最近、経済学者の程暁農氏がメディアのインタビューに応じ、2025年の中国経済に関する予測を詳細に分析しました。彼は、国際メディアの調査報道、中国の民間からの声、そして自身の観察を通じて、中国経済が直面している困難と構造的な問題について包括的な検証を行いました。程氏は、中国経済の持続的な低迷は偶然の結果ではなく、長年にわたる政策の失敗が蓄積した結果であると指摘しています。特に、現状の経済問題は一時的な現象ではなく、経済の根本的な仕組みや政策の欠陥に起因していると彼は強調しました。
程氏はまず、かつて中国経済の成長を支える中核地帯であり、「世界の工場」とも称された広東省について語りました。広州(こうしゅう)や東莞(とうかん)などの地域は長年にわたり、輸出製造業の重要拠点として世界のサプライチェーンに多くの商品を供給してきました。これらの都市は中国国内だけでなく、国際市場においてもその役割が極めて大きかったのです。しかし、世界経済の構造変化や外資系企業の撤退により、これらの製造業集積地は急速に衰退しつつあります。かつて「世界の工場」として名を馳せた広東省は、いまやその輝きを失い始めています。
スイスの新聞「新チューリッヒ新聞」の記者が広東省を訪れた際、かつて賑わっていた工場の多くが現在では空き工場と化し、生産設備が稼働していない様子を確認しました。例えば、広州の康楽村(こうらくそん)はかつて中国最大の服飾原材料と卸売の中心地の一つであり、数千の縫製作業場が集まっていました。しかし、海外からの注文の激減と生産コストの上昇により、多くの小規模作業場が閉鎖を余儀なくされました。辛うじて運営を続けている作業場も、散発的な小規模海外注文に依存し、わずかな利益しか得られない状況にあります。このような状況は、中国の製造業全体に広がる深刻な問題を反映しています。
こうした状況は決して珍しいものではありません。東莞などの地域では、新たな注文を得られない多くの企業が生産停止や倒産に追い込まれています。かつて数千人の従業員を抱えていたある企業は資金繰りの悪化により破産し、大量の失業者を生み出しました。これらの現象は、中国が誇る「世界の工場」としての競争力が消失し、従来の製造業モデルが前例のない危機に直面していることを示しています。
地方政府は、工場を郊外へ移転させて土地を都市開発に活用しようと試みましたが、市場需要の縮小により、これらの移転計画は実現困難となりました。企業の大量倒産が常態化した今、「移転」という選択肢自体が意味を失っています。これにより、中国の製造業はコスト優位性を失っただけでなく、産業の転換においても新たな道を見出せていない現状が浮き彫りとなっています。これらの現象は、中国の産業構造が根本的な転換期を迎えていることを示唆しています。
程氏は、中国経済の現実を理解するためには、中国公式メディアの報道だけに依存せず、民間の情報や国際メディアの視点から真実を見つける必要があると強調しました。彼は、中国市民が撮影した街並みの動画を通じて、経済衰退の実情を直視するべきだと提案しました。例えば、一線都市の高級商業エリアから一般の街路に至るまで、店舗閉鎖の波や市場の冷え込みが広く見られるようになっています。
上海の高級商業地区では、多くの路面店が長期間にわたりシャッターを閉じ、「譲渡」や「賃貸」の掲示が目立ちます。週末でも人通りが少ない状態です。また、北京市南部に新設された大興国際空港では、大型商業区として計画されていた地下スペースの多くが店舗閉鎖に追い込まれています。これらの現象は、中小都市にとどまらず、中国経済の中心地にも波及しており、経済問題が社会のあらゆる層に深く浸透していることを示しています。
また、民間では「世の中が厳しい状況にあるため、皆が自分を守ることに必死だ」という言葉が広まっており、経済の将来に対する悲観的な態度が見られます。多くの家庭が節約を選び、消費を控えています。失業や収入減少への不安から、生活費を賄えなくなることを恐れているのです。このような状況はソーシャルメディアのコメント欄にも反映されており、多くのユーザーが自身の困難な体験を共有し、経済の実態を明らかにしています。これらの民間情報は、いかなる公式統計データよりも真実を映し出しています。
程氏はかつて中国国家統計局での体験を振り返り、中国の公式データがいかに虚偽に満ちているかを明かしました。彼によれば、ある年の公式報告では火力発電の稼働時間を誇張するため、12月の日数を「32日」として計算するという手法が取られていました。このような事例は、中国の統計データにおける虚偽性を示す一例に過ぎません。
経済低迷を分析する中で、程氏は、中国の問題は単なる「デフレーション」ではなく、経済活動の全面的な縮小であると指摘しました。需要不足が続く中、企業の原材料価格は下落し、生産意欲が低下します。たとえ中央銀行が多額の資金を投入しても、市場の活性化は難しい状況です。このような悪循環に陥った経済は、構造的な問題が深刻化していることを意味します。
また、程氏は、習近平氏が経済問題を単純化して捉えていると批判しました。彼は「物価が下がるのはなぜ悪いことか」と疑問を呈したとされますが、物価の継続的な下落は、生産者が利益を得られず、企業の解雇増加、失業率の上昇、さらに市場信頼の崩壊を引き起こすと程氏は説明しました。このような負のスパイラルは、供給と需要の不均衡に起因しています。
最後に、程氏は中国経済の危機の背景にある政策の失敗と構造的問題を強調しました。中国が直面する経済問題は多方面にわたり、解決が容易ではないと結論付けています。
(翻訳・吉原木子)