最近、中国の有名な産後ケアブランド「愛家月子中心」が突然経営危機に陥ったというニュースが広まり、大きな話題となっています。この問題は上海、江蘇、山東、湖北、広州など複数の省市に影響を及ぼしており、多くの店舗が突然閉鎖され、大勢の消費者や従業員が困難な状況に直面しています。一部の消費者は数万元の全額前払いをしていたにもかかわらず、サービスを全く受けられないままで、さらに従業員の給与も滞納されており、不満の声が相次いでいます。SNS上では、消費者や従業員たちが次々とその窮状を訴え、社会の注目を集めようとしています。
中国のメディア「極目新聞」によると、1月7日、「愛家月子中心」は全国で複数の店舗を閉鎖したと報じられました。この閉鎖は上海、蘇州、無錫、南通といった主要都市に及び、一部の消費者は、現在も施設内に滞在中の妊婦がいるものの、水道や電気がまもなく止まる可能性があると述べています。さらに、店舗はすでに通常の営業を停止しており、従業員の給与が2か月以上未払いのままという状況が明らかになりました。一部の店舗では、店長とも全く連絡が取れない状態です。
上海市浦東新区の王さんは、2024年12月31日に2.36万元(約50万円)を支払い、2025年7月に利用予定の産後ケアサービスを予約したばかりでした。王さんは、この施設が友人の間で評判が良かったため選び、浦東新区の店舗を訪れて実際に確認した上で決めたと語っています。しかし、支払いからわずか1週間後、店舗の販売員がSNSのタイムラインに店舗閉鎖のメッセージを投稿しているのを見て驚きました。その販売員は、「会社が倒産し、私たち従業員の給与はすでに2か月間支払われていません。警察に通報してください」と述べていたといいます。王さん夫妻は、このように有名なブランドが突然信頼を裏切るとは夢にも思わなかったと大きなショックを受けています。
蘇州市に住む趙さんも同様の経験をしました。彼女は2024年10月に1.98万元(約40万円)を支払い、出産後のケアサービスを予約していました。しかし、1月7日の夜、担当スタッフのSNS投稿を通じて店舗閉鎖の知らせを知りました。スタッフからは「警察に相談してください」と勧められましたが、趙さんは全ての計画が崩れたことに大きな不安を感じたといいます。彼女は、1月6日までスタッフがSNSで施設内の食事に関する投稿をしていたことを指摘し、このような急変を誰も予想していなかったと述べました。
また、南通市崇川区の「愛家月子中心」の従業員であると名乗るネットユーザーは、自身が2023年11月以降給与を受け取っておらず、現在までに1万元(約20万円)近くの未払いがあることを明らかにしました。他の従業員たちとともに店舗の管理者に連絡を試みましたが、依然として応答がなく、ネット上で助けを求めるしかない状況だと語っています。
上海市嘉定区の安亭派出所の職員は、当該企業が経営不振により運営を継続できなくなり、上海全域のほぼ全ての店舗が閉鎖されたことを認めています。消費者や従業員が警察に相談していますが、現在のところ迅速な解決は期待できないようです。
広州黄埔区の「愛家月子中心黄陂店」でも同様の問題が発生しました。1月8日、中国メディア「央広網」によると、複数の妊婦やその家族がサービスの突然の中止に直面し、従業員も給与未払いに苦しんでいるとのことです。住民の何さんは、2024年10月に1.98万元(約40万円)を支払い、妻のために28日間のケアサービスを予約しました。妻が12月27日に入居しましたが、わずか11日後に施設が運営を停止しました。「1月7日、保育士が『オーナーがいなくなった』と教えてくれました。サービスは全て停止し、料理も作られなくなりました」と何さんは語りました。
何さんはさらに、現在物件管理側が水道や電気を止めないと約束しており、一部の住民が施設内に滞在を続けることが許可されているものの、最低限の居住条件しか提供されていないと述べました。旧正月が近づいているため、新しい産後ケア施設や保育士を見つけるのは非常に難しい状況だといいます。現在も5~6世帯が施設内に残っていますが、一部の住民はすでに退去したとのことです。
「黄陂店」で働く保育士の邵さんは、自分を含む30人以上の従業員が1~2か月分の給与を未払いのままであると述べました。「これまでは給与が支払われると信じていましたが、まさか突然こんな事態になるとは思いませんでした」と邵さんは語ります。「1月6日にも契約のために支払いをした人がいたのに、翌日には閉鎖されました」とのことです。現在、邵さんは労働仲裁機関に相談する準備を進めていますが、補償についてはあまり期待していないと話しています。
今回の「愛家月子中心」の倒産事件は、上海、江蘇、山東、湖北、広州など複数の都市に影響を及ぼしており、関連する企業には「瑞婴丽(江蘇)母子健康管理有限公司」、「上海瑞婴丽母子用品有限公司」などが含まれています。
また、この問題は社会全体に大きな波紋を広げています。SNS上では、「妊産婦が公的な福祉制度に頼れないため、民間企業のサービスに依存している現状が明らかになった」との声や、「これは始まりに過ぎない。さらなる危機が近づいている可能性がある」といった指摘が相次ぎました。さらに、一部の企業が無謀な事業拡大を行った結果、倒産に至り、従業員や消費者双方の信頼を裏切ったと批判する声もあります。
現在、消費者や従業員たちが補償を求める行動を続ける中で、関連部門がこの事態をどのように収束させ、産後ケア業界への監督を強化していくかが、社会全体の注目を集めています。
(翻訳・吉原木子)