2025年3月26日、東京都文京シビックセンターで、第97回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞選考対象作品『国家の臓器』(State Organs: Unmasking Transplant Abuse in China)が上映されました。

 同作品は「ピーボディ賞」受賞歴を持つレイモンド・チャン監督(章勇進、Raymond Zhang)が7年をかけて制作したものです。臓器狩りの現場に立ち会った元軍医等の生々しい証言を通して、中国共産党が法輪功学習者に対して行っている「臓器狩り」の実態に迫ります。

 映画を鑑賞した評論家の三浦小太郎氏は「監督の力量と、証言者たちの言葉の重みによって、この作品は中国(共産党)政府の犯罪性を暴くことに成功している」と評価しました。さらに、「中国共産党による全体主義体制が継続する限り、ジェノサイドの犠牲者たちは続出し、またその犯罪も隠蔽されることを、この映画は強く私たちに訴えている」と指摘しました。

 映画の上映後、20年近くにわたり臓器狩りの調査を行ってきたカナダの人権弁護士デービット・マタス(David Matas)氏が登壇し、観客と意見交換を行いました。マタス氏は、故デービット・キルガー(David Kilgour)元カナダ国務大臣と『中国臓器狩り』を共著し、世界に強制臓器収奪問題の深刻さを初めて指摘しました。

カナダの人権弁護士デービット・マタス(David Matas)氏(左)

 『国家の臓器』はこれまでに、アメリカ・ゴールデングローブ賞やマンハッタン映画祭・最優秀人権ドキュメンタリー賞、ニューヨーク国際映画賞など数々の賞に輝くとともに、第97回アカデミー賞選考対象作品に選出されています。

(文/黎宜明)