新型コロナウイルスの感染拡大以降、中国では不動産、インターネット、教育、医療、金融などの業界が次々と打撃を受け、経済は低迷し、多くの業界が停滞状態に陥っています。倒産、リストラ、失業といった現象が増加しました。今はちょうど旧正月を迎える時期となりましたが、多くの人々が「お金が稼げず、希望も見えない」と嘆き、旧正月は楽しみな祝日ではなく、乗り越えるべき試練のように感じられています。
中国では14日、帰省ラッシュが正式に始まりました。公式データによると、今年の帰省ラッシュ期間中、全国の延べ移動人数は90億人に達すると予測されており、2024年と比べて約7%増加するとされています。しかし、中国のSNSでは別の光景が広がっています。いくつかの鉄道駅や高速鉄道駅が閑散としており、乗客の姿がまばらであることが、多くの動画から伺えます。過去の帰省ラッシュの混雑とは大きく異なる状況です。この対照的な現象は、人々に疑問を抱かせます。出稼ぎ労働者の帰郷ラッシュは徐々に消えつつあるのでしょうか?それとも、別の理由があるのでしょうか?
中国南部に住む李さんによると、現在の経済情勢はますます厳しくなっており、多くの人々が2022年、2023年の時点で既に出稼ぎをやめているといいます。「今は仕事を見つけるのが非常に難しく、出稼ぎに出た人々の中にも、家族を養うに足りる仕事を見つけられない人が多いです」と話します。福建省福州市に住む王さんも同様の意見を持っています。彼はここ数年、他省からの出稼ぎ労働者が急減し、多くの人が故郷に戻ったと指摘しています。都市に留まった人々も、主に臨時雇用で生計を立てており、月に数日しか働けないのが現状です。
深圳に住む邱さんは、求人広告の変化から状況の悪化を感じ取っています。「かつては工場の入り口にある求人広告が多くの求職者を引き寄せていましたが、今では新しい求人広告が少なく、それを見る人もほとんどいません」と述べています。「多くの工場は注文が減り、人手があまり必要ない状況です。安定した仕事を見つけるのは非常に難しくなっています。」さらに彼は、「以前は、少しの努力でそれなりの収入が得られる仕事を見つけることができましたが、今では皆、現実に妥協して、生活を続けるしかない」と付け加えました。
不動産業界の低迷は、この現象の主な原因の一つです。建設プロジェクトの減少に伴い、出稼ぎ労働者が都市で仕事を見つけるのはますます困難になっています。一方で、工場の注文も減少し、人員の需要が減り、多くの出稼ぎ労働者が長期間の休暇を余儀なくされています。また、都市での高い生活コストは彼らの生活を圧迫し、早めに故郷に戻ることを選ばざるを得ません。邱さんは、「今年の高速道路の渋滞は例年よりもずっと早く始まり、切符の値上がりも早まっています」と述べています。「出稼ぎ労働者はまだいますが、明らかに例年より約5分の1少なくなっています。今年、私たちの工場は例年よりも1日早く休みに入りました。」
かつて帰省ラッシュと旧正月は全国民にとって最も喜ばしい時期でしたが、今ではこれらの伝統的な祝祭もその魅力を失いつつあり、多くの人々にとってはむしろプレッシャーの源となっています。「今年の旧正月は例年以上に苦しい」と多くの人が口を揃えています。邱さんは、「今では旧正月の雰囲気が全くなくなりました」と語ります。「爆竹の使用は禁止され、街で灯籠を飾る人も減っています。市場にはかつてのように多くの年用品が並んでいましたが、今は閑散としています。多くの人が年用品を買う余裕すらありません。」
旧正月が厳しい理由を説明するには、1980年代初頭にまで遡る必要があります。当時、中国では毎年数千万人が故郷を離れ、出稼ぎに出ていました。彼らは過酷な労働に従事しながらも、まとまった貯金をすることができました。そして旧正月になると、その貯金を持ち帰り、家族や親戚のために新しい衣服、生活用品、家具を購入し、老人や子供のために生活費や学費を残していました。しかし、近年は経済が低迷し、多くの人が1年間懸命に働いても十分なお金を稼ぐことができなくなっています。新年が近づくにつれ、家族への責任感と期待が重くのしかかり、不安や焦燥感が募るばかりです。
債務問題も現在の社会が直面している大きな課題の一つです。李さんは、生活のプレッシャーにより、多くの若者がネットローンに頼らざるを得ない状況にあると話します。「多くの人がネットローンを借りて返済できなくなり、ついには帰省する計画を諦めてしまいます。彼らは実家に引きこもり、毎日トランプをして時間をつぶし、お金がなくなると両親に頼んだり、ネットローンで繰り返し借りたりしています。」こうした現象は特定の地域に限らず、広範囲にわたっています。
経済の低迷ぶりは、日常生活の細部からも伺えます。例えば、李さんの友人であるガソリンスタンド勤務の人は、今では10元、20元、50元といった少額しか給油しない顧客が増えていると話しています。これは過去には考えられなかったことです。一方、商業街では、王さんが観察したところ、日中の街には無職の若者が多く、彼らの多くは大学を卒業したばかりの新卒者で、仕事を見つけられず実家に頼る「パラサイト」として生活していると言います。低賃金の仕事に就かざるを得ない人もおり、長時間労働や残業代が支払われない厳しい状況に置かれています。
さらに、街頭で物乞いをする人々の数も増加しています。家族の病気や強制立ち退き、失業といった理由でホームレスとなり、他人が残した食事の残りで生き延びている人もいます。王さんは、福州の最も繁華な地域である東街口でも、こうした困窮者が多く見られると述べています。
未来の経済と社会情勢について、李さんは深い懸念を示しています。彼は、「出稼ぎ労働者の収入は家族の基本的な生活を維持するだけで精一杯であり、仕事を失えばその後はどうしようもありません。もしこの経済状況があと2~3年続けば、社会はさらに深刻な問題に直面する可能性があります。」と語りました。
最後に、李さんはこう締めくくりました。「この国の未来について、私は非常に悲観的です。中国がこれからどのように変わろうとも、短期的にこの状況が実質的に改善することはないでしょう。経済と社会の矛盾が蓄積され続け、いずれ爆発する日が来るはずです。」
(翻訳・吉原木子)