中国当局は一貫して無神論を唱え、国民の信仰を極力制限してきました。しかし、最近、福建省福州市長楽区厚福郷で行われた民俗行事「遊神」は、大勢の人々を惹きつけ、会場は熱気に包まれました。しかし、その後、会場で警察との衝突が発生しました。多数の警察官が盾を手に現場を封鎖し、秩序維持を図ろうとしました。しかし、怒った人々は抵抗し、爆竹を投げつけながら警察のバリケードを突破し、行事を続けました。この出来事に対し、中国のネットユーザーは驚きを隠せず、「これは信仰の力の証だ」と称賛する声が多く上がりました。中には「人民蜂起の時が来た。全国の人々もこれに続くべきだ」といった発言も見られました。
この「遊神」活動は、SNSを通じて中国全土に広まり、大きな話題となりました。2月24日には、あるネットユーザーが「このイベントは大盛況だ。 政府はもはや人々の信仰を止めることはできない」とのコメントとともに動画を投稿しました。複数の映像では、街中が人で埋め尽くされ、人々が信仰する神を担ぎ、あるいはその周りを囲んで行進する様子が映し出されています。また、装飾を施した山車の上には「鼓板隊」と呼ばれる音楽隊が乗り、太鼓を叩きながらゆっくりと進行していました。その華やかな光景は、多くの観衆が写真や動画に収めるほどの人気ぶりでした。
SNSのコメント欄では、この伝統行事を支持する声が相次ぎました。「これこそ正しい!神を信じるべきで、政府(共産党)なんか信じてはいけない!」「福建、広東、浙江の人々は昔から政府の言いなりにはならない。それが彼らが海外へ活躍の場を求めた理由だ」「信仰の力は決して抑えられない!長楽の人々の団結する姿に感動した!」といったコメントが寄せられました。
しかし、当局はこの「遊神」活動を黙認することはありませんでした。現場には多数の警察車両が配置されました。 警察官が列を作り、行進を阻止しようとしました。この対応により、現場の緊張は一気に高まりました。ある動画では、一人の若者が怒りに任せて、爆竹の束を警察隊に投げつけ、それに驚いた警察官たちは慌てて逃げる様子が映っていました。また、別の動画では、大勢の警察が道路を封鎖し、行進を阻止しようとする場面も捉えられていました。しかし、怒った群衆は物を投げたり、爆竹を燃やして抵抗しました。その場には煙が立ち込め、最終的に警察は後退を余儀なくされました。民衆は封鎖を突破し、行進を続けました。
SNS上では、この出来事に対して様々な意見が交わされました。「絶対に諦めてはいけない!誰が止めようとしても無駄だ。団結こそが信仰を守る鍵!」「来年は村全体で参加して、政府が何人の警察を送るか見よよう!」「政府は国民の生活には無関心なくせに、こういうことには必死になる!」「彼ら(政府)は常に国民の限界を試している!」といった声が上がりました。
福建省だけでなく、広東省湛江市でも「遊神」の禁止に対する抗議が発生しました。ネット上の情報によると、2月8日、広東省湛江市龍潮村では、多くの村民が集まり、政府による伝統行事「遊神」の強制中止に抗議しました。それ以前の2月3日には、湛江市で既に「遊神」を巡る警察と市民の衝突が起きていました。動画には、警察が盾を構え、完全武装で厳戒態勢を敷く様子や、さらには警察犬まで投入される場面が記録されていました。突然の大量の警察の出動により、現場では混乱が発生し、ピンクの服を着た女性がショックで動揺し、ふらつく様子が動画に残されています。周囲の人々が彼女を支えてなんとか落ち着かせる場面も見られました。
この一連の出来事に対し、ネット上では「今の政府は国民の団結を恐れている。千年以上続く沿岸地域の伝統文化に対し、これほどまでに警戒するとは?」「中国共産党」は空も大地も空気も支配しようとする。抵抗しなければ、いずれ呼吸する権利さえ奪われる!」といった批判の声が相次ぎました
「遊神」は、福建省、特に福州地方における重要な民俗行事の一つです。この行事は、主に旧暦1月3日から15日まで行われます。村々で実施される「年中行事」の一環として位置づけられています。「遊神」の目的は、廟に祀られている神々を迎え出し、村内を巡回させることです。五穀豊穣や地域の平和を祈ることにあります。
伝説によると、明朝初期、潮州の官僚・謝少蒼が永昌府で施政を行っていた際に、飢饉に苦しむ民に、政府の糧食を配りました。しかし、これが朝廷の怒りを買い、謝少蒼は拷問を受けることになりました。刑を受ける前に彼の夢に神が現れ、それが王伉廟の神像とそっくりだったといいます。彼は神の加護に感謝し、その神像を潮州へ持ち帰り、急流で有名な韓江の「青龍古廟」に祀りました。その後、韓江の水害は治まり、人々はこの神を「安済聖王」として崇めるようになりました。以来、新年や祝祭日、神の誕生日には、人々が神像を神輿に乗せて村を巡回し、神の加護を願う風習が続いています。
福州の「遊神」では、伝統的な太鼓隊が同行します。行列の中には哪吒、孫悟空、二郎神といった神々の役を演じる若者たちが参加します。木偶や化粧を施した衣装で再現された神々が行列を盛り上げ、家族や地域社会の結びつきを強めます。同時に、この伝統文化を次世代へと受け継いでいく役割を果たしています。近年、政府の規制が強化され、これらの民俗行事が制限、禁止されています。しかし、SNSでは「これは単なる文化ではない。信仰であり、力である。中国政府がそれを止めることは決してできない」との声が後を絶ちません。
(翻訳・吉原木子)