最近、中国では感染症の状況が再び深刻化し、複数のウイルスが同時に流行しています。病院が満床状態であるだけでなく、火葬場も稼働限界に達しているとされています。南京市の火葬場の外では車が長蛇の列をなし、杭州市の火葬場内も人々であふれ、河南省西平火葬場(セイヘイかそうじょう)では午前中だけで30人以上の遺体が火葬されました。このような光景は、3年前に新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が大流行した際の混乱を思い起こさせます。

 南京市では、ある葬儀サービスセンターが最近、動画共有プラットフォームに動画を公開しました。その中には、夜明け前の薄暗い中、火葬場に向かう多くの車両がヘッドライトを点灯させながら道路上で渋滞している様子が映っていました。片側には終わりが見えないほどの大型バスが連なり、もう一方には一般車両が長蛇の列を作っています。動画を撮影している人は「今日の火葬場は車で大渋滞です。これほど多くの車が来ています」と語っており、この異常な状況が伺えます。この映像は瞬く間にネット上で拡散され、多くの人々が議論を交わしました。

 一方、杭州市の火葬場も同様に深刻な状況に直面しています。12月30日に公開された動画では、火葬場内が人で埋め尽くされ、列の最後尾が見えないほどでした。撮影者は「見てください、この行列。火葬場でこれほど長い列を作るなんて信じられません。後ろまで全く見えないんです」と驚きを語っています。動画には、マスクを着用した人々が列を作り、その列がホールから外まで延びている様子が映っており、その異様な雰囲気が伝わってきます。

 河南省の西平火葬場では、さらに稼働限界が浮き彫りになりました。1月8日に公開された動画では、火葬場内の駐車場が様々な車で埋め尽くされている様子が映っています。撮影者によれば「今日、西平火葬場には非常に多くの人が来ており、午前中だけで30人以上の火葬が行われた」とのことです。河南省駐馬店市(チュウバテンし)に位置する西平県(セイヘイけん)は、人口が密集する地域であり、これほどの稼働状況は異例といえます。

 一方で、最近流行しているインフルエンザも急速に広がりを見せており、各地で死亡例が報告されています。上海市の新華病院(シンカびょういん)小児外科の医師である王成棟(オウ・セイトウ)氏は、最近の動画でインフルエンザに感染した子供が次々と救急室に運ばれている現状を述べました。「連続して5人の子供が救命処置を受けており、一部は人工呼吸器を装着しました。しかし、残念ながら救命できなかったケースもあります」と語っています。また、ある患者は重度の脳炎を発症し、突然容体が悪化して亡くなったとも説明しています。

 動画のコメント欄には、多くのネットユーザーが身近で起こった悲劇を共有しています。ある上海のネットユーザーは「このインフルエンザで多くの子供が亡くなっています。私はその光景を目撃しました」と述べ、別のネットユーザーは「同僚の子供が学校で発熱した後、病院に行く途中の救急車内で亡くなりました」と語りました。また、北京(ペキン)、天津(テンシン)、甘粛(カンシュク)、四川(シセン)、山東(サントウ)などでも同様の死亡例が報告されています。成人も例外ではなく、「40歳の患者が高熱から重篤化し、亡くなった」といった事例もあります。河南、陝西(センセイ)、江蘇(コウソ)、四川などの学校では集団感染が相次ぎ、地域社会全体が影響を受けています。

 中国疾病予防コントロールセンター(CDC)が最近発表した報告によると、現在、中国ではA型インフルエンザ、ヒトメタニューモウイルス、マイコプラズマ肺炎、新型コロナウイルスなどが同時に流行しており、急性呼吸器感染症の患者数が急増しているとのことです。しかし、中国政府は感染症の深刻さを過小評価しようとしていると指摘されています。米陸軍研究所ウイルス学部門元主任の林暁旭(リン・ギョウキョク)氏は、ヒトメタニューモウイルスは一般的なウイルスであり、高い致死性を持つわけではないと述べています。しかし、中国政府が今年特にこのウイルスを強調している点には疑問を呈しました。

 林氏は「政府が他の深刻な呼吸器ウイルスの存在を隠すためにヒトメタニューモウイルスを前面に出している可能性があります」と分析しています。また、感染の重症率や死亡率について詳細なデータが提供されていないことも問題視しています。「新たな高致死性ウイルスが現れている可能性はないのか?それとも、新たな大規模感染の波が来るのか?これらを注視する必要があります」と述べ、さらなるデータの公開を求めました。

 このような状況の中、多くの市民が不安を感じています。「まるで3年前のパンデミックが再び起きているようだ」と語る声もあり、政府に対して透明性のある情報公開を求める声が高まっています。

(翻訳・吉原木子)