11月26日は、中国における「白紙運動」2周年にあたります。2022年末に始まった白紙運動は、コロナの封鎖解除を求めることから始まり、次第に抗議者たちは習近平氏の退陣を求めるスローガンを叫ぶようになりました。最終的には中国当局によって強硬に抑え込まれましたが、中国社会全体に深い影響を与えました。

 近頃のハロウィンコスプレでの反体制活動や鄭州市の大学生による夜間サイクリングなど、頻発する社会的報復事件から、中国社会が変化していることが見て取れます。

 現在、多くの人々が、「中国共産党政権を揺るがすほどの大規模な抗議運動は、中国で再び発生するのでしょうか?」と問いを投げかけています。

白紙運動の影響

 米サウスカロライナ大学の謝田教授は中国の現況を次のように述べています。「中国で再び大規模な抗議デモが発生する可能性は非常に高い。白紙運動や以前の六四天安門事件と同じような形になるとは限らず、予想外の形でこれらの怒りが爆発するかもしれない。中国共産党政権への反抗、あるいは転覆することは十分に考えられるし、いつでも起こり得る。若者たちは『躺平(寝そべり)』しているが、それで彼らの怒りや不満、感情が爆発しないわけではない。私たちが目にした白紙運動は、実際には非常に無力でありながらも、積極的な反抗の一つであった」

 白紙運動に参加していた黄意誠氏はドイツメディア「ドイチェ・ヴェレ」に対し、次のように語っています。「鄭州市の夜間サイクリングや反体制活動のハロウィンコスプレなど、中国当局が社会の自発的な集まりを絶え間なく取り締まっている。これは『モグラ叩き』ゲームのようで、一つを叩いても次々と別のものが現れる。こうした自発的な集まりは、現在の中国社会に未解決の対立が多く存在していることを示唆している」

増え続ける生きづらさの声、中国社会の現実

 今年修士号を取得したある女子大学院生が、SNSで投稿した動画で次のように泣きながら訴えています。「今では、学歴がなぜこんなにも安っぽいものになってしまったのか。十数年間の学びを経て、大学から大学院まで7年間通っていた。その間の年間学費は1万元(約22万円)以上かかっていた。しかし、ある面接を受けたら、月給が2500元(約5万円)で、しかも週6日勤務で休みは1日だけ、平日は夜遅くまで残業しなければならない」

 中国のSNS「小紅書(シャオホンシュー)」では、「夫が解雇された」というテーマの投稿に3700件以上のコメントが寄せられ、多くが同様の境遇を語っています。「夫が(今年の)2月に失業し、私も4月に失業した。今は二人とも仕事が見つからない状況だ」

 「夫は5年間失業している。現在はタクシー運転手をしている」
 「夫は12年間街道弁事処(基層の行政機関の1つ)で働いていたが、今週(11月)減給の通知を受け、給料が突然3000元(約6万円)に半減された。事実上のリストラと同じ」

 中国のデフレ状況を、あらゆる産業が「魚の死を待っている」という言葉で表現するネット投稿が話題になっています。

 ある投稿では次のように書かれています。「先週、ある経営者を連れてある工場を見に行った。元のテナントは資金繰りの問題で譲渡をせざるを得ず、内装もそのまま無償で提供すると。しかし、工場を見た経営者は『急がない、年末にはもっと同じような物件が出てくるだろう』と話し、結局その場で契約には至らなかった」。投稿者は、「みんな死のループに陥っているようだ!解決策はあるのだろうか?」と嘆いています。

 黄意誠氏は、社会的な不満が蓄積することで、さらに大きな災いをもたらす可能性があると指摘します。「中国社会は来年、大きな変化を迎えることになるだろう。このような圧力鍋の状態がずっと続かないだろう」

 中国共産党による支配が数十年続き、長い間蓄積されてきた国民の不満は高まっています。現在、多くの中国人はその矛先を中国共産党と習近平氏に向けています。中国南部の多くの労働市場に出回る「全国人民への告知」と題された手書きのビラが広まり、「(中国)共産党を打倒せよ」と呼びかけています。重慶市の中学生が校内で告示を貼り、独裁政府の打倒を求めています。

「時が来た」(中国)共産党打倒の火種が広がる

 X(旧Twitter)のアカウント「無王無帝(ノーキング・ノーエンペロ)」は11月26日、中国のネットユーザーによる複数のコメントのスクリーンショットを投稿しました。それによると、特に2020年から2024年にかけてのコロナ期間に、中国共産党の一連の強制政策を経て、国民の悲惨な状況が浮き彫りになり、SNS上で表明される感情や言論からも、「中国内部では(中国)共産党を倒す火種がすでに人々の心に火を点けた」と表現されています。

 「無王無帝」は、「中国国民はすでに(中国)共産党が崩壊する心の準備をできている。多くの人々が(中国共産党に反抗する)組織を探している。コメント欄では、『起業』という言葉が『(中国)共産党を倒す』という意味で使われている。これは何かが起こる兆候だ。これらの民意が次第に広がり、全国的な波となる日が近づいている」と述べました。

 ある雲南省のネットユーザーは、「『起業する(中国共産党を倒す)』人がいたらぜひ加えてほしい。今は無職の身で、することさえあればそれでいい。どんなことでも、正義のためなら、命を懸けてもやり遂げる」と述べています。

「大部隊はどこだ?ともに行きたい」

 多くのネットユーザーは、ネット上で巧みに音を変えた言葉を用い、反乱を呼びかけています。最近、中国国内で「農民蜂起(中国語:農民起義)」という言葉がSNSのトレンドとなっています。この話題についてのコメント欄は、戦意に満ちた内容であふれています。中にはナイフを研ぐ動画を投稿する人や、機関銃を発射する動画を公開する人もいます。

 コメント欄では、「(中国)共産党に反抗する組織があるか?参加したい」と表明する人々が目立ちます。「全国国民が一丸となる時が来た」と呼びかける声もあります。一部の人は「(反体制の)大部隊はどこにいる?」「誰が指導できるのか?」と尋ね、「とっくにやりたい(蜂起したい)」「多くの国民の望みだ」などと述べています。

「(中国)共産党を打倒せよ」のビラ、全国で拡散中か

 現在の中国社会は、まるで高圧鍋のような状況で、悪質な社会報復事件やさまざまな抗議デモが頻発しています。

 ネット上の情報によると、最近、中国南部の労働市場など人が密集する場所で、手書きの「全国人民への告知」ビラが出回っているとのことです。このビラは「全国の労働者仲間たち、学生たち、そして国民全員が行動を起こそう」と呼びかけ、「われわれは世の中を変えるつもりだ」と訴えるとともに、「(中国)共産党を打倒せよ」と主張しています。

 広東省広州市のある職業学校の一部の学生や、重慶市の一部の高校生も次々と声を上げ、自ら義務的に手書きのビラを作成して配布したと述べています。その内容は、職業学校の学生、中学生、大学生に向けて「みんなで一緒に(中国)共産党を打倒し、新しい生活を築こう!」と呼びかけるものです。

 この動きを「新たな白紙運動」と称する人もいれば、こうした抗議活動が「ますます増え、全国へ急速に広がるだろう」と予測する人もいます。

(翻訳・藍彧)