中国広東省広州市では、多くの大企業が半年間給料を支払えず、国営企業でさえリストラや給与カットを行っているとの情報が最近、ネット上で流れています。その結果、多くの若者が路上や橋の下で野宿するようになり、彼らの就職や生活状況が懸念されています。また、中国のSNSでは、失業を嘆く声や泣きながら訴える声が増えています。
X(旧ツイッター)ユーザー「無王無帝(ノーキング・ノーエンペロ)」は12月1日に複数の動画を投稿し、2024年の最後の月は「中国共産党崩壊の前夜」であり、中国経済はすでに想像を絶するほど崩壊しており、国民は耐え難い苦しみに直面していると指摘しました。それによると、労働者が疲れ果てて泣き崩れ、失業者が街頭で野宿し、若者がゴミを漁り、かつて安定した職とされる「鉄飯碗」ではリストラが進み、公務員は給与カットに直面しています。また、企業は倒産、外資系企業が撤退、店舗は次々と閉鎖、病院は給与を支払えず、銀行からはお金が引き出せないなど、こうした状況が広がっています。
若者たちの悲歌「給与未払い・リストラ」
ある若い女性が投稿した動画で次のように語っています。「広州市の現状は、多くの大企業が半年間賃金を支払えず、国有企業を含めた多くの企業がリストラや減給を行っている。ほとんどの中小企業も赤字や倒産の瀬戸際にあり、かつて憧れの対象であったIT業界でも千人のリストラが行われている。私もその一人だ。985や211といった高学歴を持つ人材でさえ、失業の運命を免れない状況なのに、ましてや私たち普通の人にとってはなおさらだ。同級生たちもリストラや減給のどちらかに遭い、さらには給与が支払われなくなるケースもある。また、一度失業すると再就職までに半年以上かかることが多く、豪華なオフィスビルも内部は空っぽ。多くの会社が倒産や国外移転している。スターバックスやマクドナルドでは多くの人が『仕事をしているふり』をして座っており、未来にはあまりにも多くの不確実性がある」
ある動画では、広東省内のある橋の下に多くの若者が寝泊まりしている様子が映っています。毛布をかぶって路上で眠る若者や、小さな鉢を置いて物乞いをする女性の姿も見られます。
また、陝西省西安市のハイテク開発区でも、多くの店舗が閉店し、閑散とした街並みが動画に記録されています。「かつて最も繁華だったこの通りの店舗は、今ではほとんど閉店や倒産している。冷たい鉄の鍵がかけられ、かつての栄光はなくなっている」と撮影している女性が嘆いています。
SNSで広がる失業の「嘆きの声」
ラジオ・フリー・アジアの報道によると、中国SNS上では多くのネットユーザーが自分の体験を共有しています。生活の苦しさを嘆き、職場での不公平を訴える声、さらには無力感や怒りを表す投稿が増えています。
複数の関係者によると、2024年の大学生の実際の就職率は約5割とされ、昨年よりさらに下回る厳しい状況が続いています。多くの企業がまずベテラン社員からリストラを進めています。
中国トップのハイテク企業であるアリババやテンセントも2024年に大規模なリストラを実施しました。アリババは第1四半期に14369人、第2四半期に6729人をリストラし、年初からの総解雇者数は2万人を超えています。一方、テンセントは2022年以降段階的にリストラを進め、2024年までに累積人員削減率は従業員の約10%となっています。
専門家、失業の波が中共政権に影響を及ぼす可能性
ベテラン経済評論家の蔡慎坤(さいしんこん)氏は、ラジオ・フリー・アジアとのインタビューで、現在の中国の失業問題はまだ最悪の段階に達していないと指摘しています。「失業問題はますます深刻化するだろう。現在、TikTok(ティックトック)、快手(クアイショウ)、小紅書(シャオホンシュー)などのプラットフォームで多くの人が泣きながら生活の苦境を訴えている。もちろん、トラフィックを稼ぐためにやっている人もいるが、その大部分は実際の状況を反映している。これは中国の失業状況の本当の現状である」
蔡氏は、大量失業は現在の中国労働市場の困難を反映しているだけでなく、失業問題に対する社会の関心と懸念も浮き彫りにしていると指摘しています。「今は政府が資金を投入するだけで経済を刺激し、企業を救うことができる時代ではない。企業は現在、投資に消極的であり、適切な投資先も見つからない状況である。このような中で、民間企業がどのように発展できるのだろうか?」
大卒者の窮境「学費や時間を無駄にした」
中国最大手の人材会社「智聯招聘(ジーレンジャオピン)」の調査レポートによると、2024年4月時点で、内定を獲得した新卒生は48%にとどまり、過半数の求職者が仕事を見つけられない状況です。
上海在住の新卒大学生は、「現実は非常に厳しい。面接では数千人が一つの職を争う状況にしばしば直面する」と語ります。ある名門大学の卒業生は、「今の雇用環境では本当に生きる希望が湧かない。毎日家に閉じこもっていて、精神的に耐えられそうにない。このままでどうやって生きていけばいいのだろうか」と話します。
他にも、新卒生からは次のような声が聞かれます。
「もう限界だ。何のために大学に行ったのか。11年間勉強してきた意味が見いだせない。親が苦労して稼いだお金と自分の青春を無駄にしただけだ。大学に行ったからといって、何の成果も得られない」。
「私は00後(2000年代生まれ)だが、大学卒業後、村に戻って野菜を売る屋台を出している。村の市場では唯一の2000年代生まれの大学卒業生だ」
また、失業後、家族に心配をかけまいとスターバックスや図書館、公園で「働いているふり」をしている人も少なくありません。
台湾の聯合報(れんごうほう)の報道によると、卒業後の就職難を恐れて、多くの大学生が大学院進学を選択することで、一部の大学では大学院生の人数が学部生を上回る現象が生じています。
例えば、北京の清華大学では2024年に3760人の学部新入生に対して、大学院の新入生は12069人に達し、大学院生と学部生の比率は3.21倍に上ります。また、北京大学では4408人の学部新入生に対し、大学院の新入生は10803人で、その比率は2.45倍となっています。
若者の失業問題が中共政権を揺るがす可能性
北京の元弁護士でカナダ在住の頼建平(らいけんぺい)氏は、「現在、多くの若者が卒業と同時に失業し、失業率は高止まりしている中で、やむを得ず『躺平(タンピン、寝そべり)』を選択するしかない。多くの人々が絶望の淵に立たされており、不満の感情が蓄積し深刻化している。これは、社会変革が起こる前に必然的に現れる社会現象の一つだ」と指摘しています。
米サウスカロライナ大学の謝田教授は、「中国の失業した若者たちが『躺平』という形で無力感を表現し、一種の消極的な抵抗である。これは中国当局にとって脅威となる。彼らが貯金を使い果たし、親からの支援も受けられなくなれば、最終的には街頭に繰り出すことになるだろう。つまり、この問題は中国当局にとって、実際には潜在的な時限爆弾なのだ」と述べています。
(翻訳・藍彧)