中国政府が最近発表した11月の失業率データによると、失業率が低下したとされています。しかし、この発表は広く疑問を呼び、多くの人々が現実の状況とかけ離れていると指摘しています。厳しい雇用状況を反映していないとの声も少なくありません。上海在住のあるブロガーが投稿した動画が大きな話題となり、彼はその中で「政府の失業統計基準では、多くの人が『失業者』としてさえ認められない」と語りました。
中国国家統計局の発表によれば、11月の都市部における16歳から24歳までの非在学者の失業率は16.1%で、前月から1%低下しました。25歳から29歳は6.7%で0.1%低下、30歳から59歳は3.8%で前月と同水準でした。一見すると失業率が改善しているように見えますが、実際の社会的感覚とは大きな隔たりがあります。この差異について専門家の中には、政府の統計基準があまりにも限定的であることが主な原因だと指摘する声もあります。
上海のあるブロガーは動画で、「このデータを疑問に思うのは当然です。それは、私たちには『失業者』としてカウントされる資格すらないからです」と述べています。彼によれば、現在の上海の雇用環境は厳しいものの、失業と認められるには一定の条件を満たす必要があり、それを満たさない限り失業者として認められません。
上海は中国経済の中心地でありながら、経済低迷の影響を避けることはできませんでした。今年初め、有名な経済評論家である段育文氏は、動画を通じて現在の上海の経済状況を象徴する「10の異常現象」を紹介しました。それには、ホワイトカラーが弁当を持参するようになったこと、グループチャットで転職の話題が消えたこと、中古住宅市場が停滞していること、市中心部の商業施設が次々と閉店していること、オフィス賃料が無料同然まで下落していること、高級車が配車サービスに参入していること、宅配サービスが劇的に迅速化していること、ローンの営業電話が増えていること、海外旅行の話題がほぼ消えたこと、そして上海在住の外国人が大幅に減少していることなどが含まれます。これらの現象は、経済活動が大幅に萎縮していることを物語っています。
こうした経済環境の中で、多くの人々が安定した職を求めるようになり、公務員や事業単位(公共機関)の採用試験が非常に人気を集めています。最近、天津市和平区が発表した2025年度事業単位の採用情報では、ある特定の職務がその特殊な内容と激しい競争率で注目を集めました。この職務は、排水施設の維持管理や汚物の除去作業を担当するもので、具体的には、汚水や油汚れ、排泄物の処理を含む厳しい業務内容となっています。さらに夜間作業や重労働が求められる一方で、大学卒業以上の学歴を必須条件としており、新卒者に限られています。この職には12月19日午前10時時点で294人が応募し、214人が書類審査を通過、112人が応募料を支払いました。
このニュースはSNS上で大きな話題となり、多くのネットユーザーが「重労働に学歴要件が高すぎる」と疑問を呈しました。「学歴の価値が下がり、雇用環境が悪化しているため、高学歴の人たちがどんな仕事でも受け入れるしかない状況になっている」とのコメントも見られました。また、「汚物処理の仕事は決して恥ずかしいことではないが、新卒者がこれほど多くこの職を目指す現状は、社会の雇用問題の深刻さを物語っている」と指摘する声もありました。
一方、公務員試験の人気も、安定した職を求める若者たちの切実な姿を象徴しています。統計によれば、2025年度の国家公務員試験の応募者数は325万人を超え、前年同期比で34万人増加し、過去最高を記録しました。今年の採用予定数は39,721人で、平均競争率は82:1に達しています。中でも最も競争が激しい職務では、1人の採用枠に16,702人が応募し、競争率は16702:1という驚異的な数字に達しました。
台湾南華大学の孫国祥教授は以前、大紀元のインタビューで、中国の中小企業や民間企業が資金調達の困難に直面しており、需要不足が経済成長や雇用拡大を妨げていると指摘しました。一部の地方政府は職業教育の推進や、新興産業への投資を通じて若者を農村や遠隔地に送り出す努力をしていますが、新興産業が成熟するには時間が必要です。そのため、短期的には多くの若者が安定した職を得ることは難しい状況です。
彼はさらに、若者の失業率が依然として高く、特に新卒者の就職難が解決されていない現状が、公務員試験を「最後の安定した選択肢」として選ぶ理由になっていると述べました。この状況は、安定した職業への渇望が給与面での妥協を上回っていることを示しています。
(翻訳・吉原木子)