2025年1月、中国の新エネルギー車市場は厳しい寒波に見舞われ、販売台数が全体的に大幅に減少し、多くの自動車メーカーが「半減」に近い売上減少を記録しました。2月1日には、多くの新エネルギー車メーカーが1月の販売データを発表し、市場の低迷がより一層明確になりました。データによりますと、鴻蒙智行(こうもうちこう) の納車台数は34,987台で首位となりましたが、前月比で29.28%減少しました。小鵬汽車(シャオペンきしゃ) は30,350台を納車し、前月比17.3%減と最も小さい下落幅を記録し、月間販売台数で2位となりました。2024年の新エネルギー車販売台数でトップだった理想汽車(りそうきしゃ) は、1月に29,927台を納車しましたが、前月比48.85%減となり、順位が3位に下がりました。同社は2024年に年間販売台数50万台を超えていましたが、大きく落ち込んでいます。
また、零跑汽車(れいぱおきしゃ) は25,170台を納車し、前月比40.8%減、小米汽車(シャオミーきしゃ) は2万台超を納車し20%減、蔚来(ウェイライ) は13,863台を納車し55.5%減となりました。極氪(ジークー) は11,942台を納車し56.08%減、広汽埃安(こうきあいあん) のグローバル販売台数は14,393台で69.28%減、深藍汽車(しんらんきしゃ) は24,575台で32.81%減、阿維塔(アーウェイター) は8,826台で20.25%減、嵐図汽車(らんときしゃ) は8,009台で34%減となっています。
市場の低迷は業界データにも反映されています。紅星資本局(こうせいしほんきょく) の調査によりますと、1月の中国自動車ディーラーの在庫警告指数は62.3%となり、前年同月比2.4ポイント上昇、前月比12.1ポイント上昇し、景気の分岐点とされる基準値を大きく上回っています。これは、自動車流通業界が不景気の領域にあることを示しています。77.7%のディーラーが「1月の市場は予想を下回った」と回答し、41.0%のディーラーは「1月の販売台数が前年12月より10%以上減少した」と述べています。流通協会の予測によりますと、1月の乗用車の最終販売台数は前年12月の約3分の2にあたる約185万台となる見込みです。
市場の低迷を受け、ディーラーは在庫の処分を加速し、仕入れのペースを調整する戦略を取っていますが、1月の販売不振により、依然として在庫圧力が高まっています。新車販売の赤字は広範囲に及び、ディーラーの資金繰りの厳しさも依然として解消されていません。
中国の新エネルギー車業界は長年、過剰生産、激しい価格競争、企業間競争の激化という状況に直面しています。車質網(しゃしつもう) のデータによりますと、2020年以降、35の自動車ブランドが市場から撤退、破産、または再編を余儀なくされました。AC汽車(エーシーきしゃ) の統計によりますと、2020年から2024年2月までに24社の自動車メーカーが事業停止となり、約600万台のアフターサービス問題が発生していると推測されています。
小鵬汽車のCEOである何小鵬(かしょうほう) 氏は「2024年は中国の新エネルギー車ブランドが『レッドオーシャン競争』に突入する初年度、すなわち淘汰戦の始まりだ」と述べています。理想汽車のCEOである李想(りそう) 氏は「2025年には中国の新エネルギー車市場が転換点を迎える。市場シェアの20%以上を獲得できる企業でなければ、次の競争ステージに進む資格はない」と語っており、今後生き残れるのは最大でも5社程度になる可能性が高いとの見方を示しました。
実際のところ、中国の電気自動車業界全体は長年にわたり「赤字販売」の状態が続いています。2024年上半期には、特に蔚来(ウェイライ) の損失が最も深刻で、純損失は103.84億元(約146億米ドル)に達し、半年間の販売台数は8.74万台、1台売るごとに11.88万元(約1.6万米ドル)の損失を出している計算になります。小鵬汽車(シャオペンきしゃ) の上半期の純損失は26.53億元(約3.7億米ドル)で、1台あたりの損失は5.1万元(約7,100米ドル)。北汽藍谷(ほくきらんこく) のブランド極狐(ジーフー) は半年間で2.8万台を販売しましたが、1台あたりの損失は9.18万元(約1.2万米ドル)。吉利汽車(じりきしゃ) のブランド極氪(ジークー) は半年間で8.79万台を販売しましたが、1台あたり4.36万元(約6,100米ドル)の赤字を計上しました。零跑汽車(れいぱおきしゃ) も半年間で8.67万台を販売しましたが、1台あたりの損失は2.55万元(約3,500米ドル)となっています。
一方で、伝統的な自動車メーカーの中には利益を上げている企業もありますが、その利益率は非常に低いです。東風汽車集団(とうふうきしゃしゅうだん) の2024年上半期の純利益は6.84億元(約9,600万米ドル)でしたが、販売台数は96.61万台で、1台あたりの利益はわずか700元(約98米ドル)です。江汽集団(こうきしゅうだん) の1台あたりの利益は1,500元(約210米ドル)、広汽集団(こうきしゅうだん)、上汽集団(じょうきしゅうだん)、北汽集団(ほくきしゅうだん) の1台あたりの利益は、それぞれ1,800元(約250米ドル)、3,100元(約435米ドル)、4,200元(約590米ドル)となっています。
中国の新エネルギー車の販売台数は依然として増加傾向にありますが、市場競争は非常に激しく、供給過剰の状態が続いています。2023年には、中国の新エネルギー車の生産台数は944.3万台に達し、前年同期比で30%増加しました。2024年には、比亜迪(ビー・ワイ・ディー)、華為問界(ファーウェイもんかい)、理想(りそう) の3社だけでも計画生産台数を230万台増加させる予定ですが、需要の増加はわずか210万台にとどまる見込みで、市場は引き続き供給過多の状態にあると予測されています。
このような状況について、台湾南華大学(たいわんなんかだいがく) の国際事業・企業学部の教授である孫国祥(そんこくしょう) 氏は「中国の新エネルギー車産業の過剰生産が赤字の主要因の一つである」と指摘しています。彼は、「第一に、市場の供給量が過剰で競争が激化し、自動車メーカーは価格を引き下げることで消費者を引きつけるしかなくなり、その結果、利益率が圧迫されている。第二に、政府の政策変更や補助金の縮小を受け、企業は投資を拡大し続けており、コストが増加している一方で、市場の需要はその拡大した生産能力をすぐには消化できていない。これが赤字をさらに悪化させる要因となっている」と分析しています。
すでに2024年4月、中国国家発展改革委員会(発改委)の価格監視センターは「自動車価格の下落は市場の供給過剰やバッテリーコストの低下などが主な原因である」と発表していました。新エネルギー車市場の将来は依然として不透明であり、今後、競争の激化に伴いさらなる業界再編が進む可能性が高いと見られています。
(翻訳・吉原木子)