2025年3月28日、ミャンマーでマグニチュード7.9の強い地震が発生しました。震源の深さは30キロメートルで、今回の地震は2025年に入ってから世界で最も規模の大きい地震の一つとされています。中国の雲南省、タイ、ラオスなど広い地域に影響が及びました。なかでも、震源に近い中国・雲南省徳宏タイ族チンポー族自治州瑞麗市は、中国国内で最も強い揺れが観測された地域の一つであり、建物の損壊や人的被害が確認されています。
中国地震局によりますと、地震は中国時間の3月28日14時20分に発生しました。震源はミャンマー国内に位置しています。地震の揺れは短時間で周辺各国に伝わり、多くの地域で強い震感が観測されました。
タイ・バンコクでも明確な揺れがありました。中国出身の杜梅(仮名、トメイ)さんは、バンコク市内の25階建て高層マンションに居住しており、地震発生時は休憩中でした。彼女によると、突如として大きな音が聞こえ、目を覚ますと窓の外に水が流れており、最初は上階の配管が破裂したのだと思ったそうです。その後、すぐに室内の壁が剥がれ始め、激しい揺れを感じたといいます。
エレベーターは停止しており、杜梅さんは階段で避難しました。階段は非常に狭く、多くの住民が一斉に避難したため混乱が生じ、負傷者も出ました。「15階あたりで足が震えて動けなくなりそうでしたが、後ろから人が押してくるので、転ぶわけにはいかないと思い、手すりを掴んで一歩一歩慎重に下りました」と語っています。
また、同じくバンコクで暮らす中国人留学生の王琳(仮名、おうりん)さんは、地震発生時にオンライン試験中で、机やベッドが大きく揺れたため、すぐに地震だと気付きました。電子機器の電源を切って机の下に避難し、その後外の住民に呼びかけて状況を確認した後、屋外に避難したということです。
一方、震源に近い中国・雲南省瑞麗市では、さらに深刻な被害が報告されています。震源から約300キロメートルの距離にある瑞麗市では、中国国内で最も強い揺れが観測され、建物の壁のひび割れ、ガラスの破損、水道設備の故障などが各地で発生しました。
瑞麗市政府の発表によりますと、28日19時の時点で、住宅458棟が損壊しました。被災者は1705人にのぼっています。軽傷者2人が確認され、すでに病院に搬送されました。現地では現在も被害状況の確認が続けられています。
市街地では、地震発生時に「瑞麗・財富広場」の周辺の地面に大量の瓦礫や破片が散乱し、住民が混乱する様子が映像で記録されています。また、別の映像では、ビルの上部から水や建材が一気に流れ落ち、市民が避難する様子も確認されました。
教育機関でも影響が出ました。瑞麗第一民族中学校では授業中に地震が発生しました。教員が生徒を机の下に誘導した後、揺れが収まると迅速に避難する様、指示しました。適切な対応により、負傷者は出ていません。
医療機関でも地震の影響がありました。瑞麗景成病院では、揺れにより建物が激しく動き、産後ケア施設の看護師が新生児を守るために迅速に行動する様子が監視カメラに記録されています。1人の看護師は赤ちゃんを抱きながら床に座り込み、もう1人の看護師はベビーカーをしっかりと掴んで揺れに耐えていました。
また、高層住宅の安全性に関する懸念も高まっています。ある住民は地震後、25階の自宅に戻ったところ、廊下の壁や天井が大きく崩れ、一部のひび割れから外の空が見えるほどだったと話しています。室内では水漏れも発生し、壁面の損傷が顕著でした。こうした状況を受け、多くの住民が近隣や親戚の家に一時避難しています。
中国地震局の専門家によりますと、今回の地震はミャンマー国内が震源であるものの、中国国境に近いため、瑞麗市や芒市、騰衝市などが主な影響範囲に含まれており、強い揺れが観測されました。雲南省地震局はすでに現地に調査チームを派遣し、建物の安全性確認や被災者支援、インフラの点検と復旧作業を進めています。
新華社の報道によれば、ミャンマーでは今回の地震により1002人が死亡、2376人が負傷、さらに多くの行方不明者が発生しています。中国国内でも雲南省以外に、貴州省、広西チワン族自治区で明確な震感があり、さらに上海、江蘇、江西、天津、四川などの都市でも揺れが感じられたとの報告が寄せられています。
瑞麗市では現在、災害対策本部が設置されており、被災地域の建物点検、ライフラインの修復、避難所の運営などが進められています。電力、通信、水道などのインフラ担当部門は、被害の復旧に全力を挙げて対応しています。
専門家は、雲南省西南部がインドプレートとユーラシアプレートの衝突帯に位置しており、地震多発地域であることから、引き続き地震監視体制の強化、市民への防災教育の徹底、ならびに高層建築物の耐震性向上が求められると指摘しています。
今後も被害の全容が明らかになるにつれて、被災者数や損壊状況が増加する可能性があります。雲南省政府は、今後も地震の進展状況に注視し、被災者の生活支援と復興対策を継続していくとしています。
(翻訳・吉原木子)