中国では現在、多くの感染症が流行しており、全国の病院では重症患者や死亡者数が顕著に増加しています。しかし、中国政府は依然として真実の情報を隠蔽し続けています。ところが、ある医師が投稿した動画によって隠された一部の真実が明らかとなり、ネット上で大きな反響を呼び起こしました。
1月16日、中国共産党(以下、中共)中央政府の国務院感染症協同防止・抑制チーム(こくむいん かんせんしょう きょうどうぼうし・よくせいちーむ)は、2025年の旧正月前後に向けた感染症対策を強化するよう求める通知を突然発表しました。この通知は、国境、旅行、宿泊、飲食など多岐にわたる分野に及び、新型コロナウイルスにも言及しています。また、この通知は中国の公式メディア「新華社(しんかしゃ)」が感染症関連の内容を異例にもトップニュースとして扱ったことと連動しており、特に注目を集めました。1月17日に行われた国家衛生健康委員会(こっかえいせいけんこういいんかい)の記者会見では、北京佑安病院(ぺきん ゆうあんびょういん)の主任医師である李侗(り・とう)氏が、軽症患者に対して自宅隔離を推奨しました。このような感染症対策は、新型コロナウイルス流行初期の戦略を思い起こさせるものであり、一部の評論家は、これらの発言と措置が中国政府の感染症制御の困難さを露呈していると指摘しています。
時事評論家の鍾原(しょう・げん)氏は「大紀元」の記事で、中国政府が長期にわたり新型コロナウイルスと他のインフルエンザウイルスを混同させ、新型コロナウイルスがすでに消滅したかのような錯覚を与えようとしていると述べました。しかし、2024年末以降、新たな感染症の波が再び広がり、多くの地域の病院が満床状態となり、薬剤の不足も頻発しています。「新華社」の最近の報道は、中国政府が感染症の制御不能な状況を隠せなくなり、一部の悪いニュースを公開することで国民の注意をそらそうとしている可能性があると指摘されています。
最近では、一部の子どもがインフルエンザウイルスに感染し、急性壊死性脳症やウイルス性心筋炎を併発して死亡するケースが広く注目されています。中国の著名な医師である高巍(こう・い)氏は、1月8日にインフルエンザウイルスがウイルス性心筋炎を引き起こすリスクに関する警告動画を投稿しました。彼は発熱後に子どものふくらはぎの痛みなどの症状に注意し、早めに医療機関で心筋酵素を検査するよう親に呼びかけました。この動画は大きな反響を呼び、一晩で再生回数が1,000万回を超え、94万人が「いいね」を押し、4万3,000人がコメントを寄せました。
コメント欄には、インフルエンザに関連する実例が数多く投稿され、多くの人々が家族や友人が感染後に亡くなった体験を共有しています。山東省(さんとうしょう)のある親は、爆発性心筋炎のため救命措置が間に合わず、わずか1日で子どもが亡くなったと述べています。このような悲劇は、中国全土で頻発しており、河北省(かほくしょう)から海南省(かいなんしょう)に至るまで、インフルエンザやウイルス性心筋炎が原因の悲劇が繰り返されています。
重慶市(じゅうけいし)のある母親は、「子どもがインフルエンザA型による髄膜炎を併発し、9歳の誕生日を迎える3か月前に亡くなった」とコメントしました。また、江蘇省(こうそしょう)のあるネットユーザーは、「15歳の中学生がランニング中に突然体調を崩し、病院での救命措置が間に合わず命を落とした」と投稿しています。
中国政府の公式定義によると、1週間以内に同じ地域で10例以上のインフルエンザ様症例が発生した場合、感染症の流行と認定されます。中国疾病予防コントロールセンターのデータによれば、2024年第2週には118件の流行が報告され、その大半はインフルエンザA型でした。しかし、ウイルス学者の林暁旭(りん・ぎょうきょく)氏は「これらの統計データは感染症の実態を反映していない」と指摘しています。SNSや市民からの情報によると、感染症の影響はより広範で深刻であり、火葬場が過剰に稼働している現状が感染症の深刻さを裏付けています。林氏は、「今回の感染症は、インフルエンザA型、鳥インフルエンザ、さらに新型コロナウイルスの再感染による免疫力低下など、複数のウイルスが重なっている可能性がある」と述べました。
感染症の深刻さに加え、薬剤供給の不足と治療効果の低下が問題をさらに悪化させています。中国政府が効果的な輸入薬の使用を制限しているため、多くの患者が適切な治療を受けられず、重症化や死亡が増加しています。一部の病院では、発熱患者に心筋酵素の検査を義務化する措置を講じ、可能性のある合併症を早期に発見しようとしています。
中国の旧正月が近づく中、大規模な人口移動が感染症のさらなる拡大を引き起こす恐れがあります。一部のネットユーザーはSNSで、親族や友人に対し不要不急の集まりや移動を控えるよう呼びかけています。特に農村部では、インフルエンザA型による大規模な死亡事件が報告されています。山東省(さんとうしょう)のある村では、1か月半で35人の高齢者がウイルス感染で亡くなったとされています。また、複数の家庭が同時に葬儀を行う事態も発生しており、感染症が地域社会に及ぼす影響の深刻さが浮き彫りとなっています。山西省(さんせいしょう)のネットユーザーは、「最近、うちの村で十数件のインフルエンザによる死亡事件が発生し、その中には子どもも含まれている」と投稿しています。
林暁旭氏は、「中国政府が長期にわたり感染症の真実を隠蔽してきたことで、国民の知る権利が著しく損なわれている」と強調しています。政府の感染症対策は往々にして後手に回り、効果を欠く場合が多く、責任を他者に押し付けるという手法が一般的になっています。また、過去の新型コロナウイルス感染の経験が免疫力の低下を引き起こし、インフルエンザA型のような一般的なウイルスの危険性をさらに高めている可能性があると述べています。さらに、今回の感染症には鳥インフルエンザが混在している可能性もあり、感染リスクをさらに高めていると警告しています。
今回の感染症の流行は、中国の公衆衛生システムが多くの課題に直面していることを浮き彫りにしました。一部の医師が個人の努力を通じて国民に重要な健康情報を提供していますが、政府による感染症情報の透明性の欠如と資源配分の不十分さが、感染症の影響をさらに深刻なものにしています。専門家の中には、中国政府が感染症データの公開と透明性を強化し、より効果的な医療支援を提供することを求める声もあります。感染症対策の改善が進まなければ、同様の問題が再び発生する可能性があります。
(翻訳・吉原木子)