最近、中国共産党当局は再び消費の振興を宣言し、30の対策を打ち出しました。しかし、専門家の分析によると、これらの政策はほとんど効果がなく、経済低迷の状況を根本的に改善することは難しいとみられています。

 北京朝陽区のあるネットユーザーが投稿した動画では、地元の商店が次々と閉店し、商業環境が著しく衰退している様子が映し出されています。一方、長江沿岸の女性が撮影した動画では、多くの貨物船が川の上に停泊し、貨物を運べない状況が映っており、経済の厳しい現実が浮き彫りになっています。

 3月17日、北京のネットユーザーが投稿した動画で、朝陽区双橋10号院付近を訪れたと語りました。彼は北京五環道路周辺を歩きながら、大部分の商店がすでに閉店しており、多くの店舗には「緊急売却」や「貸出」の掲示が貼られていると述べ、その光景に衝撃を受けたと話しました。彼は、コロナ禍前はこのエリアが商業的に活気にあふれ、「繁栄を極めていた」と回想しながらも、現在は大規模な店舗閉鎖が相次ぎ、有名な「稻香村」やコピー・印刷店すら営業をやめ、美容院や理髪店などのサービス業も次々と閉店していると説明しました。そして、「こんなにも衰退するとは思わなかった」と嘆きました。

 動画には、通り沿いの店舗のほとんどがシャッターを下ろし、「貸出」「緊急売却」などの貼り紙が目立ち、かつて賑わっていた商店街が閑散としている様子が映っています。彼は閉業した不動産会社の店舗を指さしながら、「不動産会社ですら持ちこたえられないのだから、市場がどれほど厳しいかは明らかだ」と語りました。さらに、この地域の住宅の入居率は依然として高いものの、商業活動がこれほどまでに衰退しているのは、「人々にお金がないことが根本的な原因だ」と指摘しました。

 同じ日、ある女性が長江の貨物輸送の現状を映した動画を投稿しました。彼女は川面に停泊する大型貨物船を指し、「これらの数万トン級の船がすべてここに停まっていて、運ぶべき貨物がない」と語りました。彼女によると、経済情勢の悪化により市場の需要が大幅に縮小し、貨物の輸送量が激減したため、多くの大型貨物船が長江上に留め置かれ、積載するべき荷物すらない状況になっているとのことです。動画には、数十隻の貨物船が水域の中央に停泊し、何の作業も行われていない様子が映っていました。

 彼女は、「これらの船は外国からの借金を背負っているだけでなく、船員の給料、保険、年次検査などの費用もかかる。今や基本的な生計すら成り立たず、『食事にも困るほどだ』」とため息をつきました。そして、「誰か、来年の景気が少しでも良くなるかどうか教えてくれる人はいないのでしょうか?」と切実に問いかけました。

 経済の低迷が続く中、中国共産党当局は3月16日に「消費振興特別行動計画」として30の対策を打ち出しました。実際、昨年12月にはすでに「内需拡大戦略計画綱要(2022~2035年)」を発表し、「消費拡大」を経済回復のカギとして位置づけていました。しかし、専門家は、こうした政策では現在の経済危機を根本的に解決することはできないと指摘しています。

 米国の経済学者黄大衛氏は、大紀元の取材に対し、「北京当局は消費を促進することで経済回復を狙っているが、不動産市場の低迷、失業率の上昇、住民の所得の伸び悩みといった状況下では、消費意欲は依然として低迷しており、人々は支出を増やすどころか、むしろ貯蓄に走っている」と分析しました。このような環境では、単なる信用供与(融資)による刺激策では十分な効果は得られないと指摘しています。

 時事評論家の王赫氏は、大紀元の論説記事で、中国共産党の経済システムが本質的に「収奪型(略奪的)」であるため、政府は住民の消費を制約している根本的な制度的・構造的問題に向き合うことができないと論じました。中南海は「共同富裕」「消費拡大」「中間所得層の増加」といったスローガンを掲げながらも、実際には場当たり的な政策を打ち出すだけで、経済の核心的な問題には手をつけようとしないと指摘しました。彼は、「この体制が変わらない限り、中国人の消費力は回復せず、経済の苦境も続くだろう」と結論付けました。

(翻訳・吉原木子)