2024年、中国政府は新たな部門として「警税合成作戦センター」を設立し、民間企業家に恐怖を与えています。給与が未払いとなっている警察たちは、「遠洋漁獲」と呼ばれる手法を用いて、他の省へ赴いて企業家を誘拐したり、恐喝したりしてその財産を収奪するという無法行為を堂々と行っています。

 情報によると、中国の大手スマートフォンブランド「Xiaomi(小米)」の創業者である雷軍(レイ・ジュン)氏の元部下で、ゲームソフトウェア開発のエキスパートだった人物が警察に拉致され、その後の取り調べ中に死亡しました。享年47歳でした。亡くなってから半年以上経った現在も、警察は正確な死因を公表していません。

 2024年、中国政府は50年という超長期国債を発行しました。つまり、これらの国債が償還されるのは2074年になります。これに対して多くの人々は、「2074年に中国共産党はまだ存在しているのか?」と疑問を呈しています。

 民間企業や一般市民から50年後の富を収奪し尽くした後、中国共産党の「鎌と斧」は次にどこに向けて振り下ろされるのでしょうか。その答えはすなわち、中国共産党に所属する8,000万人の官僚です。

台湾侵攻の軍事費はどこから?

 現在、中国経済は大不況に直面しており、もし中国共産党が台湾侵攻作戦を実行する場合、その膨大な軍事費はどこから調達されるのでしょうか?

 オーストラリア在住の法学者、袁紅冰(えん・こうひょう)氏は最近、『看中国』のインタビューで、習近平が不況のなか秘密裏に軍事費を調達する特殊な方法を明かしました。袁紅冰氏によると、2025年には中国経済がさらに深刻な不況に陥るため、習近平が台湾戦争を準備するために年々増加させている秘密軍事費を賄うことが難しくなるとのことです。

 袁紅冰氏は、中国共産党の『紅二代』(革命期の元老たちの子孫)の中で習近平に反対する人物からの情報を引用し、「2025年に中国軍は核弾頭を100発増強し、H-20ステルス戦略爆撃機やJ-35ステルス戦闘機を現役配備する予定だ。さらに、海軍の戦略潜水艦部隊や水陸両用戦闘艦も開戦前に急速に拡大する計画がある」と述べました。

 しかし、これらの軍備に関わる費用はどこから調達されるのでしょうか?袁紅冰氏によると、習近平は官僚、そして特に退職した官僚を「反腐敗」という名目で標的にし、彼らを「肥えた豚」とみなして身ぐるみを剥がす計画を進めているとのことです。袁紅冰氏は、「彼らが官僚生活で積み上げた巨額の財産を没収し、軍国主義を推進する秘密経費として充当するのだ。北京の官僚たちのなかでは、習近平は全国の庶民を『ニラ』として刈り取り、8,000万人の共産党官僚を『肥えた豚』として屠殺する計画だと噂されている」と話しました。

 袁紅冰氏はこのような計画について、「毒を飲んで渇きを癒やすようなものであり、官僚たちの怒りをさらに増幅させるだろう。そうすれば、2025年には中国共産党内部の矛盾がさらに激化することは避けられないだろう」と警鐘を鳴らしました。

 中国共産党は今まで庶民と企業家から資産を巻き上げてきましたが、今では共産党官僚までもが対象となっています。では、財産収奪の範囲はどこまで広がるのでしょうか。評論家の黄榆(こう・ゆう)氏は米国メディア『ボイス・オブ・アメリカ』に寄稿した記事の中で、この問題について詳細に述べています。

文化大革命を越える激しさ

 黄榆氏は記事の中で、中国の膨大な官僚集団はすでにある事実に気が付いたと述べています。それは、「党と国家の体制内でのし上がろうとする道そのものが罠であり、粛清を受けたり、財産を収奪されたりする危険が常に付きまとう」という事実です。政治家や大商人のためにロビー活動を行い、政界と商界の間を行き来してきたロビイストも、今では「政治詐欺師」や「海外勢力のスパイ」とのレッテルを貼られ、徹底的に弾圧されるケースが後を絶ちません。さらに、時折正論を発表する知識人も抑え込まれ、弾圧を受けています。

