四川省成都市簡阳市草池镇羅家村の数百人の村民は、今月初めから集合住宅の品質問題に不満を抱き、権利を守るための行動を開始しました。彼らが受け取ったばかりの集合住宅には深刻な安全上の欠陥があり、「手抜き工事」ではないかと疑われています。しかし、政府と関連機関は責任を押し付け合い、具体的な解決策はいまだに示されていません。

 2018年、羅家村は空港とダムの建設のために全面的に立ち退きを命じられました。その為、4,000世帯以上の村民がやむを得ず賃貸住宅での生活を余儀なくされました。その生活はすでに7年にも及んでいます。今年3月1日、ようやく村民たちは集合住宅の鍵を受け取りました。しかし、内装工事を進める中で、深刻な品質問題が発覚しました。村民の羅娟(仮名)さんは『大紀元時報』の記者に対し、住宅には多数の構造上の安全問題があると語りました。例えば、地下室の梁構造に亀裂が入っていることや、屋根の浸水とひび割れが発生していることなどです。さらに、内部の施工も非常にずさんで、浴室の防水層が施工されておらず、代わりにビニール袋が使われていたほか、浴室天井の防湿層が欠如している、窓の周囲から深刻な漏水が発生している、電線と水道管が雑然と天井に張り巡らされている、床のコンクリートにひびが入り、鉄筋が露出しているといった問題が相次いで見つかりました。

 特に村民たちが頭を悩ませているのは、深刻な漏水問題です。すでに7~8世帯の住宅が浸水し、管理会社はやむを得ず集合全体の給水を一時的に停止しました。しかし、この対応はあくまで一時的なものであり、根本的な解決にはなっていません。羅娟さんは、「私たちの家は両親のために準備したものです。すでに家具も搬入していました。しかし、上階の住人が内装工事を行っていた際、三角バルブが破裂し、水が漏れ出しました。その結果、家の中が一晩中水浸しになり、家具や家財が大きな損害を受けました」と語りました。

 村民たちの最大の懸念は、まだ内装工事が始まっていない住戸が多いことです。今後、他の住戸で内装工事が進めば、新たな漏水事故が発生する可能性が高く、自宅が再び浸水するリスクがあります。その際に責任の所在が不明確なままでは、補償を受けられず、問題が繰り返されることになります。

 3月2日以降、村民たちは次々と管理会社、地元政府に問題を報告しました。ピーク時には400~500人規模の村民が抗議活動に参加しました。しかし、政府側は対応を曖昧にし、実質的な解決策を示しませんでした。3月3日、管理会社は村民たちに対し、集合住宅の管理事務所で会議を開き、住宅問題の解決策を協議すると通知しました。しかし、村民たちが現地に到着しても、政府関係者はなかなか姿を現しませんでした。この状況に村民たちは怒りをあらわにし、一部の住民は扉を叩いて抗議しようとする事態にまで発展しました。最終的に政府の担当者がようやく姿を現し、翌3月4日に施工業者、住宅建設局、政府代表と村民たちが会談を行うことを約束しました。

 3月4日、村民たちは事前の約束通り、地元政府の会議室に集まりました。しかし、政府側は当初の約束を守らず、施工業者も住宅建設局の代表も現れませんでした。村民たちは強く抗議し、政府側に対して誠実な対応を求めました。しかし、政府担当者は「この問題は上層部の決定に従うしかない」と述べるのみで、具体的な解決策を提示することはありませんでした。これにより、村民たちの怒りはさらに募り、会場での抗議活動が激化しました。

 その後も村民たちは連日、問題解決を求めて関係機関に訴え続けました。しかし、政府側は一貫して責任逃れの姿勢をとり、問題の根本的な解決には至りませんでした。一部の村民はメディアに向けて現状を告発し、SNSを通じて情報を発信しました。しかし、インターネット上では村民たちの投稿が次々と削除され、一部のアカウントは凍結されるなど、情報統制が行われている様子がうかがえました。

 政府の対応の遅れに対し、村民たちは明確な要求を掲げています。政府が現金補償を行い、村民自身が費用を負担して住宅の内装を進められるようにするべきだという意見です。これにより、住宅の品質を確保できると考えています。彼らはすでに、開発業者による「修理」には全く信頼を置いていません。しかし、現時点でも政府は具体的な解決策を提示しておらず、単に村民たちに住宅の品質問題を登録するよう求めるのみです。「後日対応する」との曖昧な返答を繰り返している状況です。

 「私たちは7年間も仮住まいでの生活を強いられ、ようやく手にした集合住宅がこのような状態では、とても安心して住むことはできません」と、羅娟さんは嘆きます。彼女によると、村民たちは今後も抗議を続け、政府に対して根本的な問題解決を求めていく意向を示しています。しかし、多くの村民は「政府が真剣にこの問題を解決する気があるのか疑問だ」と不信感を抱いています。

 現在、村民たちは政府側からの正式な回答を待っている状況です。しかし、問題がいつ解決されるのかは依然として不透明なままです。

(翻訳・吉原木子)