中国中央テレビの「3·15」特別番組で、山東省済寧市梁山にある「希希紙製品有限公司」が、本来は処分されるべき不合格の生理用ナプキンの廃棄品を回収し、再加工して販売していたことが報じられ、世論の大きな関心と議論を呼びました。
「3·15」特別番組は、中国中央広播電視総台(CMG)が中国政府関連部門および中国消費者協会と共同で主催しています。この番組は、消費者権益保護を目的としています。1991年から毎年3月15日の「国際消費者権利デー」の夜に放送され、消費者権益を侵害する典型的な事例を暴露し、消費者の権利意識を高めるとともに、社会全体で消費者の保護を強化することを目的としています。
業界の規範によると、正規の使い捨て衛生用品メーカーは、製造工程で発生した不良品や廃棄物を粉砕処理し、市場に流通しないようにする義務があります。しかし、山東省済寧市梁山にある「希希紙製品有限公司」は、1トンあたり260元から1400元の価格で、正規メーカーから本来廃棄すべき不合格の生理用ナプキンを買い取り、形が整っており、目立った汚れや破損のない「見切り品」を選別し、再加工して販売していました。これらの産業廃棄物は、本来処分されるべきものであるにもかかわらず、市場では1トンあたり7,000〜8,000元もの高額な価格で販売され、大きな利益を生んでいました。
さらに、この会社は「見切り品」を選別した後の残りの廃棄物を粉砕し、木材パルプなどの原料を分離・回収し、再び使い捨て衛生用品の生産工程に投入していました。つまり、これらの産業廃棄物は一部が直接再販され、残りも原料として再利用される形で市場に流通していたのです。
中央テレビの調査によると、山東省梁山にある「希希紙製品有限公司」の責任者は、長年にわたり紙おむつや生理用ナプキンのメーカーから低価格で製造過程で発生した不良品を買い取っていました。中には、1トンあたりわずか260元という価格のものもありました。同社の倉庫には数百トンに及ぶ不良品が積み上げられています。責任者は「運が良ければ30トンの不良品のうち15トンは『見切り品』として販売できる」と明かし、さらに専属の買い取り業者がそれらを回収していたといいます。
企業情報データベース「天眼査App」によると、「希希紙製品有限公司」は2022年3月に設立されました。法定代表者は劉成乾、登録資本金は1万元で、事業内容は紙製品の製造・販売、パルプの製造・販売、工芸品やギフト用品の販売などとされています。注目すべき点として、同社は2024年7月に資本金を100万元から1万元に突然減資しており、外部からの疑念を招いています。
この事件の報道後、世論は大きく揺れ、多くのネットユーザーが監督当局に対する疑問を投げかけました。「これほど大規模な違反行為が長年見過ごされていたのはなぜか?」「取り締まり機関の責任はどうなっているのか?」といった声が相次ぎました。一部のネットユーザーは、「普段は調査しないのか?なぜ毎年3·15の番組でしか発覚しないのか?」と怒りを露わにしました。また、「こんな大企業なのに、地元の管理局は知らなかったのか?結局テレビの報道を見て初めて知ったのでは?」と皮肉る声も上がりました。さらには、「信頼できる生理用ナプキンのブランドはあるのか?」「今さら調査しても、すでに多くの女性が被害を受けているではないか!」と嘆く声もありました。
実は、中国における生理用ナプキンの品質問題は今回が初めてではありません。昨年も「生理用ナプキン業界の信用崩壊」騒動が発生し、多くの消費者が香港や日本での購入に走る事態となりました。ラジオ・フリー・アジア2024年11月の報道によると、中国の生理用ナプキンの品質は不安定で、サイズの縮小や、「黒心綿」と呼ばれる低品質のコットンの使用が疑われる製品が見つかったと指摘されています。広州市の張さんは「香港で買う方が品質に安心できるし、使うのも心配がない。中国の関係当局はもっと規制を強化してほしい」と語りました。深圳市の沈さんも「最近、抖音で多くの議論が交わされていて、中には『生理用ナプキンに虫の卵が混入している』という話もあり、本当に恐ろしい」と懸念を示しました。
中国には15歳から49歳までの女性が約3億4000万人います。2022年の生理用ナプキンの生産量は1266億枚、市場規模は980億元に達しています。しかし、品質問題がたびたび浮上し、一部の消費者は生理用ナプキンの代わりに医療用のパッドを使用するようになっています。今回の山東省梁山「希希紙製品有限公司」の事件は、中国の生理用ナプキン業界の監督体制の不備を改めて浮き彫りにしました。消費者からは、「監督機関は『3·15』の特番で暴露された後だけでなく、日常的に監督・管理を強化すべきだ」との声が強く上がっています。
(翻訳・吉原木子)