2025年3月26日、中国北部の広い範囲が激しい黄砂に見舞われ、深刻な影響を及ぼし、社会のさまざまな分野で大きな関心を集めました。

 陝西省西安市では、この日、深刻な黄砂現象が発生し、大気の質が急激に悪化して「重度汚染」のレベルに達しました。視界も大幅に低下し、有名な観光名所である大雁塔は黄砂に覆われ、その全景を見渡すことが困難となりました。報道によると、西安市の高陵区および長安区では視界が4キロメートルまで低下し、リアルタイムの大気質は依然として重度汚染の水準にあります。西安市気象台は「影響度の高い天気予報」を発表し、砂塵や浮遊砂の現象が27日まで続く見込みであると伝えました。

 新疆地域もまた、深刻な黄砂の影響を受けました。3月26日18時49分、新疆和田地区の気象台は「黄砂・オレンジ警報」を発令し、今後24時間以内に和田地区の平野部で強い黄砂現象が発生するおそれがあり、最小視界は500メートル以下に落ち込むと予測されました。市街地では風速4~5級、北部の砂漠地域・風口・高地では6級以上の強風が予想されています。

 甘粛省蘭州市も例外ではなく、黄砂の影響を受け、大気質が悪化し、都市部は黄砂に包まれ、市民の外出にも支障が出ました。このほか、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、山西省、河北省、北京市、天津市、山東省、河南省などでも、浮遊砂や黄砂が観測され、一部地域では黄砂嵐まで発生しました。

 突然の黄砂に対し、多くの市民がSNSで不満や不安の声を上げました。「ついこの前まで春の陽気だったのに、急に黄砂が襲ってきた」「空気の質が悪すぎて、高齢者や子どもの健康に本当に悪影響」「外出するにはマスクが欠かせない」「視界が悪くて交通に支障が出る」「大雁塔が見えなくなるほど空気が悪いって、どれだけひどいのか」など、多くのコメントが寄せられました。ある市民は「西安で黄砂が吹いて、空気が灰まみれ。風邪気味で頭が痛いし、喉も痛い。顔を拭くタオルもなぜか臭くなるし、また洗い直してティッシュで拭かないといけない。本当に最悪の体験」と訴えました。

 中国北部では、毎年3月から5月が黄砂の多発時期です。中国林業科学研究院の主任科学者である盧琦(ろ・き)氏は、黄砂発生の主な要因として以下を挙げています:一つは地表に砂質が存在していること、二つ目は黄砂を巻き上げる強風の条件、三つ目は大気循環による運搬です。最近では北部地域で気温が上昇し、地面の凍結が解け、植生がまだ回復していないため、地表の裸地が風によって吹き上げられやすくなっています。

 こうした状況を受け、中央気象台は3月26日6時に、「寒波ブルー警報」「強風ブルー警報」「濃霧イエロー警報」「黄砂ブルー警報」を引き続き発表しました。予報では、冷たい空気と強風の影響を受け、3月26日8時から27日8時にかけて、新疆東部・南疆盆地(なんきょうぼんち)、青海省柴達木盆地、甘粛省中東部、寧夏、陝西、内モンゴル中西部および南東部、遼寧省西部、山西、河北、北京、天津、山東、河南の大部分の地域で、浮遊砂や黄砂が発生すると見られています。その中でも、南疆盆地、内モンゴル中部・西北部では、黄砂嵐、さらには強い黄砂嵐が発生する可能性があると警告されています。

 また、延安市気象台も3月26日18時11分に黄砂イエロー警報を発令し、今後24時間以内に、宝塔区、安塞区、黄陵県、黄竜県、宜川県、洛川県、富県、甘泉県、呉起県、志丹県、子長市、延川県、延長県などの地域で、黄砂または浮遊砂が発生すると予測されています。
近年、中国北方地域の黄砂の発生頻度と強度には変動が見られています。20世紀末から21世紀初頭にかけて黄砂の発生は頻繁でしたが、その後の長年にわたる防砂・治砂の取り組みにより、一定の改善が見られています。それでも、特定の気候条件が揃うと、黄砂嵐が再び発生する可能性があります。

 黄砂の影響を最小限に抑えるためには、いくつかの対策が有効です。黄砂が深刻な時には、できるだけ外出を控え、とくに高齢者や子ども、呼吸器系に持病のある方は十分に注意が必要です。また、やむを得ず外出する際は、マスクやゴーグルを着用し、呼吸器や目を黄砂から守るようにしましょう。室内では窓やドアを閉め、黄砂の侵入を防ぐとともに、空気を清潔に保つことが大切です。さらに、外出から帰宅した際には、すぐに顔や露出していた肌を洗い、付着した砂塵をきちんと落とすよう心がけましょう。

(翻訳・吉原木子)