最近、ある経済学者が中国経済の深刻な問題を公然と指摘しました。失業率が高止まりする中、中国の若者たちは徐々に消費意欲を失いつつあります。あるデータによれば、若者が多い省ほど消費の伸びは遅く、高齢者が多い省ほど消費の伸びが速いことが明らかになっています。
国投証券のチーフエコノミストである高善文氏は、12月3日に深圳で開催された投資家会議で講演し、各省の地域データに基づいて分析を行った結果、中国全土で累計4700万人の労働者が適切な職を見つけられていないと指摘しました。この数字はブルームバーグが公式統計データを基に算出したもので、2023年の中国都市部労働力人口の10%に相当します。
この講演は中国のSNS上で大きな話題となり、微博などで熱く議論されただけでなく、海外のSNS「X」でも広く取り上げられました。一部のネットユーザーは、「こうした意見を公に発表できるのは非常に貴重だ」とコメントしています。
近年、中国共産党政府は経済データに対する批判的な声をますます厳しく抑え込んでいます。2021年8月、中国国家インターネット情報弁公室はSNS上での「誤解を招くマクロ経済データの解釈」に関する投稿を禁止しました。場合によっては、経済学者に対して公式データの批判を控えるよう警告が行われることもあります。しかし現時点では、高善文氏の講演原稿はまだ閲覧可能です。
高善文氏は講演の中で、パンデミック後の中国社会を「生き生きとした高齢者、活力を失った若者、そして希望を見失った中年層」という3つの言葉で簡潔に表現しました。この率直な態度は、楽観的な経済の物語を描くことを求められる現在の環境の中で、非常に際立っています。
2022年に中国当局が「ゼロコロナ」政策を終了して以来、中国の小売売上高は依然として低迷しています。パンデミック中の厳しい封鎖措置や、中国現代史上最も深刻な不動産危機が消費者信頼を大きく損ねました。さらに、経済の減速が進む中、広範囲での賃下げや解雇が家庭の財政を圧迫し、消費支出は一層抑制されています。
高善文氏は、このような消費行動の変化は、異なる年齢層の経済状況の差を反映していると指摘しています。高齢者は安定した年金収入に支えられ、生活満足度も高い一方で、若者は暗い雇用見通しや不安定な収入に直面しています。「パンデミック後、住宅購入の主力は通常若者ですが、若者が将来に自信を持てない地域では、消費意欲や住宅購入意欲が共に低下します。一方で、高齢者の収入は安定しており、より積極的な消費行動を示しています」と彼は述べました。
さらに、彼は消費と経済成長の関係についても議論を深めました。「パンデミック以前は、消費の伸びは経済成長とほぼ一致しており、むしろやや速いペースでした。しかし、パンデミック後は消費の伸びが経済成長を大きく下回っています。これは、消費成長率が過小評価されているか、経済成長率が過大評価されているかのどちらかを意味します」と彼は述べました。
また、雇用と経済成長の関係が異常であることについても言及しました。「雇用データが信頼できるならば、経済成長率は過大評価されています。一方で、経済成長データが信頼できるならば、雇用データは過小評価されています。この異常な現象は過去2年間で特に顕著です」と述べました。
さらに、彼は約4700万人の中国労働者が隠れた失業状態にあると推定しています。この数字は公式統計で報告されている都市部失業率を大きく上回っています。「これらの労働者の一部は農村部に帰郷して農業に従事しているか、臨時労働、または自宅での作業を選んでいる可能性があります。そのため、これらは公式統計上の失業者としてはカウントされません」と彼は説明しました。この隠れた失業の規模は、公式データが示す以上に雇用市場が疲弊していることを明らかにしています。
実際、2023年に中国国家統計局は若年失業率の公表を停止しました。それ以前の数カ月間、若年失業率は過去最高を更新し続けていました。新たに発表された指標では学生が統計から除外されましたが、失業問題は依然として深刻であり、議論が続いています。
また、高善文氏は過去3年間の中国GDP成長率の信頼性についても疑問を呈しました。彼は経済成長データと消費、投資、労働力拡大の比較分析に基づき、中国のGDP成長率が10ポイント程度過大評価されている可能性を指摘しました。「中国の総量データの中で最も信頼性が高いのは価格データです。サンプリング調査に基づいているため、操作が難しいからです。一方で、他のデータは非統計的要因に影響されやすい」と彼は述べました。「もし毎年の経済成長率を3ポイント下方修正すれば、すべてのデータが整合性を持つようになります。」
この見解は孤立したものではありません。他の経済学者も中国政府が公表する経済データの正確性に同様の疑問を投げかけています。かつて中国元首相李克強氏と同窓であった陶景洲氏は、中国の統計データが長年にわたって中国共産党の厳格な管理下にあると批判しています。「誤ったデータはさらに多くの誤ったデータを生み出し、情報の悪循環を引き起こす」と彼は指摘しました。
高善文氏の講演は、現在の中国経済が直面している複数の問題を浮き彫りにすると同時に、公式統計と実際の状況とのギャップを明らかにしています。この現象は、中国経済が深刻な構造的課題に直面していることを示しており、今後の動向に重大な影響を与える可能性があります。
(翻訳・吉原木子)