家屋を吹き飛ばすことがあります。11級は「暴風」、12級は「颶風(ハリケーン)」に相当し、風速は毎秒32.7〜36.9メートル、13級では最大毎秒41.4メートルに達します。11級以上の風は陸上では非常に珍しく、12級を超えると地上の物体に対する破壊力は極めて大きいとされています。
今回の強風では、北京市全域の平均風速が6級前後に達しています。平地では9〜11級、延慶、昌平、門頭溝、房山、懐柔、平谷、密雲などの一部地域では11〜13級、山間部では13級以上の強風が予測されています。加えて、黄砂や急激な気温の低下も伴うと見られています。
赤色警報発令を受け、北京市の緊急対応部門はただちに対策を発表しました。屋外での組織的なスポーツや集会活動は全面的に中止されました。また、小中学校や幼稚園、各種教育機関でも屋外活動や遊具の使用は一時停止となりました。すべての屋外建設作業も中止されます。
北京市交通委員会は事前に複数の対策を講じています。風速が9級以上に達した場合、地上や高架の鉄道路線では該当区間の運行が停止されます。地上バスについても状況に応じて減速運転や運休の措置が取られます。また、市内で実施中の24件の道路建設工事は全面的に中断され、公園内の水上の船便もすべて運航停止となります。市民には「できる限り外出を控えるよう」強く呼びかけられています。
今回の強風は、北京市内で予定されていた複数のスポーツイベントにも影響を与えました。4月13日に開催予定だった「2025年白浮泉公園ハーフマラソン」は5月11日に延期されました。「2025年北京銀行・北京都市副中心マラソン」は4月19日へ変更されました。4月11日に開催予定だった中国スーパーリーグ第6節の試合も延期となりました。さらに、12日に予定されていた北京市の中学入試での体育実技試験も中止され、後日実施されることになりました。
今回の強風は北京に限らず、天津や河北、内蒙古、山西など複数の地域にも広がっています。天津市気象台および天津海洋センター気象台は10日、陸上および海上に対してそれぞれ赤色の強風警報を発表しました。予測では、11日夜から天津で西北風5〜9級、12日の日中から夜にかけては6〜12級に達し、粉じんや黄砂も伴う見通しです。
河北省気象台も10日12時38分に強風の赤色警報を発表しました。11日から13日にかけて、石家荘、張家口、承徳、保定などの一部地域では10〜13級に達し、その他の地域でも8〜11級の強風が見込まれます。渤海沿岸および海域でも最大で12級以上の風が吹く可能性があります。
さらに、中央気象台も4月10日18時に大風に関する赤色警報を発表しました。10日夜から11日夜にかけて、新疆、吉林、遼寧、青海、甘粛、寧夏、陝西、山西、河北、山東、河南、四川などの地域で、平均5〜10級、一部地域では12〜13級の非常に強い風が予測されています。範囲の広さと風力の強さから見ても、今回の現象は極めて異例だと言えます。
(翻訳・吉原木子)