アメリカ国務省は最近の内部文書において、アメリカ政府は中国共産党と中国国民を明確に区分すべきとの方針を打ち出しました。習近平の呼び名についても、従来の「国家主席」の代わりに「総書記」を用いることとなります。
米政府、中国共産党と中国人を明確に区別
「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の報道によると、アメリカ政府は今後、中国共産党(CCP)と中国国民を明確に区別する方針であることが明らかになりました。内部文書において、マルコ・ルビオ国務長官は、習近平を「国家主席(President)」ではなく、「総書記(General Secretary)」と呼称するよう明確に指示しました。
さらに、米国大使館や領事館に対し、公的な発言や声明において「中国人(Chinese)」という言葉の使用を極力控えるよう求めました。政府の行為に言及する際には、従来の「中国(China)」ではなく、「中国共産党」または「CCP」の文言を使うべきだと指示しました。
内部文書では、中国共産党による人権侵害や経済的な圧力などの「悪意ある行為」を説明する際に、「中国人の」や「中国の」という意味の形容詞を使用しないよう推奨しています。これは、中国共産党の「悪意ある行為」が中国国民全体の責任だと誤解されないようにするための配慮だと考えられています。
習近平氏を国家主席と認めない
アメリカ在住の政治評論家、陳破空(ちん・はくう)氏は自身の番組で、中国共産党が「国家主席」を「プレジデント」と訳していることに言及しました。陳破空氏は、大統領すなわちプレジデントという単語は、本来、民主的な選挙を経て選ばれる国家元首を指す言葉だと述べました。そのため、中国共産党がそのトップの名称に「プレジデント」を用いることは、意図的に国際社会を欺き、中国共産党の支配に好印象を抱かせる意図があると指摘しました。
陳破空氏は、中国共産党の機関紙や国営メディアにおいても、習近平を国家主席の肩書きで呼ぶことは稀であり、通常は共産党のトップを意味する「総書記」を使っていると述べました。
「総書記」という役職はもともと、旧ソ連のスターリンに由来します。ソ連共産党が設立された当初、レーニンはスターリンを「書記長(General Secretary)」に任命しました。当時、スターリンはソ連共産党の7人の指導者の中で最も格下の存在であり、ソ連国内での知名度はあまり高くありませんでした。しかし、レーニンの死後、スターリンは権力闘争を通じて他の指導者を排除し、最終的に最高権力者の座に就きました。その結果、本来は単なる「書記長」に過ぎなかったこの役職が、ソ連共産党の最高権力を象徴する地位へと格上げされたのです。
「総書記」という肩書きはその後、他の共産主義国家にも広まりました。そのため、「総書記」という職位は共産主義政権において高い地位を有する肩書きとなりました。
そのため、アメリカ政府が習近平を「総書記」と明確に呼ぶよう指示した背景には、中国共産党政権が単なる国家政府ではなく、共産党の支配する独裁体制であることを強調する意図があるとみられます。
アメリカ政府、中共政権の正統性を否定
内部文書の報道に前後して、アメリカ国務省は公式ホームページの国家紹介欄において、これまで使用されていた「中華人民共和国(People’s Republic of China)」という表記を改め、単に「中国(China)」と表記しました。
カナダ在住の政治評論家、文昭(ぶん・しょう)氏は、「中華人民共和国」という名称は、中国共産党政権が公式的に使用する国の正式名称であり、これを意図的に使わないということは、アメリカ政府が中国共産党政権の国家としての正統性を認めないという意思表示であると分析しました。このことは、習近平を「国家主席(President)」ではなく、「総書記(General Secretary)」という名称で呼ぶ方針と同様の意味を持つとのことです。
さらに、文昭氏は「中華人民共和国」という名称自体が、中国共産党の欺瞞を象徴していると述べました。すなわち、中国共産党はマルクス・レーニン主義を基盤としており、中国の伝統である「中華」とは無関係な政治体制です。また、「共和」という言葉には本来、選挙、投票、多数決といった民主的な要素が含まれますが、中国共産党が政権を掌握して以来、中国国民にはそのような権利は一切与えられていないと強調しました。
文昭氏は、「現在の中国の実態を考えれば、『中華人民共和国』という名称は全ての要素においてウソだ」とし、中国共産党政権のように、完全にウソとプロパガンダで塗り固められた政権は、人類史上類を見ないものだと批判しました。
中共プロパガンダのメッキ剥がれる
評論家の李大宇(り・だいう)氏は、中国共産党は長年にわたって「中国」と「中国共産党」という概念を意図的に混同させてきたと指摘しました。そして、中国共産党は自らの外見に対して強いこだわりを持っており、国内での鎮圧行為を正当化するため、政治プロパガンダを多用してきたと話しました。今や、中国共産党の手口を見抜いたマルコ・ルビオ国務長官によって、中国共産党のメッキが徐々に剥がれていると指摘しました。
評論家の李大宇(り・だいう)氏は、中国共産党が巧妙に言葉の意味を変え、美しい表現で醜い実態を覆い隠していると指摘しました。
例えば、鄧小平時代の「改革」は、表向きは市場経済の導入を意味していましたが、実際には共産党の統治を維持するための政策に過ぎませんでした。習近平政権の下では、「改革」は「政権の安定化」や「権力の強化」を指す言葉に変わり、もはや経済発展とは無関係になってしまいました。
さらに、中国共産党は法輪功学習者に対して拷問を行い、法輪功の修煉を放棄するよう強制していますが、それを「温かいケア」や「思想改造」と呼んでいます。台湾への軍事的威嚇や情報戦も、「国家統一」という言葉で美化されています。
強まる中国共産党包囲網
評論家の陳破空(ちん・はくう)氏は、アメリカ政府が「CCP」、すなわち中国共産党という名称を用いることについて、「これは単なる呼称の問題ではなく、中国共産党と中国、中国国民、そして中国文化とを完全に区別するという明確なメッセージだ」と述べました。つまり、アメリカ政府は中国国民に対して、「アメリカは中国国民の味方であり、中国共産党を打倒するために行動する」と伝えようとしているのです。今や、アメリカにとって最大の敵は中国ではなく、中国共産党そのものであると強調しました。
時事評論家の周暁輝(しゅう・ぎょうき)氏は、アメリカ国務省がこのような指示を下したことは、トランプ政権が今後、中国共産党への圧力をさらに強めていくことを示していると述べました。
周暁輝氏は、「中国共産党が崩壊しても、中国という国は存続し、さらに発展することができる。しかし、中国共産党の独裁体制が続く限り、中国の民主化は遠のき、国民は自由を奪われたままだ」と述べました。そして、「中国が真に自由で民主的な社会へと進むためには、国民が自由な選挙を通じて政権を選ぶことができる体制を確立する必要がある。その時こそ、中国人民は本当の意味で幸福な生活を手にすることができるのだ」と強調しました。
(翻訳・唐木 衛)