2025年3月20日午前11時9分、中国河南省周口市項城市にある「紅旗生物科技有限公司」で大規模な爆発が発生しました。爆発によって工場敷地はほぼ壊滅状態となり、周辺数キロメートルにわたって建物の窓ガラスが粉々に割れ、まるで地震のような衝撃が走りました。その衝撃は10キロ以上離れた場所にまで及びました。
この工場は主に農薬の製造を行っており、事故後は化学物質の漏洩に対する懸念も広がっています。
項城市応急管理局が発表したところによると、今回の爆発により3人が行方不明、4人が負傷し、二次災害は発生していないとのことです。事故の原因は現在調査中であり、20日夜の時点でも救助活動が続けられています。
しかし、この公式発表に対し、インターネット上では多くの疑問の声が上がっています。複数の地元住民や関係者によれば、実際の死傷者数は公式発表を大きく上回るとされています。SNSなどでは「すでに17人が死亡し、40人以上が負傷している」との情報が拡散しています。
あるネットユーザーは「地元の親戚が工場で働いているが、連絡が取れず、家族が探しに行ってもホテルで足止めされ、生死不明のままです」と語っています。
爆発現場近くに住む住民の呉明進さんは、爆発当時たまたま屋外にいたため難を逃れたと語ります。帰宅すると、自宅のベランダのガラスが割れ、壁にはひびが入り、周囲の住宅も多く被害を受けていました。「家族は全員出勤していて無事でしたが、本当に恐ろしかったです」と話しています。彼によれば、現場はすでに封鎖されており、十数台の救急車が出動していました。「午後5時になっても、救急車が中へ入っていくのを見かけました」と証言しています。
さらに問題視されているのは、空気中に強い刺激臭が漂っており、有毒ガスが漏れている可能性があることです。呉さんによると、工場近くの村では煙が流れ込んだため、住民は自発的に避難しましたが、政府による統一的な避難指示などは見られなかったといいます。多くの住民は親戚や友人を頼って避難しており、呉さん自身も家族とともに親戚宅に避難する予定だと話しました。
別の住民、王凱(おう がい)さんは、爆発時に工場の建物が一瞬で崩壊し、近隣の縫製工場も被害を受けたと述べています。「数十人が負傷しているはずです。救急車が次々と人を運び出していました」と証言しました。
現場の映像には、爆発後に火柱が上がり、黒煙が空へと立ち上る様子が映っており、「まるで小型爆弾が爆発したようだった」と形容されています。衝撃は広範囲におよび、周囲の住宅の窓ガラスはすべて割れ、壁にもひびが入っていました。縫製工場の従業員によると、通常は午前11時20分に作業が終わるところ、爆発はその直前に発生し、多くの作業員が負傷したとのことです。一部の負傷者は項城市第一人民医院に搬送され、治療を受けています。
ネット上では当局の発表に対して不信感を抱く声が多く、「200人が働いていたのに死者が3人だけ?」「あれほどの大爆発で行方不明がたった数人?項城市の人は爆発にも強いのか?」「昨日は17人が死亡って言ってたのに、今日は3人だけに?」といったコメントが相次いでいます。
爆発現場から約1キロ離れた場所に住む張さんは、「まるで地震のような強烈な衝撃でした」と振り返ります。自宅は大きな被害を免れましたが、隣の家の窓ガラスはすべて割れ、ガラスの破片が床一面に散らばっていたといいます。また、空気中には強い「薬品のにおい」が漂っており、足の不自由な高齢者が家にいるため、マスクを着けてなんとか家にとどまっているとのことです。
企業情報サイト「天眼査(てんがんさ)」によれば、紅旗生物科技有限公司は2014年に設立され、登録資本金は1億元(約20億円)、法定代表者かつ実質的支配者は栾可(らん か)氏で、25%の株式を保有しています。同社は主に農薬、生物技術、化学中間体の製造を行っており、従業員数はわずか30人です。ここ数年、土地使用権や契約紛争をめぐる訴訟が相次いでおり、2024年5月には無許可で排水したとして罰金を科されています。税務当局の情報によれば、現在も28万元(約560万円)の未納税金があります。
呉明進さんによれば、工場では数日前にも火災が発生していましたが、誰も深刻に受け止めていなかったそうです。「夜になるとこっそり排水していて、村民が何度も通報しても取り合ってもらえませんでした」と語ります。
この爆発事故は今なお大きな注目を集めており、当局の発表する数字と地元の実情との間に大きな隔たりがあると見られています。真実の死傷者数はいまだ確認されておらず、多くのネットユーザーが真相の公表、市民の安全確保、そして危険な化学物質を扱う企業への監督強化を強く求めています。
(翻訳・吉原木子)