中国の「両会」が閉幕したばかりの3月11日午後、江蘇省泰州市の工業園区にある江蘇恵利生物科技有限公司で激しい爆発が発生しました。現場には紫色の煙が立ち込め、衝撃的な光景が広がりました。この爆発により4人が死亡、4人が負傷しました。現地の住民の多くは、空気が汚染されているのではないかと懸念し、「空気が臭い」との声が上がっています。

 ネット上に投稿された動画では、爆発音が遠く2キロ先まで響き渡り、周囲の窓や扉が揺れた様子が記録されています。爆発後、現場には紫色の煙が渦巻き、化学物質の爆発によるものではないかと推測されています。江蘇省のネットユーザーの間では、「紫色の煙は緑色よりも有害なのでは?」「この煙の色はどう見ても危険」「臭素ガスや二酸化窒素は毒性が強く、呼吸器系に深刻なダメージを与える可能性がある」などの懸念の声が広がりました。目撃者によると、爆発後には救急車が次々と現場に駆けつけ、救急隊員の中には二重のマスクを着用している人もいたとのことです。

 3月12日未明、泰州市高港区の緊急管理局は、今回の事故で4人が死亡、4人が負傷したことを正式に発表しました。また、「環境への二次的な影響は確認されていない」と強調しました。しかし、地元の住民の間では疑念が消えず、「永安化学工業園はすでに閉鎖されるはずだったのに、なぜ今も稼働しているのか?」といった批判の声が上がっています。

 また、山東省のネットユーザーからは「化学工場が爆発しても、環境には影響がないと発表されるのが常識なんですね」と皮肉交じりのコメントが投稿されました。さらに、「爆発の影響は広範囲に及び、遠く離れた宜興市の空にも紫色の光が見えた」との目撃証言もあり、事故の深刻さが浮き彫りになっています。しかし、爆発の詳細な原因については、当局からの説明はなく、「調査中」とだけ発表されています。

 今回の泰州の化学工場の爆発だけでなく、「両会」期間中、中国各地でさまざまな事故や異常気象が発生し、世論の関心を集めました。

 3月11日早朝、中国中央気象台は黄砂警報(青色警報)を発表し、その日、北京、天津、河北、山西、陝西を含む北部12省で黄砂や浮遊粉塵の影響が出ると予測しました。北京では、PM2.5の汚染が深刻化し、大気の質が悪化しました。北京市生態環境監測センターのデータによると、午前8時の時点でPM2.5の濃度は147マイクログラム/立方メートルに達し、一部の地域では「重度汚染」に分類されました。

 夜になると、北京はさらに強い砂嵐に見舞われ、視界が大幅に低下しました。市民からは、「せっかく洗車したのに、雨が降ったと思ったら泥まみれ」「部屋の中にいても砂の匂いがする」といった苦情が相次ぎました。山西や陝西でも、「春になると毎年こうなる。最近は夏でも砂嵐が続くようになった」との声が上がっています。

 さらに、「両会」期間中には各地で突発的な事故が頻発しました。3月7日、江蘇省宿遷市泗陽県の住宅で連続爆発が発生し、大きな火柱が上がりました。爆発の威力は凄まじく、プロパンガスのボンベが爆風で道路の反対側まで飛ばされたほどです。政府は「住宅の爆発」と発表しましたが、SNS上では「実際はガスステーションの爆発ではないか」との憶測が広まりました。

 また、「両会」初日の3月4日には、上海で「昼間なのに空が暗くなる」という異常現象が発生。翌5日には、上海の地下鉄で車両内に白煙が充満し、「焦げたような臭いがした」との証言がありました。同じ日、中国東方航空のハルビン発ソウル行きの旅客機の機長が突然けいれんを起こし、機内で白い泡を吐く異常事態が発生し、緊急着陸となりました。

 さらに、北京の国家信訪局(陳情局)の前では、一人の高齢者が自ら命を絶つ事件が起こりました。SNSに投稿された動画では、女性の声で「また信訪局で人が死んだ……みんな、追い詰められている」と悲痛な叫びが聞こえます。しかし、この事件について政府からの正式な発表はありませんでした。

 こうした一連の事件に対し、中国当局は情報統制を強めました。「両会」期間中、地方政府は事故や異常現象に関する情報の拡散を厳しく制限し、SNS上の投稿削除を求める事態も発生しました。例えば、江蘇省宿遷市の爆発事故では、地元警察が住民の家を訪れ、爆発の映像を削除するよう指示したと報じられています。

 「有害な紫色の煙が人体に影響を与えないはずがない。だが、この国では国民には知る権利がない」「事故が起きるたびに『環境への影響はない』と言われるが、現実には空気中に異臭が漂っている」といった批判の声がネット上に溢れています。
泰州の化学工場爆発、北京の砂嵐、頻発する事故など、政府の沈黙と情報統制の中で、多くの人々が疑問を抱き始めています。一部のネットユーザーは、「これは単なる偶然の天災なのか、それともより深刻な危機の前兆なのか」とコメントしました。

(翻訳・吉原木子)