最近、中国では若者の突然死が相次いで報道され、社会的な関心が高まっています。今年3月から4月初めにかけてだけでも、若い医師、警察官、公務員、学者、インフルエンサーなどが勤務中または日常生活の中で急死するケースが多く、その多くが20代から30代という若さでした。医学専門家は、心血管および脳血管の疾患がますます若年化していると指摘しており、急速な生活ペースや高ストレスな環境が、若者の健康を静かに蝕んでいる可能性があると警鐘を鳴らしています。
4月6日未明、浙江省玉環市第二人民医院に勤務していた35歳の整形外科主治医・陳喆氏が、2件の手術の合間に休憩を取っていた際に突如として呼吸と心拍が停止し、病院側が全力で救命措置を施しましたが、残念ながら救うことはできませんでした。病院は翌日に訃報を発表し、この事実を確認しました。院内関係者によると、陳医師はその日1件目の手術を終え、次の手術の準備のために短時間の休憩を取っていたところ、突然倒れて意識を失ったとのことです。この出来事は、多くの人々に衝撃と悲しみを与えました。
このニュースはすぐにネット上で注目を集め、多くのユーザーが哀悼の意を表しました。一方で、ワクチン接種と突然死との関連性を疑問視する声も上がっています。広東省のあるユーザーは、「ワクチンが神経系に注入されることで神経が乱れ、心筋梗塞や脳梗塞、けいれん、突然死などさまざまな症状を引き起こす可能性がある」と投稿しました。こうした言説は一部で共感を集めていますが、現時点では権威ある医学機関による科学的な裏付けはなく、慎重な判断が求められます。
同時に、医療現場の医師たちもSNS上で相次いで警鐘を鳴らしています。3月24日、徐州市腫瘍医院の心血管内科主任医師・張瑶俊氏は、動画共有アプリ「抖音(Douyin)」に投稿した動画の中で、「心血管疾患はもはや中高年だけの問題ではなく、20代の若者にも広がっている」と語りました。彼は、26歳の未婚男性が心筋梗塞を起こし、病院でステントを入れて一命を取り留めた症例を紹介し、病室で年老いた母親が「息子を助けてください」と泣き叫ぶ様子が非常に胸を打ったと語っています。
この動画のコメント欄には、多くのユーザーが自身や家族の体験を共有しており、「29歳でステントを入れた。危うく死ぬところだった」「27歳で心筋橋が原因で虚血になり、動悸や息苦しさがある」「26歳で心筋梗塞を起こしてバルーン治療を受けたが、翌年の再検査で前下行枝が75%も狭窄していた」「1994年生まれ。2021年に心筋炎、2024年には硬膜下出血を経験した」といった証言が相次いで寄せられ、心血管および脳血管疾患がいかに若年層に広がっているかが浮き彫りになっています。
さらに、葬儀業界からも不安な声が上がっています。3月21日、ある抖音の配信者は、葬儀業に携わる知人から「2024年に入ってから、1980年代〜90年代生まれの葬儀の件数が過去3年間と比べて2倍になった」と聞いたと紹介しました。最も若い事例は28歳で、35歳から40歳までの層が最も多く、そのうち67%が心源性突然死、21%が末期がんだったといいます。別の医師系配信者も、「最近は突然死が急増し、年齢もどんどん若くなっている。救命できた例はほとんどない」と訴えており、この発言はSNS上で大きな反響を呼びました。
一方、一般市民だけでなく、著名人の急逝も相次いでおり、社会の注目を集めています。4月2日には、福建省龍岩市の「外国人妻系インフルエンサー」として知られる楊奇娜さんが低血糖により急死しました。享年38歳で、かつては中国中央テレビ(CCTV)の『中華情』など複数の番組に出演し、地元ではよく知られる存在でした。4月1日には、黒竜江省ハルビン市の司法局局長・丁鋭氏が心筋梗塞で急逝。享年41歳でした。3月22日には、Eコマース研究の専門家・劉志遠氏がバス乗車中に心停止を起こし、2日間の救命措置の末、深圳で亡くなりました。享年32歳です。その他、3月20日には河南省鄭州市の上街区党委員会書記・李金勇氏(享年51歳)、3月18日には新疆ウルムチ市公安局の派出所所長・崔文亮氏(年齢不詳)、3月17日には安徽省安慶市のメディア関係者・作家の李卉氏(享年56歳)が相次いで亡くなりました。
また、2000年1月1日午前0時ちょうどに生まれたことから「世紀の赤ちゃん」として知られた解岳千(通称・千千)さんは、3月9日未明、高熱と腹痛を5日間我慢した末に突然死。享年わずか25歳でした。さらに、浙江大学の材料学教授・劉永鋒氏(48歳)、盈科法律事務所(上海)の弁護士・徐松賢氏(46歳)、中科化物(大連)技術革新サービス有限公司のプロジェクト責任者・陳瑞奎氏(45歳)など、中年世代の専門職の人々の突然死も相次いで報告されています。
こうした状況を受けて、SNS上では一般のネットユーザーたちも次々と実体験を共有しています。「私の息子は1991年生まれで、3月18日に突然亡くなった」「叔父が2月4日、突然泡を吹いて倒れ、そのまま亡くなった」「97年生まれの若い女性が、仕事帰りに急死した」「なぜ心筋梗塞や脳梗塞がこんなにも若年化しているのか?いったい誰に責任があるのか?」「絶対に新型コロナの後遺症だ」「今回の感染は家族全員に及んだ」など、不安と悲しみ、そして疑問の声が数多く寄せられています。
ワクチンや新型コロナ後遺症をめぐる議論にはさまざまな見方がありますが、若者の突然死が現実として頻発していることは疑いようのない事実です。医療専門家たちは、社会全体として若年層の健康問題にもっと目を向けるべきだと呼びかけています。定期的な健康診断、規則正しい生活リズム、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、そして精神的なストレスの緩和が重要であり、過労の蓄積や身体からの異常サインを見逃すことは、命取りになりかねないと警告しています。
かつて「最も健康的」とされていた若者世代が、いまや職場、駅の片隅、帰宅途中など、日常の中で次々と倒れ、その命が突如として絶たれています。こうした突然の別れは、多くの家庭に受け入れがたい喪失と深い悲しみをもたらしています。これらの悲劇は個人や家庭の問題にとどまらず、社会全体に向けられた重い警鐘でもあります。効率や成長を追い求める一方で、私たちは今こそ立ち止まり、本当に大切なものは何かを問い直すべき時に来ているのではないでしょうか。健康と尊厳を守ることこそが、今後の社会にとって最も根本的でかけがえのない価値であることを、忘れてはなりません。
(翻訳・吉原木子)