最近、中国国内の複数の情報源によると、少なくとも5つの省で深刻な鳥インフルエンザが発生しています。しかし、中国共産党は一切公表せず、家畜の処分に関する情報も発表していません。そのため、多くの人々は、ウイルスに感染した家畜が市場に出回り、人々の食卓に届くのではないかと懸念しています。
養殖場で深刻な被害
養殖業者からは、鳥インフルエンザの深刻さを訴える声が上がっています。ガチョウの養殖を行うブロガー「ガーガー」さんは、1月26日に動画を投稿しました。動画のなかでは、「現在、山東省、河南省、河北省でアヒルの鳥インフルエンザが発生し、ガチョウにも悪影響を及ぼしている。一部のガチョウも感染しているので、注意しよう」と注意を呼びかけました。
河南省の養殖業者も、河南省濮陽(ぼくよう)市で飼育されているガチョウが壊滅的な被害を受けたことを証言しました。
さらに、江蘇省の女性養殖業者「小棉袄(シャオミェンアオ)」さんは、2024年12月中旬の動画で、山東省、安徽(あんき)省、河北省、そして東北地域が鳥インフルエンザの流行地域であると警告しました。彼女は「最近、養鶏場で感染が拡大している。経営者は、必ず換気を徹底し、家畜の免疫力を高めてほしい」と呼びかけました。
江蘇省にあるガチョウ飼育会社「亮羽農牧(りょうばのうぼく)」は、1月14日の「緊急通知」と題する動画で、ワクチン接種を呼びかけました。「最近、鳥インフルエンザが急増している。必ず本物の鳥インフルエンザワクチンを接種してほしい。政府が推奨するものでもかまわない。H9型ワクチンだけでは不十分だ。当社が提供するワクチンを使用してもいい」と注意喚起しました。
山東省沂南(ぎなん)県の養殖場では、鳥インフルエンザの発生により、大量のアヒルが次々と倒れ、死亡しました。養殖業者によると、アヒルは5日前にワクチンを接種したものの、H5型ウイルスには効果がなかったとのことです。
また、山東省の別の養殖場「養鴨春姐(アヒルねえさん)」の動画には、地面に横たわる大量のアヒルの姿が映されています。養殖場の経営者は「養殖業の苦労は計り知れない。孵化したばかりのヒナも、餌を食べる前に全滅してしまった」と嘆きました。
技術支援を行う企業「偉控易聯養殖(いこういれんようしょく)」は、早期の対応が重要だと指摘しています。
「アヒルやニワトリの群れで、10羽程度が足を引きずったり首をねじるなどの神経症状を示した場合、その日のうちに治療薬を投与すべきだ。さもなければ、翌日には感染が300羽〜500羽に広がり、3日後には数千羽に達する可能性がある」。
また、山東省の養殖業者は1月29日に、「今回の鳥インフルエンザで養殖業者は壊滅的な被害を受け、大きな損失を被った」と述べました。
複数のウイルスが同時流行
中国のあるウイルス検査センターの2024年年12月の報告によると、H5N1、H5N2、H5N6、H5N8といった複数のインフルエンザウイルスの亜型がアヒルの群れの中で感染を拡大させており、ウイルスに感染したアヒルや他の家畜が主な感染源となっています。
さらに、幼鳥に感染するパルボウイルスや、節足動物を介して伝播するフラビウイルス、感染した動物の免疫力を低下させるサーコウイルスも流行しています。特にサーコウイルスは感染した動物の免疫機能を低下させ、二重または多重感染を引き起こし、近年、世界の養殖業に深刻な経済的損失をもたらしています。
このウイルス検査センターの発表によると、山東省の複数の地域でウイルス感染が確認されました。
2024年11月29日、江西省では生後20日目のアヒルが鳥インフルエンザウイルスとパルボウイルスの陽性反応を示しました。
2024年12月21日、山東省臨沂(りんぎ)市では、アヒル9,500羽が鳥インフルエンザウイルスの陽性反応を示しました。
2024年12月23日、山東省泰安(たいあん)市では、アヒル15,000羽が鳥インフルエンザウイルス陽性と確認されました。