 中国共産党の中央規律検査委員会によると、習近平政権の最初の10年間で400万人以上の官僚が摘発されました。この数字は、文化大革命の10年間で迫害された幹部約230万人を大きく上回るものであり、その激しさはかつての文化大革命をはるかに凌駕しています。

 中国共産党の中央規律検査委員会は、地方政府の省や市レベルの官僚に対して徹底的な粛清を実施しており、退職した官僚でさえも例外ではありません。その過程で使用される拷問は、公安を上回るほどの残酷さです。半年間の取り調べに耐え抜いた場合でも、証拠が見つからず無罪が証明されたとしても、家族が数千万人民元(数億円)の現金を支払わなければ釈放されないという現実があります。

 さらに、地方規律検査委員会、中央規律検査委員会、地方官僚たちの間には分配の仕組みが形成されており、摘発された官僚の資産の大部分が地方財政に組み込まれます。一方、わずかな額が罪を軽減するための証拠として使用されています。このような仕組みにより、摘発された官僚たちは自ら罪を認め、積極的に賄賂金を返還するよう促されています。

 さらに、中国では政府部門や地方当局が医療や教育などの業界に対し、賞与や贈り物、賄賂金の集団的な返還を求めています。こうした取り組みはここ2年間で拡大し、深刻な財政赤字に直面している中央財政を補うための資金確保がその主な目的です。しかし、この方法は「腐敗を自ら育て、それを刈り取る」という矛盾した仕組みを浮き彫りにしており、体制の根本的な矛盾をさらけ出しています。

 一方、経済が発展している地域の民間企業家は、発展途上地域の公安機関による「遠洋漁獲」に直面しています。中でも企業の口座に現金が多く、経営者の家族財産が巨額な場合は、その企業が地元にあろうと他の地域にあろうと、警察による財産収奪のターゲットになる可能性があります。比較的法治思想が強い都市でさえこうした現象が起きており、法治思想が弱い地方や農村部ではさらに深刻な状況となっています。

 インターネット上では、一人のユーザーが田舎に住む高校の同級生と話したエピソードを投稿しています。その同級生は「職場の給与が2,000元(約4.3万円)から1,500元(約3.2万円)に減り、生活はどんどん苦しくなっている」と訴えました。彼は節約を余儀なくされ、日中の仕事が終わると配達員のアルバイトをして家計を補っているといいます。また、同じ地域では多くの商店が次々と倒産し、大型商業施設も閉鎖され、買い物に出かける人も減少しているという現状だそうです。

 最新の国勢調査によると、中国の県ごとの平均常住人口はわずか39.92万人であり、若者の流出率は30%以上に達しています。さらに問題なのは、地元に残っている若者の多くが「仕方なく残っている」という状況で、外に出て行く能力がない人たちであるということです。その結果、小さな県では3分の1の若者が流出し、残るのは高齢者や病弱な人、幼い子どもばかりです。さらに、良い仕事の多くは地元の官僚の一族によって独占され、一般家庭出身の人々はまともな仕事に就く機会すら与えられていないのです。

新たな文化大革命

 現在、中国経済は長期的なデフレという厳しい状況に直面しています。その一方で、制約を失った権力と暴力が無限に拡大し、社会のあらゆる階層の私的財産に対する略奪が行われています。お金や資産、社会的な影響力を持つ者だけでなく、自由な思想を持つ知識人までもが危険にさらされているのです。

 こうした状況を鑑みると、中国では「新たな文化大革命」が静かに始まっていると言えるでしょう。この動きによって、中国人は再び大きな災厄に直面することになるかもしれません。

(翻訳・唐木 衛)