最近、中国各地で複数のウイルスが同時に流行しており、特に子どもの感染が深刻な問題となっています。一部の子どもがインフルエンザによる脳炎を発症し、命を落としたというニュースがSNSで広まり、ウイルス拡散への懸念が高まっています。また、関係者の医師によると、致命的な鳥インフルエンザ(H5N1)が中国の複数地域で制御不能な状態に陥り、一部の地域では隔離施設の建設が始まっているとのことです。

 中国のある医師が『大紀元』のインタビューで語ったところによると、最近、インフルエンザ患者が急増しており、その中にはH5N1感染者も含まれています。この医師は、自身が接触したH5N1感染症の症例がすでに100例を超えていると述べ、このウイルスが広範囲に流行し、ほぼ制御不能な状況にあると指摘しました。また、当局が近いうちに関連情報を公表する可能性が高いと語り、高速道路沿いで隔離施設が急ピッチで建設されていると明かしました。

 しかし、この医師は当局が発表する感染症情報の信頼性に疑問を呈しています。現在、中国では新型コロナウイルス変異株(オミクロン株を含む)、マイコプラズマ肺炎、人に感染する鳥インフルエンザ(H5N1)など複数の呼吸器系疾患が同時に流行しており、特にH5N1は将来的に最も致命的なウイルスの一つになる可能性が高いと警告しています。彼は、インフルエンザの症状に注意を払い、感染が疑われる場合には早急に対症療法を行うべきだと呼び掛けています。適切な治療を受けない場合、重症化や死亡のリスクが高まるとしています。

 中国疾病予防管理センター(CDC)が公開したデータによれば、昨年11月末時点で中国国内で報告された鳥インフルエンザの症例は、広西チワン族自治区での1例のみとされています。しかし、台北市立聯合病院の医師である姜冠宇氏はこのデータに強い疑念を抱いています。彼は、中国政府の発表する感染症データの信頼性が低く、実際の感染者数は公式発表をはるかに上回る可能性があると述べています。また、中国の集約型農業がウイルスの拡散を助長しており、人間と動物の密接な接触がウイルスの変異や拡散を加速させていると指摘しました。

 姜冠宇氏はさらに、H5N1ウイルスが人間と鳥類の間で非常に強い感染力を持つことを説明しました。このウイルスの遺伝子構造は、人間と鳥類の両方を宿主として適応できる特徴を持っており、特に高密度で飼育される環境(養鶏場など)では変異速度と感染力が顕著に高まると述べています。また、彼は、公式に報告された単一の症例は実際の感染状況の一端に過ぎない可能性が高いと指摘し、一般市民に対して警戒を呼び掛けました。

 上海市では最近、3年間にわたる生きた家禽の取引を全面的に禁止すると発表しました。アメリカ陸軍ウイルス学研究所の元主任である林暁旭氏は、この措置は上海の公衆衛生部門が鳥インフルエンザが人間に感染するリスクに注意を払った結果だと分析しています。また、上海の対応は中国国内の他の地域に先行しており、中国国家衛生健康委員会が感染情報の公表において遅延や隠蔽を行っている可能性があると指摘しました。

 林暁旭氏は、H5N1やH5N6などの高病原性鳥インフルエンザウイルス株が持つ感染力と伝播能力について警鐘を鳴らしました。これらのウイルスはインフルエンザ関連脳炎などの深刻な合併症を引き起こすだけでなく、遺伝子再編成によってさらに強力な新型株を形成する可能性があります。彼は、これらのウイルスが人々に及ぼす影響や感染の広がりを把握するために、国際社会が中国の感染状況に関する調査を徹底的に行う必要があると強調しました。

 中国国内では、多種多様なウイルスの流行が社会的な関心を集めています。1月12日、中国疾病予防管理センターは、現在流行している主なウイルスがインフルエンザA型(H1N1)であると発表しました。一方、SNS上では、インフルエンザにより脳炎を発症し命を落とした子どもたちの事例が多数報告されています。

 福建省のある母親は、SNSを通じて次のように悲痛な経験を共有しました。「12月27日、私の赤ちゃんが亡くなりました。普通の発熱だと思っていたのに、突然40度の高熱が出て、急いで救急外来に連れて行きました。しかし入院手続きをしている間に痙攣を起こし、救命処置が間に合いませんでした。医師の最終診断は、ウイルスが脳に侵入して多臓器不全を引き起こしたとのことでした」。このような事例は、中国国内で広がるウイルスがもたらす深刻な脅威を浮き彫りにしています。

 北京でも同様のケースが報告されています。ある母親は、「私たちは病院で、このウイルスが脳を侵害し、その日に3人の子どもが救命処置の甲斐なく亡くなったと聞きました。私たちはあまりにも怖くて、病院のロビーで寝泊まりすることにしました」と述べました。

 中国のSNSプラットフォーム「小紅書」では、3週間足らずの間にインフルエンザによる脳炎で死亡した子どもたちの事例が10件以上報告されています。例えば、江蘇省では生後1年の子どもが高熱と痙攣を引き起こし、その後、重度の肺炎と急性壊死性脳症によって命を落としました。また、海南省では8歳の女の子がインフルエンザA型(H1N1)の免疫の暴走により急性脳炎を発症し、数日で亡くなりました。他にも北京や南京などで同様の事例が続いています。

 南方医科大学医学学士で北海道大学神経科学修士の資格を持つある医師は、SNSで次のように警告しています。「子どものインフルエンザによる最も深刻な合併症は急性壊死性脳症であり、この病気の致死率は非常に高いです。発症から死亡までの期間は通常1日程度とされています」。彼女は特に、次の症状が現れた場合、速やかに医療機関を受診するよう呼び掛けました。それは、40度以上の高熱、意識の低下、持続的な眠気、激しい頭痛、繰り返す嘔吐、痙攣、ふらつきなどの症状です。

 中国政府が情報封鎖を行い、感染状況をコントロールしているにもかかわらず、国内外の専門家やメディアの調査では、実際の感染状況が公表されたデータをはるかに上回る可能性があることが示唆されています。一般市民には、特に生きた家禽との接触を避け、疑わしい症状が見られた場合には速やかに医療機関を受診するよう呼び掛けられています。また、国際社会は、中国での感染状況に関する情報収集と協力を強化し、この潜在的な公衆衛生危機に対処するための措置を講じる必要があります。

(翻訳・吉原木子)