2024年12月24日、山東省聊城(りょうじょう)市では、14,000羽のアヒルがフラビウイルスの陽性反応を示しました。
2024年12月26日、山東省済寧(さいねい)市では、生後22日のガチョウ900羽が鳥インフルエンザウイルスとパルボウイルスの陽性反応を示しました。
2024年12月27日、山東省聊城(りょうじょう)市では、生後65日目のアヒル5,000羽がフラビウイルスの陽性反応を示しました。
2024年12月30日、山東省済寧(さいねい)市では、800羽のガチョウが鳥インフルエンザウイルス陽性と確認されました。
2025年1月6日、山東省聊城(りょうじょう)市の養殖場では、12,000羽のアヒルが5日間のうちに甚大な被害を被りました。検査の結果、鳥インフルエンザウイルスの亜型のほか、フラビウイルスとサーコウイルスも検出されました。これら3種類はいずれも家禽にとって致命的なウイルスです。
中国当局、感染拡大の隠蔽図る
中国国内で発生している鳥インフルエンザについて、中国疾病予防管理センターや国家衛生健康委員会は、感染状況への言及を避けています。中国の国営メディア「中国中央テレビ」は、韓国で鳥インフルエンザが急速に拡大し、135万羽の卵用のニワトリが処分されたことや、日本、アメリカ、イギリスでの感染状況を報じました。しかし、中国国内の鳥インフルエンザの発生についてはほとんど報道していません。
中国メディアが諸外国の鳥インフルエンザ感染を大々的に取り上げるなか、中国当局はそれに対応する政策を発表しています。例えば、プエルトリコが世界動物衛生機関(OIE)にH5N1型高病原性鳥インフルエンザの発生を報告すると、中国税関総署と農業農村部は直ちに「プエルトリコからの高病原性鳥インフルエンザ流入を防止する」旨の公告を発表しました。
中国当局が国内の感染状況に触れず、国外の事例ばかり取り上げることに対し、一部の中国市民は疑問を示しています。
上海市に住む王さんは、中国国内で感染した家畜類の処分がニュースにならないのは、養殖業者が感染した肉類を市場に流通させているからではないかと懸念しています。また、江蘇省の養殖業者は海外の中国語メディア「大紀元」の取材に対し、「地元の養殖場10カ所で鳥インフルエンザの感染が確認されたが、そこにいた家畜は全て販売された」と明かしました。
中国共産党は鳥インフルエンザが多くの省で養殖場に蔓延している事実を隠ぺいしようとしているだけではなく、人に感染する恐れがあるH5N1型鳥インフルエンザの流行についても情報を封鎖しています。
中国の鳥インフルエンザ専門家である劉秀梵(りゅうしゅうぼん)氏は、およそ10年前にH5N1ウイルスに関する論文を発表しました。しかし、最近あるネットユーザーがその論文の概要をSNSに投稿したところ、すぐに削除されました。さらに、該当論文のデータも中国の医薬情報サイトから消されました。
H5N1型鳥インフルエンザは、世界保健機関(WHO)も警戒する感染症であり、人から人への感染が確認されれば、世界的な危機につながる可能性があります。
この論文が2014年に発表された際、その最初の部分には3つの重要な情報が記載されていました。
まず、H5N1型鳥インフルエンザは1996年に広東省のガチョウの群れで初めて発生したことです。
そして、H5N1型鳥インフルエンザは発生後、アジア、ヨーロッパ、アフリカの63の国と地域に広がったことです。。
さらに、2003年から2004年の間に、16か国で667人の感染が報告され、393人が死亡しました。その致死率は約60%に達していました。
2003年頃のSARSの大流行や新型コロナウイルスの感染拡大に際して、中国共産党は国内の感染状況を隠ぺいし、世界各地にウイルスが拡散する結果となりました。特に新型コロナウイルスのパンデミックについては、アメリカを中心に中国共産党の責任を追求する動きが広がっています。中国の透明性の欠如が問題視されるなか、積極的な情報収集が今まで以上に重要となっています。
(翻訳・唐木 衛)