中国の不動産市場が長期にわたって低迷するなか、各地にある不気味なゴーストタウンが注目を集めています。最近では複数の動画配信者がゴーストタウンに潜入し、その不気味な様子を公開しています。中国全土の空き家の数は実に8,000万戸から9,000万戸にも上るとされており、一つの区画が全部空き家となるケースも珍しくありません。
専門家は、中国の不動産業は実質的に「ポンジ・スキーム」すなわち「ねずみ講」に近い構造に陥っていると警鐘を鳴らしており、歪な産業構造は中国経済全体に深刻な影響をもたらす恐れがあると指摘しています。
不気味なゴーストタウンを「探検」
2025年3月22日、浙江省嘉善(かぜん)県の不動産系ブロガーはある探検動画を投稿しました。動画の中で、「嘉善の町は、このままいけば10年後には無人のビルだらけになる。家はどんどん建てられているが、住む人はどんどん減っている」と語りました。
翌23日には、別のブロガー「陽光探路者」が「ゴースト団地」の探検動画を公開し、入居者がいない寂れた団地の様子を記録しました。ブロガーによれば、動画に登場する団地はすでに何年も前から存在していますが、ずっと入居者がいなかったとのことです。ブロガーは、「長年放置されて雑草が生い茂り、建物の入口は封鎖されている。私は昼間に来たが、窓から室内は丸見え、すべて空き部屋だった。昼でも雰囲気は悪く、薄暗くて不気味だ」と話しました。
さらに、雲南省曲靖(きょくせい)市のブロガー「鳳凰楊楊」も、自身の動画で、身近にあるゴーストタウンの薄気味悪い実態を語りました。
彼は「今日、とても怖い場所を見つけた。私は生まれも育ちも曲靖市だが、このような場所があるとは思ってもみなかった」と述べました。
その日、彼は物件を見るために出かけ、ある団地を訪れました。しかし、そこには一世帯も住んでおらず、人の気配はまったく感じられなかったといいます。
彼は、「今は真っ昼間の時間帯なのに、団地の中に入った瞬間、背筋がゾッとするような雰囲気を感じた。聞こえるのは、風の音と、遠くで吠える二匹の野良犬の声だけ。不動産業者はここに物件があると言っていたが、一体誰が住みたいと思うのか」と驚きを隠せない様子でした。
中国の空き家、8000万戸以上
アメリカの雑誌『ニューズウィーク』は3月21日、中国の不動産市場に関する報道を発表しました。記事によれば、中国では一般家庭の資産の約70%が不動産に関係しているとされています。そして、長年膨らみ続けた不動産バブルは、ここ数年、当局による規制強化によってついに崩壊し始めたといいます。
マサチューセッツ工科大学(MIT)の都市技術・都市計画部門の准教授であるサラ・ウィリアムズ(Sarah Williams)氏は、「中国の不動産開発は、すでに数年前から明らかに供給過剰だ。それでも中国政府は、開発業者に住宅建設を奨励し、銀行も新規プロジェクトに対する融資を続けている。その結果、ディベロッパーは新しく借り入れた資金で以前のローンを返済している」と指摘しました。
ウィリアムズ准教授は、「ディベロッパーは業績を上げなければならず、投下資本の回収に迫られている」と話しました。彼女によると、中国の政府と銀行は債務超過となった企業に対して新しい土地と融資を提供し、自転車操業を支えているとのことです。そして、「言い換えれば、これはポンジ・スキーム、すなわちネズミ講のようなものだ」と強調しました。
さらにウィリアムズ氏は、中国の人口が今後減少すると見込まれる中、住宅の供給過剰問題を解決するのは非常に難しいと指摘しています。特に中小規模の都市では、空き家の問題がより深刻になり、中国各地に点在する小さな「ゴーストタウン」こそが、中国経済にとって最大のリスクであると強調しました。今や、「ゴーストタウン」や「幽霊団地」は、過剰な投資やリソースの配分の失敗の象徴であり、中国国民の暮らしを脅かす大きな問題になっています。
実は中国で「ゴーストタウン」現象が広がっていることは、10年以上前から指摘されていました。
2014年には、中国メディアが「中国都市ゴーストタウン指数ランキング(2014年版)」を発表しました。このランキングには、将来的に「ゴーストタウン」となる可能性が高いとされた50の都市がリストアップされています。
「ゴーストタウン指数」とは、都市部人口と建設済み市街地面積との比率が0.5以下、あるいはそれをわずかに超えるレベルにある都市を指します。中国住宅・都市農村建設部は、「土地利用基準」の中で、1平方キロメートルあたり1万人という基準を定めており、ゴーストタウン指数もこの基準に倣っています。ここから計算すると、市街地が100平方キロメートルある都市であれば、人口は100万人程度が想定されますが、実際の人口が半分の50万人しかいない場合、その都市は「ゴーストタウン」と見なされる可能性があります。
ランキング上位に選ばれたのは、内モンゴル自治区のエレンホト市、広西チワン族自治区の欽州市、チベット自治区のラサ市、甘粛省の嘉峪関市、江西省の井岡山市、山東省の威海市、内モンゴル自治区のシリンホト市、浙江省の嘉興市、寧夏回族自治区の石嘴山市、そして海南省の三亜市です。
増え続けるゴーストタウン
「マーク・リン」というペンネームで活動する中国のネットユーザーは、2025年初めに発表した記事の中で、すでにゴーストタウン化した都市を複数取り上げています。
その一つが河北省の廊坊(ろうほう)市です。以前は首都・北京市に近い立地から不動産投資の注目先でしたが、現在は住宅価格の高騰と北京市の購入規制の影響でその魅力が薄れています。都市の経済基盤や産業基盤が弱く、住民を定着させるのが困難でした。
海南島の三亜市もゴーストタウン化しています。三亜市では多くの住宅が別荘として建てられており、常住人口が非常に少ない状態が続いています。観光産業の衰退もあいまって、不動産市場は低迷の一途をたどっています。
さらに、天津市の浜海新区(ひんかいしんく)も挙げられています。かつては経済特区として期待されましたが、外資や高度人材の誘致に失敗しました。特に交通インフラの整備が遅れている地域では空き家が増加し、ゴーストタウン化が進行しています。
そして、中国政府が6,100億元(約12兆円)を投じて開発した「雄安新区」も例外ではありません。高層ビルが立ち並ぶ一方で、人の気配は少なく、街全体がゴーストタウンのような様相を呈しています。マーク・リンは、「中国共産党は、雄安新区はまだ『成長段階』にあると主張しているが、短期間のうちにゴーストタウンという不名誉な呼び名を払拭するのは容易ではないだろう」と述べています。
賃貸市場の冷え込みが相乗効果
中国における経済成長の鈍化と高い失業率は、住宅市場にも大きな影響を与えています。
シンクタンク「中国指数研究院」の2024年度の報告書によれば、中国の主要50都市における住宅の平均賃料は、前年比で3.25%の下落となりました。この下落率は、前年に比べてさらに2.95ポイント拡大しています。2025年に入っても賃料の下落傾向は続いており、中国国家統計局の発表によれば、1月の家賃は前年同月比で0.2%の減少となりました。
経済系メディア『智谷トレント』によると、賃貸需要の減少の背景には、国民の収入見通しの悪化があるとされています。昨年、所得に関するデータを発表した15の省や直轄市のうち、北京市や江蘇省など5つの地域では、前年よりも所得が減少するマイナス成長が記録されました。
(翻訳・唐木 衛)